【ロンドン発】今週の日記(3月5日~3月11日):今週もいろいろありました&いろいろ聞きました。
3月5日:ロンドンに来て、初めて出張ヘアカットをお願いした。
美容室に行けば、髪のお手入れだけでなく、日本の雑誌も読めるし(古くても良い、とにかくパーマをあててもらっている時間、目を皿のようにして読み続ける)、美味しいコーヒーなども頂けるし、で、精神的トリートもあるので、この時間とお金は惜しみたくなかった。が、コロナ以降、雑誌もドリンクも無くなってしまい、しかもお気に入りのヘア・スタイリストさんがなかなか固定しなかったこともあり、友人の紹介でついに出張ヘアカットデビューとなったのでした。
3月6日:インテリア・デザイナーの友人と朝コーヒー。彼女は、4年ほど前に、手入れの必要な一軒家を安値で購入し、自分でリノベーションして完全新装、その素敵な自宅をポートフォリオにし、クライアントを新規開拓した新鋭デザイナー。実は自宅を改装した際、完了してすぐ、マーケットにも出していないのに、かなり高額のオファーがあったそう。もうこのまま住まずに売ってしまおうかとも思ったらしいが、子供3人、彼らの生活にはスタビリティーが重要だし、自分もベースが必要なので、泣く泣く断ったそうだ。しかしながら、彼女、自分でビジネスをしているだけあって、人脈&情報網凄い。次から次へと話題が出てくる。とにかく出て、人と関わるのが得意なんだろうな。その心意気と行動力を見習おうと心に決めたのだった。
メルローズ&モーガンのケーキ、久しぶりにいただきました。
3月7日:英BBCのジャニー喜多川氏に関するドキュメンタリー「Predator: The Secret Scandal of J-Pop」を視聴。
喜多川氏への告発やその内容に関しては、上の二つの記事がほぼほぼ網羅しているので、特筆することを避けるが、私が一番驚いたのは、文春の記者が語っていた、「日本の中では男性同士の恋愛や性交渉自体を鼻から信じていない」と偏見があった、というところ。1999年の告発の時点でそうだったということなのだろうが、私自身が、その時点では同性同士の恋愛や関係を少なからずも認知していたので、そうだったのか、と仰天。
そして、これは私も知らなかったのだが、プレゼンターのモビーン・アザーによると、日本は英国の2倍の人口があるにもかかわらず、サイコロジストの数が同じなのらしい。また、日本における男性性被害者のためのセラピストは、たった一人、インタビューに応じていたノブキさんだけ。これは少なすぎる。事実私のまわりは、プロのサイコロジスト、セラピストが多く(専門はいろいろだが)、彼らの抱えるクライアントもかなりの数だ。確かに日本に比べると、セラピー・トリートメントは、イギリスではより一般的であり、アクセスしやすい位置にあるからなのかもしれないが、絶対数に問題があるのは、未だセラピーを敬遠する風潮があるからか、効果を信じていない人が多いからなのか。アザーも、インタビューの後、「彼は自分に起こったことをプロセスしていない」と何度も話していたが、「acknowledge (認識する)」という初期段階を手助けするという意味でも、セラピスト/サイコロジスとの存在はとても重要だと思う。
英ガーディアン紙の番組レビューは星3つ。「残念なのは、モビーン・アザーが、(被害者への)インタビュー後、怒りや不信感を露わにするものの、日本における恥の文化や礼儀の重要性を詳しく説明していない。また、ジョニー&アソシエイツ(現在は北川氏の姪である藤島ジュリー氏が経営)が自分の問い合わせに応じないことに対して、信じられないという気持ちや不満が、プロとしてではなく、小心者として伝わってきて、全体のトーンを少し下げてしまっている」とのことだが、私は、実はここが良かったのではないかと思うのである。インタビュー後、アザーは何度も「I can't get my head around it(理解できない)」、「Odd(奇妙だ)」と繰り返していたし、その怒りや困惑の表情は、まさに観ている私の気持ちそのものだったから。また、最後にジャニーズ事務所に突撃訪問した際のクリップを観れば分かるが、”小心者”というのはかなりズレている。小心者だったら突撃訪問は出来ないし、しかもかなり食い下がっている。そして、最後に追い出されたあとのフラストレーションが手に取るようにわかる。新しい情報は少なかったかもしれないし、結果としては、不毛に終わっている。しかし、意図せずとも、そこにこのドキュメンタリーの意味があるのではないだろうか。こんなに頑張って取材しても何も出てこない、というところに。
エプスタインやワインスタイン、そしてイギリスではジミー・サヴィルなど、残念ながら、グルーミングや性的搾取は世界的に珍しい事件ではない。しかしながら、この番組では、そのような事件を日本がどう取り扱うか、日本における恥の文化や波風を立てない礼儀の重要性の負の部分が、この事件にどのような影響を与えているのかを世界に露呈しただけでも、意味はあったのではないかと思うのである。
加筆追記:日本でも観れるようです。
3月8日:現在日本滞在中の友人から写真が送られて来た。彼は、5日に行われた東京マラソンに出場し、その後少し東京を楽しんしているようだ。元々は2020年に日本へ行くはずだったが、コロナでキャンセルになってしまった、振替来日なので、喜びもひとしおだろう。
ところで、マラソンの写真は?
3月9日:夜、友人が近くに来ると言うので、寄りなよ、とメッセージ。夫と3人でワインを開けると、彼が「そう言えば、嫁がボスからワインを貰ってさ・・・」と言う。彼の嫁は、友達であるビリオネアの元で働いていて、PAと言う名の雑用を週3日やっている。そのボスからワインを2本貰ったらしいのだが、1本は£2000、もう一本は £1400もする代物だったらしく、ボトルを前にして、これはどうしたものか、と2週間ほど考えあぐねていたら、ワインに詳しい義理の弟が、管理をしっかりしないと、ワインは劣化し価値がなくなる、というので、その義弟の家のワイン貯蔵庫に入れさせてもらっているそうだ。「じゃあ、特別な日とかに開けるの?」と訊くと、飲みたいかどうかも分からなくなってきた、とかなり困惑している様子。ハードワークのボーナスと思って飲んじゃいなよ、と言ってみたが、現金だったらこんなに迷う事なかったのに、と。確かに現金の方が良かったな、と思う私は貧乏性?£2000のワインって、やっぱり味が違うのかな?戸惑う気持ち、分からなくもない。
3月10日:AMOKが10周年とのことで、こちらのポストが流れてきて思いだした、コリオグラファー&ダンサーの Fukiko Takaseさん。
昨年、ノッティング・ヒルのコロネット・シアターにて開催された『ELECTRIC JAPAN 2022』では、ヴォイス・アーティスト、Hatis Noit(ハチスノイト)さんと共演されたのでした。ため息が出るほど美しいパフォーマンスでした。その時の様子は下のブログで。
3月11日:ギャリー・リネカーのツイートが物議を呼んでいる。
そしてこちらが問題のツイート。
個人的には、降板させられるほど物議を醸すツイートとは思わなかったのだが。まず、リネカー氏はBBCの社員ではなく、フリーランスのコントリビューターなので、同社のガイドラインが適用されるべきではない、という見方(番組内で発言したのなら、また扱いが変わってくるかもしれない)。そしてやはり、言論の自由は守られるべきである、と言う見解。
結局11日の『Match of The Day』は、他の共演者たちもリネカー氏に同調し、コメンテーター無しのハイライトのみの短縮版で放送された。リネカー氏は、同番組のメイン司会者というだけでなく、番組の顔になっているので、代わりを立てて番組を続行することは不可能かもかもしれない(代わりがいればの話だが)。これによって、BBCはオウンゴールを食らったような形になったが、リネカー氏も、この先の動向に関してはまだ沈黙を守ったままで、同番組の存続の危機と言えるかもしれない。
話は変わってラグビー。今日は6Nations フランスvsイングランドだったのだが、なんと、53-10でフランス圧勝。やったー!
ラグビーに関しては俄然フランス・サポーターなのだが(アントアン♡)、イングランドのマーカス・スミスは応援したく、少し複雑な気持ちに。
残念ながらイングランドは大敗してしまったけど、良い選手なので、応援していきたい。
(今週終わり)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?