日本美適進化論:距離間のバランス感覚
人間関係でも仕事でも、距離を感じとるバランス感覚が長けていると、良い関係が長続きしやすいと感じます。人間関係はまさに日常そのもので、温かくかけがえのない大切な関係や、信頼、共助、刺激、冷めた、辛い、こじれた、断ち切りたい関係など、「知人・友人・親友・恋人・夫婦・家族・同僚・上下関係」とその境界線はあやふやですが、常にその間柄には変化する距離間があります。
その距離と関係性に関心を持ち、日々親しみと愛情を持って大切に接することで良い関係性が支えられますが、おざなりに放置していると、いつの間にか埋められない大きな隔たりが出来てしまい、克服しようとしても修復が不可能です。その距離間をどのように捉えることが上手く関係性を保つ秘訣なのでしょうか。自戒を込めて考えてみたいと思います。
■■■距離間とバランス感覚■■■■■■■
1)同調圧力への対応
2)意見はテーブルの上に
3)観察・確認・共感の距離
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1)同調圧力への対応
「経済的な優位性」や「利害関係」、「雇用関係」、「優劣」などの関係をを持つ集団の中で起こる、意思決定や合意形成を行う際の心理的な圧力(同調圧力)がある場合、異を唱えるにはかなりの勇気が要りますね。圧力を加える側と受ける側の心の距離間は遠く、何を言っても届かない無力さを感じて諦めてしまいそうになる距離を埋めるには、どうすれば良いのでしょう。会議や打ち合わせの場でチャレンジしましょう。偉い人や多数派の意見でまとまると結論は見えているのに、どうしても違和感を感じて問題提起したい場合。まとまりそうな意見や解決策が誰に向いているものなのか、例えば「経営側」「従業員側」「顧客側」のどれかに偏っていないか、各論で競っていないか、総論へ視野を広げて自分のベストな意見を持つことも大切です。部署内の問題ひとつでも、会社全体にとってどうなのかと考える習慣です。
そして同調圧力をどう打破するかですが、これはやはり、日頃から自分の意見を伝える習慣が大切だと感じます。全てに物申すのではなく、違和感を放置せず対話する。言わずに受け流すことが同調圧力を助長している場合も見受けられます。この点、上手く対応できる人は、反論にせず提案型に変換しています。「部長のご意見に深く共感いたします。そうしましたら私たち自身にいくつかアイディアをまとめさせてください。」と、手綱を渡してもらう。同調圧力下で息苦しい仕事をしている環境は、楽なようで企業体力を蝕む要因になります。たくさんのアイディアを生み出せる職場で、圧力という一方的で強い力を分散させるバランス感覚は、職場の空気も軽くします。
2)意見はテーブルの上に
英会話の先生が、時々こんな話をされていました。日本人は意見を出した人がその仕事を担当しなければならなくなったり、意見を出せば出すほど役割が増えるから、どんどん意見が出なくなる。誰が正しくて、誰が間違えているか、一度出した意見は訂正が出来ないと思い込んでいるから、さらに口をつぐむようになる。しかし、英語圏の人たちは、自分の意見をテーブルの上に乗せる感覚なのよ。だから、正しくてもそうでなくても、たくさん意見を出した後にそれを皆で良いものに創っていくのよ。
問題に対しても、自分はあまり関わりたくないと遠慮がちに取り組む解決策と、様々な意見を出し合い全員で創り出す解決策では、その過程で得られる豊かさのボリュームが圧倒的に違いますし、やりがいも楽しさも違います。問題を他人事にせず、身近な距離間で向き合うことで、後手後手にならず放置せず、スピーディに対処することができそうですね。
3)観察・確認・共感の距離
初対面でも親しい間柄でも、その日のコンディションによってテンションコントロールが必要な場合があります。自分のテンションを一方的に押し付けず、まず会う相手を「感じようとする」ことが大切です。合わせるのではなく一呼吸目を「感じる」ことで、相手との波長をチューニングする。会った途端に会話が途切れないように話し続けなければならないとか、明るく盛り上げなければとか、無理をすると続きません。間合いが一致すると、安心しますね。以前、著書にも書きましたが、相手に会ったら全体の様子を感じて状態を感じる観察の距離(決してジロジロ観るわけではありません)、次に、近況を交換し合いなからお互いの状況を確認する距離、最後に相手の気持ちや思いに共感する距離。観察・確認・共感の心の距離を近くしたり放したりを繰り返しながら、良い関係性のバランスを取ることで信頼関係が持続するのだと考えます。
そんなことを全てオートマティックに出来る関係の心地よさは、手放してはいけませんね。人間関係は自己顕示欲や偏見や優位性などが複雑に絡みますが、シンプルに親しく居たいという思いを持つ相手に真摯に対応することや、スッキリと合意を引き出す誠実さも、人間関係のバランスの良さにつながるのかも知れませんね。