舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」 #1 過去作とのリンク
こんにちは。
舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」作・演出鈴木茉美です。
このnoteでは、舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」の設定や裏話などをしていけたらと思っております。
楽しんでいただけるかな〜と色々不安もありますが、ここでしか話せないこともあるかと思いますので、思いつくままに語ってみたいと思います。
さて第一回目となる今回は、「過去作とのリンク」についてです。
今作では過去のろまたん作品と繋がっている箇所がいくつかあります。
それは東堂が、
今作の東堂になる前後に何があったのか、
誰と出会ってこれからの東堂になるのか、
ということに対して、
過去作で語られたり起こった出来事が今作で重要になると思ったからです。
というわけで。
こんな感じの目次にしてみました。
過去作の台本の抜粋なども入れております。
これから見ようと思ってくださっている人で、先に見たくないという方はすっ飛ばしてください。
グレーに塗られた箇所がそうです。
右下に抜粋作品のタイトルが入っています。
それではいってみたいと思います。
作品の時間軸順
まずは時間軸順に今までのろまたん作品を並べてみました。
・探偵東堂解の事件録(2019)
・エデンの歌姫(2023)
・東堂探偵事務所(2015)
・君影草の設計書(2016)
・六つのマリア像(2018)
・万華鏡への招待状(2019)
では、過去作とのリンクの話をしていきたいと思います。
舞台「探偵東堂解の事件録」とのリンク
今作エデンの歌姫の脚本の抜粋です。
東堂の友人北原と、北原の父と仕事の繋がりがあり北原の相談にも乗っている木崎との会話です。
この会話に出てくる、
「寝台列車の中で起きた痛ましい事件」が、
過去作「探偵東堂解の事件録」で起きた事件なのです。
探偵東堂解の事件録のあらすじです。
閉じ込められた寝台列車で起きた密室殺人です。
容疑者は、車掌兼給仕係1人とお客である貴族の息子たち6人。
作中で殺された人は、変わり者の東堂に対して興味を持ち、心を寄せました。
東堂は彼の言葉をきっかけに、「探偵」に興味を持ち始めました。
この作品の最後、東堂はこう言っています。
教育とはなんなのか、これからの日本という時代はどうあるべきか、この作品ではその辺を意識して執筆しました。
東堂のこのあとはこの作品では描かれていませんが、
この事件の解決から少し経って探偵業を始め、
しかし変わり者の自分の本質を見抜き受け入れてくれたこの人の存在が、
心に引っかかっている・・・
という状態の中、今作「エデンの歌姫」が始まるわけです。
もし興味がありましたらぜひ見てみてください。
脚本も文庫で販売しておりますので、文字で読みたい方はぜひそちらでも。
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舞台『探偵東堂解の事件録-大正浪漫探偵譚-』
・販売期間・
2023年7月6日(木)21:00〜7月31日(月)23:59
・視聴期間・
購入から7日間
・価格・
1,000円
ちなみに、エデンの歌姫の最後、東堂が語っている、
東堂がチョコレイトを好きな理由
東堂はなぜ珈琲にミルクを入れるのか
の2点は、「探偵東堂解の事件録」で全く同じことを東堂は言っています。
彼があの頃を受け入れ通常(以上)に戻ったことを見せるために、抜粋しました。
それぞれの東堂役、
磯野大バージョンと竹中凌平バージョンを、
よかったら見比べてみてください。
舞台「大正浪漫探偵譚-君影草の設計書-」とのリンク
さて。
続いてしょうたについてお話させてください。
作中では、ねずみと一緒に行動していると思いきや、
雨の中を1人ずぶ濡れで歩ているしょうた。
お腹が空いて人混みの中うずくまって人をじっと見ているしょうた。
彼の正体は、
過去作(探偵東堂解の事件録以外)に登場している、
東堂の良き相棒でもあり優秀な助手の、北早翔太です。
作中最後に名前を明かされ、「ああやはり」と思ってくださったろまたんシリーズ見てくださった方もいるかもしれません。
もしかしたら、東堂が紙袋を置き「これを食べて動いてくれますか」と言った瞬間に気づいたなかなかのろまたん通もいらっしゃるかもしれません。
はたまた、ろまたん初めて見たけれど、この北早君が今後東堂の助手として活躍していたらいいのになと思ってくださった優しい方もいらっしゃるかもしれません。
諸々ありがとうございます。
彼が自分の過去を語るのは、「君影草の設計書」という作品になります。
この作品では、ろまたんでは異例の、東堂が出てこないものでした。
東堂の留守中に、助手の北早と、もう1人南澤という助手がいるのですが、
その2人で事件を解く話になります。
北早はこの作品の中で、挫折を味わい、悔しい気持ちと向き合い、南澤と一緒に事件に挑みます。
北早は絡という人物と意見が合いません。
大人であること、子供であることを、北早を通して、また南澤を通して考える作品になっています。
落ち込んでいる中、北早は南澤に自分の過去を吐露します。
その際、東堂との出会いについても語られました。
この作品で語られていた北早の過去を、今回そのままやろうと思いました。
「東堂が人と出会い変化していく」という話を作る中で、彼の存在は不可欠だったからです。
東堂は北早に絶対的な信頼を寄せており、また北早も東堂に対して役に立ちたいという気持ちが強いのです。
料理も掃除も家事全般できて、体力もあり武道も得意で従順。
こんな素敵な助手がいたらとてもいいですよね。
東堂が事件に没頭できるのは彼の存在が大きいと思います。
余談ですが、もう1人の助手南澤譲は、今作南条のようにドタバタとした人物ではあり東堂さんを困らせたりもしていますが、特殊能力で瞬間記憶を持っています。
急に超能力物みたいな話になりましたが(笑)、記憶というものは左脳右脳があり、長期記憶や短期記憶、まあ色々と覚えるところが違ったりするんですね。
南澤は、絵で覚えます。
興味のないことは全然覚えられない東堂にとって、「あれってなんだっけ?」の問いにすぐ答えられる南澤は、東堂にとっていなくてはならない存在なのです。
ちなみに、南澤との出会いは、過去作「大正浪漫探偵譚-東堂探偵事務所-」になります。
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「少年探偵団」誕生
ろまたんシリーズで欠かせないのが、「少年探偵団」です。
この作品で誕生秘話が描かれました。
彼らも東堂が変化する上で大切な存在です。
少年探偵団は、過去作では「探偵東堂解の事件録」以外全てに出てきます。
ほとんどが孤児です。
東堂さんからの頼まれごとを、子供という特権を駆使して引き受け解決していきます。
作品ごとに違う少年探偵団が出ていきます。
1人も同じ人物はいません。
一体何人いるんでしょう・・・?私にもわかりません。
おそらく、たくさんいるんだと思います・・・。
また、今までのろまたんシリーズでは、日替わりなどで彼らが謎解き訓練をするシーンなどもあります。
殺人事件など心苦しいシーンもある中で、彼らは作品に心の休憩ポイントを作ってくれる存在です。
(今回そういうシーンを作らなかったのは、少年探偵団を、マスコットキャラクター的要素よりも、北早との出会いがある分、作品の役割(孤児)を重視したかったからです。楽しみにしていてくださった方がいたらすみません・・・)
名前の付け方としては、十二支を使っています。
今作ではそのまま「ねずみ」でしたが、今回東堂を演じた竹中凌平が初めてろまたんに出演した「六つのマリア像」では、彼の役名は「いの」でした。
猪ですね。十二支一番最後の。
それ以外にも、漢字や名前に必ず十二支を入れています。
猿飛、寅次郎、子津、牛中・・・
まあ彼らにはあだ名があって、呼び方は違ったりもします。
サスケ、ちゅーた、ぴょん・・・などなど
名前を考えるのはとても楽しいです。
過去作を見る機会がありましたらぜひチェックしてみてください。
余談ですが、今回、東堂が初めてねずみに頼みごとをするシーンで、ノートにメモ書きし、それを切り離し渡した後、ねずみの反応を伺ってからお金を渡すという、まあまあセリフのない時間があります。
これは私のこだわりポイントで、この時代、字が読めない子たちがたくさんいたんですね。孤児もたくさんいたのですが、彼らは特に教育を受けていないので、ほとんどの子が字が読めません。東堂にとって、字が読めるかどうかは今後のことも考えた上では大事なポイントになってきます。なので、まずは紙を渡し、彼が字が読めるか確認したんです。ねずみはその意図を汲み、東堂に「読めますよ?」という顔をします。それを見て、東堂はお金を渡しながら、「成功報酬も出しましょう」と言いました。
いかがだったでしょうか?
結構ボリューミーになりました。
楽しんでもらえていたら嬉しいです。
今回は、過去作とのリンクのお話を中心にさせていただきました。
これをきっかけに、過去作に興味を持ってくださった方は、ぜひ見てみてください。
さて次回は、どれについて語りましょう。
是非楽しみにしていてください。
展示会まであと一ヶ月強。
チケットも発売されましたね。
引き続きろまたん世界を楽しんでください。
✼ 舞台『大正浪漫探偵譚』展示会 ✼
■日程■
展示日程:2023年8月26日(土)〜31日(木)
展示時間:10:00~19:20
入場時間:(1部)10:00~13:00
(2部)13:20~16:20
(3部)16:20~19:20
※31日のみ展示時間が10:00~16:00になっております。
■会場■
大泉学園ゆめりあホール7階 ギャラリー
■チケット■
前売り/当日券:1,000円(税込)
■特設サイト■