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「け」。
「やっぱりおおかみ」という絵本が大好きです。
子どものおおかみが仲間を探して、うさぎの町や、やぎの町、ぶたの町と、あちこち行くんだけど、みんな怖がって逃げちゃう。
おおかみは、一緒に遊びたくて、おれに似た子はいないかなって言うんです。
でも、似た子はいなくて、うさぎや、やぎや、ぶたの仲間になるのもいやで、「け」って言うんですよ。さみしそうにするわけでも、怒るわけでもなく(おおかみはシルエットで描かれてるので、表情は見えないんですけどね)、「け」って言うんです。
このおおかみに、親近感を持つひとは多いと思うけど、わたしもそうで、いつも似た子を探してた気がしてる。
一匹狼みたいなタイプでは全然なくて、ひとりで行動はできなかったけど、誰にも心を開いてなくて、ほんとの意味でひとりだった。
似た子はいないかなーって思いながら、でもみんなに混ざるのもいやで、みんなのことをひとりひとりの誰かと思えなくて、「みんな」としか思えなくて、わたしはみんなと違うって、心のなかで、「け」って言ってた。
✳︎
ゼロさんのこのエッセイが、えっわたしのこと?って思うような、エピソードを書いていらして、びっくりしました。
雲を眺めてる子供だったのはわたしで、風船が好きだったのもわたしで、物語のなかに入ってしまいたいって思ってたのもわたし。
わたしの最終学歴である、絵本専門学校で、そんな絵本ばかり描いてた。「好きなお話のなかに行けるなら、わたしは今あるすべてを捨ててもいい。」っていつもあとがきに書いてた。
自然に引き寄せられたみたいな、繋がりで、強い力じゃなくて、静電気みたいにふわふわなのに、なかなか離れない、みたいな力で、「おれに似た子」に出会えました。
この子も絶対、「け」って言ってたんじゃないかなって、確信してます。