ユメの終わりに
ユメノグラフィア、終わるってよ
残念で仕方がない、と思うと同時に、「これ早く体験しないと、無くなるかもな」という漠然とした予感はあった。
案の定、そうなってしまった。
VR機器を揃えるというハードル、ユメノグラフィアのチケット購入というハードル、そこに至るユーザーの意思決定や環境整備を考えると、多分充分なリターンを得るまでのユーザーは確保できなかったのではないか。
いっとき、売上が数十倍に伸びた、という記事は見た。
ちょうどにじさんじ・舞元の体験動画があった頃だ。たしかにあの動画に端を発するVtuberの体験動画は効いたと思う。ただ、それ以前のユーザー数が見えていなかっただけに、「それは本当に喜ばしいのか?」と眉唾でもあった。
あと、多くの人にとっても「マンツーマンで話すハードル」は高かったと思う。
実際、機器もソフトも人数も、ハードルがクッソ低かったzoomなんて、それこそあっという間に広まった。ネットに詳しくない層まで取り込み、web会議は当たり前になったし、それに付随するネタもテレビで見るようになった。
それが普及している中で、ユメノグラフィアは現れた。
面白いけども。
そういう頭がありながら、様々な機器の購入に踏み切れない人は多かったと思う。
今年に入り、VRの普及期に入ったと多く報じられるとともに、日本ではコロナ禍の夜明けが見え始めた。
正直、ユメノグラフィアのことは頭から離れて行っていた。
社会人に、ずっとネットに張り付いていられる人は少ない。したいゲームを、やりたい時にやる。パーティーゲームはたしかに楽しいが、そこに集える気安さは知り合いでもなければ難しい。野良で集うのならば、そのプラットフォームが多数に、世界中で開かれている必要がある。
世界でのVR機器の普及は400万台を超えたという。
凄いな、もうそんなにか、と思う反面、じゃあ日本ではどうなんだ?と思っても、見えてくる数を示してくれる資料は少ない。
VR機器を乗り越えた人でも、ユメノグラフィアに辿り着けた人はどれだけいただろう。
辿り着けないまま、ユメを見ることも叶わないまま終わってしまった。
男性のキャストも募集していたが、それも中止だとアナウンスがあった。一定のキャストに集中して、予約が偏っているという話も聞いた。一部がVになっていて「にじさんじに未だのメンツおるのに、それ意味あんの?」と疑問に思った。
遡って考える間もなく、あれよあれよと、終了。
カケラも残さないのはどうなんだろう。文字通り、泡沫の夢であったのか。
割と失望している。