たくさんの綺麗な思い出と、たくさんの傷跡
私は先月、彼氏と別れた。
今思えば、自分勝手な人だった。でも、どうしようもなく好きだった。
会うといつも「かわいい」だとか「大好き」と言ってくれた。
スマホのロック画面はいつも私との2ショットだった。
パスワードも二人の記念日だった。
私のバイト終わりが夜遅い日は、帰り道、必ず電話してくれた。
お風呂から上がると髪を乾かしてくれた。
ふたりでいろんな場所に出かけた。
おそろいのものもたくさん買った。
綺麗な思い出がどうしようもないくらいたくさんある。
そこらじゅうに彼との記憶が散らばっている。
でも、傷跡だって同じくらいたくさん残っている。
いつも会いに行くのは私だった。
私の誕生日を忘れて彼は友達と遊んでいた。
クリスマスに「親が来るから」と家を追い出された。
突然LINEの返信が冷たくなることがあった。
内緒で女の子と遊びに行っていた。
喧嘩をしたらいつも私のせいにしていた。
何より、私の身体をセフレみたいに軽く扱ってくれたね。
彼の家にいるとき、ほとんどの時間を行為をして過ごした。
やりたいから私と付き合ってるんじゃないかってずっと不安だった。
私が生理でできない日も「口でして」って言って、拒否したら機嫌悪くしてたよね。
私、あなたの彼女だよ。セフレじゃないんだよ。
あなたにとっての「彼女」はやるための存在だったんですか。
別れ話をしたとき、彼は泣いていた。「別れたくない」って。
彼が泣くのは、私が離れようとした時だけだった。
そういう時だけ、私しかいないみたいな顔するんだ。
もう、疲れたよ。
彼にとって都合のいい女でいることに。
彼が好きでいてくれるように都合よく演じることに。
ばいばい、大好きだったよ。