日本美適進化論:美意識と自己実現
戦国時代から明治維新、第二次世界大戦の敗戦を経て日本人は間違いを悔い改め平和を実現させるため、品行方正で道徳的、正しい生き方を目指しました。敗戦というトラウマも高度成長期、バブル期を経て払拭されようとした矢先のリーマンショック、さらにCOVID-19 の流行、経済も幸福度も健全とは言えない負のスパイラルから長期間抜け出すことができません。
映画『世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』で、第40代ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカ氏の、「人は幸せになるために生まれてきた。」と小国の力強いリーダーの言葉は、どのような状況でも、私たちひとり一人の気持ちが強く前に向き、日々変化する社会や日常に不安を抱かず幸せに生活できるならば、貧困や自死、少子化などの社会問題が山積することはないと示しています。
第二次世界大戦時に8000万人以上の民間人が犠牲になって75年。平和を実感する世の中を創ることができない本質的な問題は、どの時代も国をリードする一部の実力者集団の偏った「自己実現」に翻弄される社会に、塗る薬が見つからないことだと感じます。私はこの薬となるのは立場を越えたひとり一人が美しさを基準としたマインドとスタンスを持つことだと考えています。「美意識」は幸せになるための手段なのです。
■■■美意識と自己実現■■■■■■■■■■■■
1)偏った自己実現
2)エネルギーを奪う人
3)美しいかそうでないか
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1)偏った自己実現
発言権を持ち社会をリードするために百戦錬磨チャレンジして、数%の「成功者」の椅子に座る。このようなイメージを多くの人が夢見て色々なものを犠牲にすることに陶酔していたのかもしれません。私たちの身体には脈々と時代を生き抜いてきた「危機管理」の染色体がプログラミングされておりますので、競争や戦うモチベーションは本来身に付いています。
「自己実現」とは、目標達成や夢の実現、また理想を手に入れることというように理解されている言葉かも知れません。実はこれは偏った解釈です。社会は競争に強い人や戦うことが好きな人ばかりではありません。
自己実現には、「自律性の発揮」や「内面の統合」、また「人間関係を通じた成長過程」と、様々な意味が含まれています。
〇個人の能力や強みを発揮できる。
〇充実感や感謝、達成感や喜びといったポジティブな感情を手に入れる。
〇自分と他者また社会とのつながりの中でバランスの取れた生き方ができる
マズローの欲求段階では、最上位に位置する自己実現とは、これらが実感覚として得られる状況です。誰もが憧れる理想的な成功者を目指すことは、決して悪い事ではありませんし、個人の自由です。しかし、生きていて違和感を感じていたり、このままで良いのかと強い動機づけがあるならば、ちょっと視点を変えて、いままで自分が選択してきた時間の中に、このような意味合いを探してみるのも、素晴らしい時間だと感じます。
2)エネルギーを奪う人との関わり方
成功者を目指す人の中には、無意識に疲れを伴う関係を求める人がいます。例えば見下し、脅し、否定、目立ちたがり、お涙ちょうだい、依存、正論で論破するなどがそうかもしれません。人間関係は「五分五分の法則」(1-9までの数字をそれぞれ掛け合わせて行くと5×5が一番数字が大きいことから)で、お互い五分と五分の関係が良い状態が持続しやすいと言われています。持てる能力の違いを補填し合いお互いの成長を促す関係が長く続くことで、信頼関係という宝物が育まれますね。
人間関係に疲れそうな相手とは、すぐにお腹いっぱいで、もう十分にこの関係には満足している状況だと納得するようにしましょう。お互いが五分五分の良い関係にできるかどうかの判断やタイミングを待つことも自律的で責任ある行動ですね。
3)美しいかそうでないか
美しいかそうでないかの判断基準は感性的です。サービスはマニュアル化できるもの、ホスピタリティはマニュアル化できないものとそれぞれが違うように、感性的な判断はマニュアルにできません。日々の感性的な判断の成果測定は自分で検証していくしかありません。そして、正しいか正しくないかの判断を、時間をかけて根拠を探し決断する時間ももうありません。そういう意味では同じ経験を長く繰り返して来た人と、無尽蔵に様々な経験を通して決断してきた人とのサバイバルな感性の鋭敏さは違うもので、その判断基準も、やはり自分らしく強い軸足を持つ美適思考にあります。何が美しい選択なのか?切り取り方によることは百も承知で、政界の文書改ざんなどの事実が明らかになるほどに、リーダーこそ「美しいかそうでないか」の判断を採用し、日本を導いてほしいものです。政治家先生ほどの影響力を持つ方が、派閥ではなく環境や人権問題などの専門分野などの組織を育てる流れって出来ないものなののでしょうか。