『アフターコロナに会いましょう -note版- 』 #11 - ミャンマー 人里離れた村で -
こんにちは。写真家のMiNORU OBARAです(自己紹介はこちら)。記事をご覧いただきありがとうございます。本日はシリーズ『アフターコロナに会いましょう -note版- 』第11話です。
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このシリーズは、写真集『アフターコロナに会いましょう -完全版- 』とともにお読みいただくとより一層お楽しみいただけます。
さて、シリーズ第11話は、ミャンマーの人里離れた村での出会いです。
「全員が同じ髪型をしている村がある。」
ミャンマーの村に滞在中に仲良くなった地元の友人にそう教えられて、その村探しが始まりました。
ミャンマーの一年でもっとも暑い5月。あまりの暑さに、人々は家の中で過ごしていて、どの村も人はまばら。
バイクにまたがって走っていると、まるで、この世に僕だけしかいなくなってしまったのではないかと、錯覚さえしてしまいます。
それでも、油断したらすぐにタイヤを取られてしまうビーチみたいにフカフカの砂の道を、走り続けました。
ギラギラに照りつける太陽。あたりの空気はカラカラで、地面の砂は簡単に舞い上がり、体にはあっという間に砂の匂いがまとわりつきます。
でもそれはきっと、太陽の匂いでもありました。
延々と続く砂の大地をひた走りました。
道すがら、二頭の牛に荷台を引かせるファンキーなおじさんから頂いた美味しい果物で水分を補給できたのはラッキーでした。
そんなこんなで延々と続く景色に、本当に辿り着けるのかどうかと不安を抱えながら、炎天下の空気に砂埃を混ぜ込みながら、さらにタイヤを進めました。
砂と、空と、木々。それ以外には何もなかった世界に、小さな村がポツンと現れました。どうやら、そこが目的の村のようでした。
ミャンマー特有の竹垣に囲まれた小さな家々がまばらに並んでいました。しかし、この炎天下に人影はありませんでした。
それでもなんとか小学校を探しあて、訪ねてみました。
どこまでも続く大地との間に申し訳程度の柵で境目をつけただけのようにみえる校庭。その端っこに枝を伸ばす大きな木の下で、子どもたちが笛の練習をしていました。子どもたちはみんな、すべての髪の毛を頭のてっぺんに集めてチョンマゲを結っていました。
仲間に入れてもらった僕は、
「みんな可愛い髪型をしているね。」
と身振りで話しかけました。
すると子どもたちは、
「その髪型こそ面白いね。」
と、僕の髪の毛を指差して笑いました。
その瞬間まで、自分がアフロヘアーであることを忘れかけていた僕でした。
「その髪の毛、どうやってるの?」
と聞くと、
「やってあげるよ!」
と、一人の少年が、わざわざ自分の髪の毛を解いて、結い方を教えてくれました。
「僕にも、その髪型させて!」
とお願いしましたが、
「そのモジャモジャじゃ無理だよ〜!」
と、大笑いになりました。
黄色いタナカ(*1)のほっぺたと、可愛いチョンマゲの子どもたち。僕たちは学校が終わりの時間になるまで遊びました。
ときおり、乾いた風が吹き、僕たちは砂まみれになりました。
お別れの時間が来るまでには、みんな、太陽の匂いになりました。
もう少し涼しい季節に訪れることにしていたミャンマーでしたが、感染症のパンデミック下でキャンセルを余儀なくされました。
村の名前は、聞いたけれど忘れてしまいました。
それでも、またバイクにまたがって、会いに行きます。
本当は涼しい季節にしようと思っていたけれど、またあの可愛いタナカのほっぺに会いたいので、やっぱり暑い季節に帰ることにします。
そうです、これは、『アフターコロナに会いにきた』への序章です。
本日も文末までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
*1:タナカ = 木から作られるミャンマー特有の黄色い化粧品。体温を下げるとともに日焼け防止の効果もあるとか。暑い時期には女性や子どもの殆どの人が使っている。男性は大人になるにつれ、あまり使わなくなるのだそう。ミャンマーのみならず、周辺国の山岳民族にもタナカを使う習慣がある。
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□ 写真集『アフターコロナに会いましょう -完全版- 』
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