最近グラフィックレコーディングが怖いと感じるので、言語化してみる
グラフィックレコーディングとは、議論をイラストやテキストを使って可視化する手法だ。私は2018年からグラフィックレコーディングに興味を持ち、実践を始めた。2019年には月に1〜2回ぐらいのペースで場に立ち、描いていたが、今年に入ってなかなか描けていない。
もちろんコロナの影響でオフラインの場がなくなったことは大きな要因だが、それならばと、今まで描いてきたものポートフォリオにまとめようとしても、どうも気が乗らない。
なぜ?と考えたときに、自分の中に「グラフィックレコーディングをするのが怖い」という感覚があるのに気づいた。
なぜ怖いと思ってしまうのか…まずは原因を探るために、言語化してみようと思う。
◾️期待の目がプレッシャー
「グラフィックレコーディングをやっています」と話すことで、ありがたいことにまだ関係の浅い段階から興味を持たれたり、期待の眼差しを向けられることが頻繁にあった。
前職では同僚のはからいで業務の一環として描いていたし、新しい職場でも興味を示してくださっている人がいる。
また、ビフォアコロナはよくマーケ系のイベントに顔を出していて、会場で知り合った初対面の人がグラレコに興味を持ってくれ、話が盛り上がることがよくあった。
その期待に応えるだけの価値が、私の実力で提供できるのか?というプレッシャー。
また、後述するが、依頼者が望んでいる「グラレコ 」という言葉の中身に幅があることも腰が重くなる原因なのかもと思っている。
◾️SNSがもたらす絶大なインパクト
グラフィックレコーディングというのは、受け手にとってかなりインパクトが大きい手法だ。
イラストや図解はぱっと目に留まりやすい。SNSであればなおさら、なんとなくの印象でイイネされたりすごい勢いで拡散されたりする。
果たして内容にまできちんと目を留めてもらっているのかはわからないし、届けるべき人に届けられる一方、不必要にビジュアルだけが一人歩きしている可能性もある。
そもそもグラレコはリアルタイムで価値提供すべき情報のかたちなのに、SNSにあげること自体がどうなのか…という話もある。
◾️可視化から生まれる誤解や拡大解釈に、責任を取れるのか?という怖さ
事前の打ち合わせや準備を入念にしても、誤字脱字や甘い表現、間違った描き方をしてしまうことがないとは言い切れない。
また、情報を端的にまとめていくなかで、発言者の意図と食い違った表現になってしまうこともある。
そうなると、間違った情報が凄い勢いで拡散されるということになってしまい、とても怖い。
◾️グラレコという言葉のあいまいさ
先に少し書いたように、「グラフィックレコーディング」はもともとリアルタイム性を持ったもので、その場に参加した人の議論促進のためのものと定義されていたが、今ではその場に参加してなかった人もSNSで公開された「グラレコ」を目にすることがある。
また、議論や情報をビジュアルで可視化した類のものには様々な名称が飛び交っており(グラレコ以外だとスケッチノート、図解、フォトレコ等々…)、それぞれの定義の境界線は明確ではなく、描き手によっては本来の定義から枠が広がっていたりする。
だから自分が描いたものについて言及するだけでも、これはグラレコと言っても良いのか?など、どう発信するか非常に神経を使う。
◾️これから私はどうする?
ここまでダラダラと浮かんできた違和感を並べてみたけれど、正直、まだ全てのポイントに対処法が見つかったわけではないし、この文章を公開することで界隈に余計な波紋を生んでしまうかも…という怖さもある。
ただ、私は描く人全てがこういったグラレコのネガティブな面にフォーカスすべきだとは思わないし、グラフィッカー全体に何か警鐘を鳴らしたくてこの文章を書いたわけではない。
単に自分自身が慎重で気にしぃな人間なので(ストレングスファインダーの4位が内省、5位が慎重さゆえの石橋の叩きっぷり…)、納得してからでないとグラフィックレコーダーとして次のステップに進めないと感じて、綴ってみた。
終始ネガティブな論調になってしまったけど、実はまだまだグラレコやビジュアライゼーションの世界で挑戦してみたいことはたくさんある。
最近描いてなさすぎて食わず嫌いになっている気もするし、とりあえずリハビリがてら描くことからはじめようかな〜。
このご時世だし、オンラインのコミュニケーション促進としてグラレコを使ったファシリテーションもやってみたい!
あと、よくよく考えてみればこの悩み自体は2019年の後半ぐらいからずっと抱えていて、ここまで描いてこられたのは同じグラフィックレコーダー仲間に怖さを聞いてもらったり、それぞれの工夫を教えてもらったりして乗り越えてきたからだということも思い出した。
今はコロナでなかなかリアルに集まることは難しいけれど、オンラインやSNSを使いながら積極的に意見交換していくことも大事かもしれない。
さて、深夜の勢いで書いた文章だけど、頭の中が少し整理できたし、腹も括れた気がするので、ここから先はペンを持って描きながら考えていこうと思う。