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外出自粛・在宅が続いて夜行性になってる人たちへ(①睡眠概要・導入編)
睡眠と脳の発達について調べていると、「これは…ちゃんと睡眠を摂らないと日本人滅びちゃうんじゃないか」と感じることがしばしばあります。大袈裟だと思われるかもしれないですが、睡眠→覚醒→睡眠を繰り返す脳によって動いている人間の生活において、睡眠が及ぼす影響は私たちが感覚的に捉えているものよりも大きいです。
今回の外出自粛・自宅待機期間で更に睡眠リズムが乱れている人が多い気がするし、実際に相談されたりもしていたので、ちゃんとした学術的なことというよりは、実生活で私が自分に対して行っている実験も含めてシェアさせてください。
1.睡眠の種類
よく言われていることではありますが、睡眠には①レム睡眠と②ノンレム睡眠があります。夢深い眠りがノンレム睡眠です。「レム睡眠」は急速眼球運動(Rapid Eye Movement)を伴うもので、脳は覚醒に近い状態になっていて、夢を見ていることが多い眠りとも言われています。
ノンレム睡眠の中にもいくつか深さのレベルがあります。深い眠りの時は体が動かないので、加速度計などをつけて眠ればこの深い眠りができている時間を測定することが可能です。昼間に酷使した大脳皮質を冷却し休養を取らせたりしていて、成長ホルモンが分泌され、疲労回復や細胞の修復を行います。
レム睡眠では全身の筋肉が弛緩し、エネルギーを節約して身体を休めます。反対に脳は比較的活発で記憶や感情の整理が行われていて、夢をよくみたりします。
ノンレム睡眠とレム睡眠を交互に繰り返しながら、1回の睡眠で3〜5回潜っていくのですが、眠る環境を整えられていなかったりすると、この潜る回数が少なくなったり、毎回の潜る深さが足りない(=浅い)状態になってしまいます。
2.睡眠の効果
まず挙げられるのが①疲労回復(=休息)です。ノンレム睡眠では副交感神経優位になって、身体をリラックスさせます。心拍数が下がり、血管が拡張し、疲労回復ができます。
次に、②身体組織の修復です。メラトニンというホルモンは免疫の主要な働きを担うTリンパ球をたくさんつくり、感染症を治癒に向かわせたりしてくれてます。また、このメラトニンは活性酸素の無毒化にも寄与するので、老廃物の処理もしてくれます。成長ホルモンによって細胞が再生され、免疫力が高まります。傷が治ったり風邪が治ったりするのもこの自己治癒力です。酵素が生産され、翌日の代謝にも影響を及ぼします。
①②が身体の健康を担うのに対し、③④は脳と心の健康に働きます。
③脳のメンテナンスは、パソコンも夜間に自動メンテナンスをしてくれていたりしますが、人間の脳でも保守作業が行われていて、有害な老廃物を脳脊髄液中へ洗い流してくれます。また、これがうまく機能しなくなることとアルツハイマー病に関連があるとされています。
最後に、④情報・記憶の整理・定着です。夢を見ている間、脳の海馬が活発になります。海馬を中心に記憶情報の整理が行われ、まとめていきます。運動技能の定着(体で覚えること)には、睡眠時間を長くするだけで効果があるとされており、学習内容の定着(頭で覚えること)は最初の深い眠りをしっかり取れるように眠ることが必要とされています。
3.眠れないとどうなるのか
休息を取ることで体がリラックスし、心も落ち着きストレスが軽減され、冷静な判断ができるようになります。そのため、眠りが足りないと①ストレス増大を招いてしまいます。
また、ウイルスなどに対して対抗する防御システムが十分に機能できなくなり、②免疫力が低下し、感染症にかかるリスクが高まります。
脳のメンテナンスも不十分になると日中ボーッとしてしまったり、③認知機能に支障をきたし、ミスが増えたり合理的な判断を下せなくなってしまった利、柔軟性に欠けてしまったり④記憶力が低下したりします。
そのほかにも⑤感情コントールがうまくできずイライラしたり怒りっぽくなったり、⑥肥満リスク、心疾患リスク、うつ病リスクなど副次的に疾患を誘引するとも言われています。
4.どれくらい問題なのか
日本はOECD諸国の中でも労働時間が長く、睡眠時間が短いことが証明されています。国民の9割が就寝するのは深夜1時で、睡眠時間の減少は止まっているとも言われていますが、限界まで来ているとも言われています。
また、土日の睡眠時間が平日に比べて1時間程度長いことから、睡眠不足(睡眠負債)が蓄積し、休日に補おうとしていることがわかります。
睡眠時間が6時間以下の人は死亡率が2倍以上になることや、乳幼児や子どもの脳の発達を阻害してしまうことは研究結果から証明されており、ほとんどすべての人が適切な睡眠をとれていない日本において、老若男女すべからく睡眠を改善していく必要性があります。
何に気を付けて、どう眠ればいいのか
次の記事で原因を、その次に対策案を書いていく予定です💡
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