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経験していないと理解できないこともある

 昔々、コーチング関連の事業をしていた方(男性)から、ヒアリングのコツを聞いたことがあります。

 「語られるエピソードが、自分で経験したことがないものだった時は、同じ感情を再生できるように、似たエピソードを思い出すといい」
 例えば、悲しみを感じているから、今までの人生で3本の指に入るくらい悲しい出来事を思い出すといい、とのことでした。

 そっかぁ、そうすれば疑似体験できて、相手をより深く理解できものね。
 とその当時は納得し、いざという場面では想像力を使ってみるように心がけていました。

 けれども、それだとカバーできない範囲があるなと今では感じています。

 例えば、私は大震災に遭ったことがありません。
 阪神大震災の時も東日本大震災の時も北海道にいましたし、胆振の大震災で北海道全体が停電(!)になった時は、東京から経過を見守っていました。

 だから、「防災しましょう」「備蓄をしましょう」と言われても、ピンときません。
 防災のパンフレットを見ても、「これって子供がいる家庭用かも…じゃあ私には関係ないかな」「これを用意しておいて、結局使えなくて廃棄になったら、モノがもったいないのでは?」と考えてしまいます。
 結果、とりあえず水10リットルくらい備蓄しているからまあオッケーかな、となります。

 また別の例ですが、ホストなどの〝男性にサービスされる〟場所で、なぜ楽しめる女性がいるかが全くわかりません。

 「この中で好みのタイプは誰?」「どんな人がタイプ?」と訊かれますが、なんにも浮かんで来ないのです。ゆえに、答えられない。
 なぜ浮かんでこないか。それは、恋をしたことがないから(笑)!

 知り合った人は、男性だろうが女性だろうがみんな「ひとりの人間」。その人がどんな人生を送ってきたのかには興味がありますが、〝目の前に男性がいるだけで楽しい〟というのは理解がどうしてもできません。
 ちなみに、イケメンがどうのというのもピンと来ない。
 たま〜に誘われて、人生で2回くらいそういう場所に行ったことがありますが、目の前の友達は、なぜ〝楽しい〟〝また来たい〟と思えるのだろう?といつも首を傾げています。

 結局、全く経験していない分野って、想像すらできないものなのです。
 だから、人の心に関わるのも難しいと感じています。
 できるだけ理解したいなとは思っていますが、こればっかりはどうにもならなさそうです。

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