学校再開と大人の学びーオンライン学習の長所と欠点、そして私はやはり教室で学びたい。
3月23日からロックダウンとなったイギリス。
家はというと、夫は普段から在宅、私も家でできることを仕事にしているので、状況としてはあまり変化はなかったのだが、一つだけ心を悩ませたのが、子供たちが学校に行けなくなってしまった、ということだった。
家には2人息子がいるのだが、有難いことに友人が多く、毎日友達に会いに学校に行っているようなものだったため、授業・勉強が、というよりも、友達と会えない息子たちを見るのは正直辛い。
そして、オンライン学習が始まったのだが、最初は親の方が不安で、授業が始まる前からクラスのチャットは、ネットが繋がらない、声が聞こえない、何が起こっているの?など、喧々囂々。「まだ始まっとらんがな、5分前やし」と心の中でツッコミを入れながら、どんどん増えていくコメントを眺める。
中には、学校が休校となった途端、出身国に帰ったり、セカンドホームへ行ったりしたクラスメイトもおり、彼らは時差を計算しながら授業に参加している(「カメラの向こうにプールが見える」と次男、笑)。
子供の教育に関しては熱心な親が多いため(授業料のディスカウントが少なすぎる、と文句を言っていた親もいたが、私はディスカウントによって授業の質が落ちる方が嫌だ)、出席率は100%、さすが進学校だ。
しかし、一部の公立校では生徒の約3分の2がログインすらせず、授業が成り立たない学校もある、という報道もあり、結局は親の監視と関心が問われるという、オンライン学習の弱点を浮きだたせてしまった。
(先日、公立校の4年生に通う子をもつ友人と話したら、クラス30人中出席したのはたった3人という日があったと言っていた)。
子供達の学校がオンライン学習になってしまったと同時に、もう一つ、私のフランス語会話学校もオンラインになってしまった。
私のZoomフランス語学習に関しては、以前noteでも書いたが、オンライン学習も回を重ねるにつれ、進行具合がやはり遅くなってきたような気がする。先生も全員が理解しているかどうかをいちいち会話で確認する必要があるし、教室の雰囲気が存在しないため、質問するタイミングがつかめず、スモールトークも無くなった。オンラインでの語学学習にリミットがあるとは思わないが、やはり教室に赴くことである程度の緊張感があった方がいいような気がする。
そんなことを考えていたら、今日Eメールで、ジェイミー・オリバーのクッカリー・スクールに関するインターネット調査の依頼が来ていた。
(ジェイミー・オリバー(Jamie Oliver)はイギリスを代表するセレブ・シェフ。「Naked Chef(裸のシェフ)」という料理番組で一躍有名になり、彼の発行する料理本は常にベストセラーとなっている)。
今年1月に同料理教室でラビオリ・クラスを受講したので(残念ながら講師はジェイミー・オリバー本人ではなく、ジャックというシェフだったのだが、ジェイミー・オリバーと全く同じじゃべり方をするので、これも修行のウチなのか?洗脳?とビビった)、メーリングリストに載っていたのだろう。
中央がジェイミー・オリバー。そして右端がティーチング・シェフのジャック。常に元気づけて、褒めまくりながら教えてくれるその口調はジェイミー・オリバーそっくり。
ロックダウンに入り、料理教室が開催できなくなったので、オンライン料理教室への興味・関心を問う内容の調査だったが、彼らも迷走しているのが手に取れるように分かる質問だった。例えば、「約2時間のオンライン料理レッスンにいくらまで払えるか」「ある一定の時間帯を定めてグループレッスンを行う(閲覧のみ)のが良いか、それともシェフと同時進行に自らハンズオンで調理をし、手元をお互い確認しながらの方が良いか」「その場合、材料を前もって教室側送料負担で届けて欲しいか、その場合はいくらまで払ってもよいか」等々。恐らく開催側にとってのオンライン学習の欠点は、選択肢が多すぎるということだと思う。一見、できることに制限があるように見えるが(事実あるのだが)、実際まわり始めると、あれもできるし、これも加えることができるのでは、と。生徒側は与えられる限りの最高のサービスを求めるし、開催側は経費を勘定しながらも、フィジカルに教室がオープンする時まで、顧客をつなぎとめておく必要がある。
オンラインによる学習は、開催側にとっては、ある意味その能力と質を試されている苦肉の策のようにも見えるが、実はこれはロックダウンを理由にいろいろと試行錯誤をすることができる、絶好の機会だといえる。というのも、様々な理由で(時間がない、物理的に通う距離にいない、など)学びをあきらめていた人たちに、オンライン学習というものをリマインドさせ、体験させることができるのだから。
私自身は、やはり、フィジカルに教室に通い、ハンズオンにて学習する方が向いていると考えるため、教室が再開すれば、家を飛び出して通うつもりだが、学びの形を広げるうえでは、オンライン学習は非常に有効的かつ合理的な手段の一つといえるだろう。
話は子供の学校に戻るが、イギリスでは、6月1日より一部の学年に限り、学校が再開することになった。再開時期、安全基準、対策などについては賛否両論あり、家の学校に関して言えば、子供を学校に送らない、と決めた家庭についても任意の欠席扱いとしフォローアップを約束している。
家は次男がYear6(6年生)でこれにあたり、小学校最後の1か月だけでもお世話になった先生たちや仲のいい友人たちと過ごせるの機会があたえられてほっとしている(とは言っても、家の子供たちが通う学校はエスカレーター式なので、友人たちはほぼ持ち上がりだが)。
大人の学習は必ずしも社交を必要としないかもしれないが、子供は学校という規則のある社会から学ぶことが多い。今回は限られた学年のみの再開となったが、今年9月にはすべての生徒が足並みそろえて新学年を始めることができるよう、ただ祈るばかりだ。
ジャックに励まされて作ったラビオリ。初めてにしてはなかなかの出来だったと思う。