インドのすごいお祭り - 本編 -
こんにちは。写真家のMiNORU OBARAです。(自己紹介はこちら。)記事をご覧いただき、ありがとうございます。
本日は、先日の記事の続きです。先日と言いましたが、導入編を公開したのはずいぶん前・・・。お待たせいたしました。
前回の内容、きっとお忘れのことでしょうから、まずは導入編からお読みください。
前回から2話続けてご紹介するインドのすごいお祭りは、『テイヤム(Theyyam)』。その成り立ちや、意味は導入編でお話ししましたので、本編では実際にテイヤムに参加した体験談をお話します。
文末の有料写真ギャラリーではテイヤムの貴重な写真を展示しますので、よろしければそちらもぜひ。
さて、僕が北ケララを訪れたのは某年の1月末。その村に足を運んだのはまさにテイヤムに参加するためでした。
導入編でもお話しましたが、テイヤムはとても突発的なお祭りなため、いつどこで行われているかの情報は地元の人でないと分かりません。僕が滞在した村には観光客用の宿もなく、いつ何時始まるかわからない儀式に参加するのは困難でした。そこで僕は、その村で仲良くなったとある家族の家にホームステイをさせてもらうことにしました。
その家族がとても暖かかった。お母さんは毎食美味しいナンを焼いてカレーを出してくれたし、お父さんはテイヤムが開催されるお寺や時間の情報をたくさん集めてくれました。9歳の妹と17歳の兄ともとても仲良くなりました。
この時の滞在で僕が参加したテイヤムは8箇所。ある日は朝の2時半に起き、真っ暗な道をお寺に向かいました。またある日は、夜から明け方まで、お寺の石に座って儀式のスタートを待ちました。
テイヤムは「神降ろしの儀式」。生身の人間に神様を憑依させるのですが、その神を憑依させる神の器「テイヤカラン」は、真っ赤な化粧とカラフルな衣装を施されます。
祭場となるお寺の片隅で化粧を施されている最中のテイヤカランは、まだ憑依前の人間。それでもその辺りは神聖でピリッとした空気で満たされます。
テイヤムの儀式は神官の長いお祈りと伝承の読み上げから始まります。それとともに一層神聖な空気に包まれるお寺の至るところには松明や蝋燭の灯が灯され、儀式の種類によっては鶏が生贄に捧げられることもます。地元の見物人たちは息を呑みます。
伝承の読み上げが終わると、空気は今までにないほどにシンと静まり返りました。
そして、どこからともなく鈴の音が響き始めます。テイヤカランの登場です。
テイヤカランは、その両足首に施されたたくさんの鈴を踏み鳴らしながら、お寺を練り歩きます。最初のうちは緩やかだったその鈴の音は、回数を追う毎にどんどん激しくなります。
神様がテイヤカランに降りてくる、つまり憑依の瞬間は誰の目にも分かります。その目は血走り、体は小刻みに震え、鈴の音の数と激しさはピークを超えます。
そして突然にそのすべてがピタリと止まった瞬間、それこそが神様の降臨の瞬間です。
神様をその身に降ろしたテイヤカラン。憑依した神様によって異なるさまざまな儀式を行います。
激しく鳴り響く太鼓のけたたましい音とテイヤムが打ち鳴らす鈴の音で、お寺の空気は最大限に高揚します。
ある神様は激しいダンスを踊り、ある神様は燃え盛る炎の中に飛び込みます。またある神様はリンガに祈りを捧げます。神様同士が激しく闘うこともあります。炎を身に纏う神様もいれば、炎を喰らう神様もいます。
時には捧げられた生贄が人間に憑依して暴れ回ることもあります。神様はそれを諌めます。
とにかく激しいこの儀式。見物人はその圧巻の空気に飲み込まれます。
儀式は長ければ数時間。その間テイヤムは踊り続けます。
神様が長い長い儀式を終えると、あたりの空気は少しだけ緩み、見物人たちはこぞって神様の元へ訪れます。神様から祈りを授かるのです。
テイヤムは、太陽が昇る前から始まるものもあれば、深夜から明け方にかけて続くものもあります。日中に永遠と続くものもあります。
ちなみに、儀式の後に食事をいただけるのも嬉しいところ。祭場の隅に並べられた椅子に座ると、目の前のテーブルに敷かれた大きなバナナの葉の上に、数種類のライスやたくさんのスパイスを配ってくれます。
おかわり自由の食べ放題。たまたま隣り合わせになった村人との一期一会を楽しみながらカレーを頬張るのは、旅ならではの至福のひとときです。
おもむろに始まり、おもむろに終わるインドのすごいお祭りテイヤム。インドに伝わる数え切れないほどの土着儀式の中でも、大昔から現代にその型を変えることなく受け継がれている儀式です。お目にかかるのはなかなか難しいですが、一見の価値ありですよ。
この世情ではまだ困難ですが、いつかこのお祭りを見てみたいと思われた方はお気軽にお問い合わせくださいね。ホームステイ先のご相談も受け付けますので。
本日も、文末までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ここから先は有料写真ギャラリーです。テイヤムと一口に言いましたが、降臨する神様によってその見た目は様々です。有料ギャラリいーではいろいろなテイヤムの貴重な写真たちを展示するので、ぜひともご入場ください。村や一部のお寺の位置情報も載せておきますね。
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