自由律俳句まとめ 8月/『百縛百句』001〜015
鎖骨に金くさり揺れ夜がきた
会いに行く足10cm浮いている
影の中あるく影
よそんちの子の胸膨らんで沈んで日暮れる
夏猫遠ざける
昼の熱残す布団に伸びている
お囃子が右から左に抜けて秋
君とガイドブック見に行くだけの旅でいい
マシンガントーク耐えるイカ反る
見ているを見られて逸らす花
浮気の理由待って隣席ドリンクバー六杯目
駆けのぼるミニスカートに目線走る
捨てたい今日は燃えない日
食い込んだ肉が好きだった今は美しい君
帰りの電線の向こう光る団子
夏の終わりが待ち伏せていた駅舎
昨日より涼しい風に髪の汗乾く
バカ笑いに波打つ地面の鏡
飲み疲れた足音早くなる改札前
細かい雨に傘閉じて涼しいひと
金曜の永い夜まだ笑ってる
三枚のチケット鞄の中で萎れて過ぎる
二の腕に触れてしまって目逸らした
猫がミーンと鳴いた夜道
死ぬ音は唐揚げと羽ばたきだった
自由律俳句「しばり」マラソン
『百縛百句』にも細々と参加しています。
毛先の雫の行方を追っている (001 「雨」しばり)
寝息と揺れるカーテン見ていた (002 「日曜日」しばり)
転校してどろけい知った鍵っ子の日焼け (003 「鍵」しばり)
朗読する母の声遠ざかりわたしは空飛ぶ兎になる(004 「読書」しばり)
わたしだけを見ていた眼をわたしは看ている(005 「忠犬」しばり)
新しい通学路にでっかいおはよう(006 「引っ越し」しばり)
公園から火薬におって子どもたちはいない(007 「花火」しばり)
切り方が分からず夜が永い(008 「電話」しばり)
一本のペン握れず鳥は鳴き始める(009 「文房具」しばり)
探り合うふたり今日はまだ2回目(010 「写真で一句」)
いただきますを言えない大人になってしまった(011 「祈り」しばり)
捨てるならはじめからいらない部屋は広い(012 「エコ」しばり)
猫のいない朝掛け布団は軽くて(013 「朝」しばり)
効かない錠剤にらんだ(014 「薬」しばり)
広い空のみち歩いてあるはずのない故郷おもいだす(015 「畦道」しばり)
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