9月9日 :『ワーキングクラスの親は、映画やテレビを子供の職業として考えていない』。10人に9人の労働者階級の親が、伝統的な職業を優先し、クリエイティブな仕事への挑戦を思いとどまらせている、という英ガーディアン紙の記事。
10人に9人の労働者階級の親が、映画やテレビのキャリアを実現可能な職業だと考えていないため、子供たちにこの職業への追求を思いとどまらせている、という報告書が発表された。 Netflixとナショナル・ユース・シアターが実施した調査によると、労働者階級の親の89%が、持続可能なキャリアではないという認識から、この業界で働こうとすることを子供に勧めないと考えていることがわかった。ナショナル・ユース・シアターの学生500人とその親や保護者2000人へのインタビューに基づくこの報告書では、法律、医学、金融といった 「伝統的な」職業が、向上心のある若者にとってより魅力的で安全な職業であると考えられていることがわかった。 『フォー・ライオンズ』のスターであり、ナショナル・ユース・シアターのパトロンであるアディール・アクタルは、子供たちのためにテレビや映画のキャリアを拒絶しないよう両親に勧めている。初めて演技に触れたのは、母親が彼の発声を良くするために演劇のレッスンに通わせたのがきっかけだった。その後、父親に 「押されて」法律の学位を取得。それから俳優としてのキャリアをスタートさせた。アクタルは「そのような(経済的困難な)背景、あるいは少し不安定な状況の出身であれば、自分の子供にリスクの高い業界に行くことを勧めることはないでしょう」と言う。この調査では、芸術が職業としてふさわしいかどうかについての親子間の話し合いには、いまだに強い階級的要素があることを示している。回答者の4人に1人は、両親、保護者、またはケアラーが彼らの創造的な試みをサポートしていないと答え、75%弱は両親が彼らのキャリア選択を教育の無駄とみなしていると答えた。アクタルは、テレビや映画における労働者階級の声が少なくなることの代償は、独創的な番組が減少することだと考えている。「今テレビで放映されている『アトランタ』のような番組、つまり多くの人が自分の人生経験について語れるようなストーリー、語る価値があると人々が感じられるような空間が必要なのです」。 今回のリサーチは、Netflixが芸術において 「階級の溝」と呼んでいるものについての他の学術的研究と一致している。2022年に発表された調査によると、1953年~62年の間に生まれた俳優、音楽家、作家の16.4%が労働者階級の出身であったが、40年後に生まれた者ではわずか7.9%に減少していた。 今年発表された分析によると、英国の芸術文化関係者の10人に6人はミドルクラス出身である。映画、TV、ラジオ、写真関係の仕事に就いている人の8.4%が労働者階級出身者で、博物館、資料館、図書館では5.2%に過ぎない。 劇作家のジェームズ・グラハムは、エジンバラのテレビ・フェスティバルで行われたマクタガート講演で、人種やセクシュアリティなど他の個人的特徴と同じように階級を扱うようテレビ業界に呼びかけた。「自分とおなじような外見や声の人物やキャラクターがスクリーンに登場し、その経験やジレンマ、喜びが自分自身を反映しているのを見たら.....。オーディエンスにとって、そこにはカタルシスがあるのです。承認されるのです」。 ナショナル・ユース・シアターのチーフ・エグゼクティブ兼アーティスティック・ディレクターであるポール・ローズビーは、芸術への投資が持続的に不足していることが、クリエイティブ産業が安定した雇用形態ではないと親たちが感じる一因になっていると述べた。「リセットや刷新について話しているのです。真に全国的な規模で.....。 私たちは、芸術がいかに素晴らしいかだけでなく、なぜ(芸術が)国民性にとって重要なのか、その価値を本当に根付かせる義務があるのです」。 リサ・ナンディー文化相は、この調査とNetflixのイグナイト・スキーム(テレビと映画における不平等を減らすことを目的としている計画)への支持を表明。労働党は「これらの分野へのアクセスを開放し、英国全体をより代表するものにする」と述べた。
The Guardian: Working-class parents do not see film and TV as viable career for their children この懸念は、何も今始まったものではなく、以前より、ジュリー・ウォータースなどのベテラン俳優などが警笛を鳴らしている(↓)。そこには、親の理解だけでなく、ドラマ・スクールの学費の高騰なども挙げられ、ワーキング・クラス出身の子供・学生たちがアクセスすることのできる道が閉ざされているのである。
少し話がそれるが、オアシスの元ツアー・マネージャー、イアン・ロバートソンのSunday Papers Live(↓)公演を思い出した。イアン・ロバートソンはバンドの初期に、ツアー(ロード)・マネージャーとして、彼らと24時間365日を共に過ごし、無名から大スターダムへの道のりを目撃した人物だ。
Robin Clyfan(司会者): オアシスを本当に痛烈なものした錬金術、もしくは特別な要素というのは、ライバルだったブラーと比べると、それは音楽業界によって少し仕組まれたものではあるものの、そこには真の確執があるように思えました。オアシスが解散した後、ノエル・ギャラガーは、デーモン・アルバーンがマンダリンでオペラを書いたという情報を受けて「俺は革新的なことはしない。労働者階級だから」と言いました。私はそれを聞いて、彼は「俺は本物志向で、他のバンドにはないものに根ざしている」というような意味で言ったのだと思ったのですが、その真正性(オーセンティシティ)とは、他のバンドが持っていないような階級的なストーリーがあるということなのでしょうか。あなたの視点から見て、それはどのようなものなのだと思いますか。イアン・ロバートソン :私はそこには真実があったと思う。ノエルのライティングには真実さがあり、リアムの表現には真実性があった。そして実は、これは本当に重要なことなんだけど、その真実性は、リアムの真実性に由来するものだと思う。リアムは、好き嫌いは別として、完全に真実なんだ。リアムはフィルターをかけないし、私はそれに関して彼を尊敬している。でもそれは、マイクを通して、ライブ・パフォーマンスを通して、自分自身を表現することでもあるんだ。ノエルは率直なところから曲を書き、リアムは完璧な真実味をもって曲を提供する。そしてそこにはエネルギーとハングリー精神がある。それに時代精神もある。
Sunday Papers Live : Oasis, the truth? - Iain Robertson - Music- #24 Edition 階級だけでなく、アイルランドからの移民だったことにも言及しているが、ノエルの言う「authenticity」が歌を通して、「truthfulness」として、オーディエンスに届いたというのが、このバンドを唯一無二のものにしたというのであれば、これは非常に重要なわけで、先のガーディアンにもあるようにカタルシスとして人々に心に浸透したというのとほぼ同じ意味なのでは、と解釈する。少し前に、ゲイの役をなぜヘテロセクシャルな俳優が演ずるのか、ゲイの役はゲイの俳優が演ずるべき、というような論議があったが、同じようにワーキングクラスが題材の作品はワーキングクラス出身の俳優が演じるべき、という論議が起きてもおかしくないはずだ。そういう意味では最もダイバーシティを必要とする業界であるべきなのだが、国家レベルの介入でサポートすべきセクションといえるだろう。
こちら(↓)司会者Robin Clyfanのインスタなのだが、キャプションの最後に「NB (注):私は今回のチケットが360ポンドになる前に彼にインタビューしたので、今回のチケット騒動が「authenticity(信憑性)」のどこに位置するのか疑問でならない」と述べていて、サーカスティックなイギリス人好き。
9月11日 :ラマクは踊っているのか?それとも倒れそうになっているのか?ファット・ドッグのライブはポゴもダイブもモッシュも凄いので、押されまくってるのかな。
あの年齢で最前列て、やはり凄いなラマク。私も見習う。
9月12日 :パンク詩のゴッドファーザー、Dr. ジョン・クーパー・クラークが、アークティック・モンキーズの「I wanna be yours」を素晴らしいと絶賛。「ポエムをソングにするなんて、自分にも出来たらよかったんだけど、僕はアレックス・ターナーの持つ‘’芳醇甘美なメゾ・バリトン”を所有していないから」。
‘’芳醇甘美なメゾ・バリトン”って、さすが詩人。
9月13日 :『Emily in Paris』S4P2 の全エピソードをビンジ。
ブリジット・マクロンのカメオは良かった。
Genevieve 役のThalia Besson は、リュック・ベッソンの娘なのか。 『エミリー・イン・パリス』ではあまりプロットは意識していないので、映像を楽しんでいるのだけど、ファッションは相変わらず素敵だが、カミーユの衣装とメイクがディズニーの女ヴィランのようになっているのはなぜ?
9月14日 :本日お届けしたポケモン・ケーキ。
下はチョコレート味で、上はバニラ味のスポンジ。 喜んでもらえました。
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明日、大学に行ってしまう長男のために、かつ丼を予定していたら、ロンドン最後の夜は『Asakusa』に行きたい、と言うので、オーナーの友人に速攻連絡して、テーブルを用意していただきました。
それこそオーセンティックな日本食がいただけます。 お店のインスタはこちら(↓)。
9月15日 :長男が大学へ旅立って行きました。涙涙のお別れ(私が)。
部屋はごく一般的なシングル・ルーム。 ベッドの横にワードローブ、向かいに机があります。 夫が送って行ったのですが、キッチン・トイレ・シャワーは8人でシェアしなければならないのだけど、スチューデント・バーやスーパーも近く、ロケーションはとても良いと。長男が落ち着いたら、会いに行く。
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今週の一曲:Sergio Mendes & Brasil '77 - Zanzibar
RIP.
(今週終わり)