読書メモNo.47『スモールワールズ/一穂ミチ』
本屋大賞ノミネート作品。最初に選んだのがこちら。もともと、本屋大賞ノミネートされなくても買おうかと思っていましたが、本が溜まりすぎていたので、だいぶお預けしていました。短編集てだけの知識しかありませんが読みます。
1話目。
モデルの美和はなかなか子宝にめぐまれず、夫には浮気をされていて、、、
そんな中、近所にネグレクトを受けている少年を見つける。彼は姪っ子の恋人だった。
痛快系かと思いきや、終わり方が個人的にはヘビーで、他の話を読むか正直迷いました。
暗い話かと思いながら読んでいた2話目。図体の大きい姉弟の物語。離婚を突き付けられて実家に出戻ってきた姉。高校で野球をやめてから腐ってしまった弟。お姉さんには悲しい現実があったけれど、だめなものはダメと言い、持ち前のパワーで言葉の通りに道を切り開くその正直さに救われるお話で好きでした。
そして、3話目はまたしても重い話。。。
祖母が孫である赤ん坊の面倒を見ている間に赤ん坊が亡くなった。。。警察は祖母の虐待死を疑い、やがて逮捕された。
祖父は早くに他界。母子2人で支えあったからこそ、祖母の無実を訴えた娘。実は彼女には同じく赤ん坊のころに亡くなった妹がいたのだ。妹が無くなって数日後、祖父は謎の事故死をとげた。。。実際にありそうな話で物語だから真実は分かるけれど、忘れた方が幸せなこともあることを実感します。
4話目。兄を殺された妹がその犯人へ手紙を書く。内容から察するに、犯人の男は発達障害のようだった。
なぜそれをしたらいけないのかが分からない。反省しているかと問われれば罪は反省していないと答える。
相手が不愉快になるだろうけれどと書いたうえで思いをつづる犯人。
やがて平仮名だらけだった犯人の手紙は、遺族とのやりとりのうちに漢字が使われるようになった。
遺族と犯人。
顔も声も分からない犯人に不思議な感情を抱き始めた遺族の妹との結末は。。。
暗いけれど、考えさせられる内容でした。
以前読んだ「ケーキの切れない非行少年たち」に出てきた様な内容の小説で、障害や家庭環境は人それぞれですが、平平凡凡さのありがたさが分かります。
湊かなえさんぽい書き方で読み易いです。
5話目。高校教師慎悟の前に現れた無精ひげの青年。
それは別れた妻との間に授かった、かつては娘だった佳澄だ。
定年間近の慎悟の生活に一時の潤いが運ばれたような同居生活。
性転換手術用にと貯金を娘に渡すため、郵便局にいくと先月までの貯金が無くなっていた。。。
離婚後、子供だった娘に慎悟が放った言葉に恨みを抱いていた佳澄はお金を持ち逃げしたのだった。
最後6話目。名前は出てこないけれど、描写が1話目にでてくる人の話。1話目では亡くなっていますが。何とも言い難いお話。
大体1話20分位で読めるので、ちょこちょこ読書向きでしたが、読後感が個人的には。。。ハッピーエンドが好きなので。。
2と4話目はもう一度読み返そうと思いましたが、他はちょっと敬遠
誰もが日常を過ごしていて、一つの出来事がこの本のように運命を変えることを改めて実感。
私が過ごしているこの小さな世界。井の中の蛙と一緒で一般人にとっては狭い価値観で過ごす日々。何事も、動くか動かないかという事で景色は変わるんだろうなと思います。
おすすめ度:★★☆☆☆
コスパ :★★☆☆☆
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