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【ここに来るまで】 2000-2010年 海外での教員キャリアから得た3つの学び:ニュージーランドの高校教員としての10年間

はじめに - ニュージーランドの高校教員としての道

ニュージーランドのハミルトン市への移住は、僕にとって人生の大きな転換点となりました。

市内にある国立ワイカト大学の博士課程に応募をしたのですが、入学の可否を待っている間に、文部省により3年前に派遣されて勤務していたハミルトン女子高校の日本語担当教員に欠員が出て、正規教員としての道が開かれました。

この学校で教えた経験があり、以前の同僚もいてサポートを受けやすい学校でしたが、正規採用教員としての仕事量も増え、責任も重くなりました。

海外での教員キャリアから得た3つの重要な学び

1. 異文化環境でのクラスルームマネージメントの挑戦

日本語に興味を持ってもらえるように授業を組み立てるのは時間がかかりましたし、14-15歳の10年生を教えるのは苦労しました。この年頃の生徒の対応はニュージーランド人のベテラン教員にとっても課題となっていました。僕は日本では高校の教員でクラス運営の必要性がほとんどない進学校しか経験していなかったので、中学2年生に相当する生徒への対応についても学ぶ機会となりました。

具体的な課題

  • 文化的背景の異なる生徒たちとの信頼関係の構築

  • 年齢特有の心理的特徴への理解と適切な対応

  • 日本語学習への動機付けと興味の維持

これらの課題に対して、同僚の先生の教え方や教育専門書を参考にしながら、試行錯誤を重ねていきました。

2. 教師としての責任の深化

日本で英語教員をしていましたが、担任業務を英語で行うことは一つの挑戦でした。日本語の授業での英語での指示や対応も課題でしたが、担任としてのクラス運営上の英語表現なども学ぶ必要がありました。また、印象的だったのは、生徒一人一人への所見作成です。この業務は次の3つの要素が複雑に絡み合う重要な責務でした。

  • 教科担当者としての専門的な評価(日本の高校では教科担当者は成績を出すのみで、生徒個人の所見を書くことはありませんでした)

  • 担任としての総合的な生徒理解

  • 保護者とのコミュニケーション(教科担当教員も保護者とインタビューをする機会がある)

日本の高校で担任の経験はありましたが、担任業務を英語でこなしていくのは時間と慣れが必要でした。成績については、教科担当者が通知表にコメントを書くき、それを全て読んで担任としてのコメントを書き、最終的に校長がサインをして、生徒に渡すということになっていました。この作業にはとにかく時間がかかりましたが、一人一人の学びを大切にするということを体感する貴重な経験でした。

3. 教師としての成長と心の健康管理

この高校に10年間勤務しましたが、当時の苦労はありがたき学びで、現在の僕の教育実践を支えています。

とはいえ、苦労している時は苦労としてしか感じられず、クラス運営が上手くできない自分の自己肯定感はかなり低くなっていたと思います。また、反抗的な生徒に英語で即座に対応できるようになるために、状況と対応を想定して、それを英語で言う練習などもしていて、ストレスを感じていました。

当時は心の整え方やマインドフルネスなどに関心もなく、ストレスが積み重なっていて、不機嫌だったり、しかめっつらをしていることも多かったような気がします。そういう心の状態で生徒と向き合っているので、負のスパイラルにハマっていたような気もします。

10年間の経験を通じて、最も重要だった学びは以下の点です。

専門的成長:

  • クラスルームマネージメントスキルの向上

  • 異文化理解力の深化

  • 教師としての視野の拡大

個人的な気づき

  • ストレス管理の重要性

  • 心身の健康バランスの必要性

  • 自己肯定感の維持の大切さ

現在の教育実践への影響

当時の苦労は、現在の教育実践の礎となっていて、特に次の3点で大きな財産となっています。

  • 多様な文化背景を持つ生徒への理解

  • 効果的な学習環境づくりの手法

  • 教師としての自己成長の重要性の認識

おわりに

振り返れば、この経験は教師としての成長だけでなく、人間としての成長も促してくれました。現在では、当時のストレスフルな経験も、教師としての深い学びの機会だったと捉えることができます。

これらの経験は、教育における「技術的なスキル」と「人間的な成長」の両方が不可欠であることを教えてくれました。現在は大学で教えていますが、今後も、この経験を活かしながら、より良い教育実践を目指していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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