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【ロンドン発】2024年週刊ジャーナル(3月4日~3月10日):今週もいろいろありました&いろいろ聞きました。
3月4日:イギリスの独立系レコード店の数が10年ぶりの高水準にあるというニュース。
デジタル・エンターテイメント・アンド・リテール協会(ERA)によると、英国には現在461の独立系レコードショップがあり、10年前より122店舗増えたという。音楽、ビデオ、ゲーム分野の統計をまとめたERAの『2024 Yearbook』によると、英国の音楽市場は昨年22億ポンドに達したが、その84%という大きな割合をストリーミング配信が占めている。しかし、レコード需要は16年連続で増加し、その販売数は650万枚、売上は1億7000万ポンドを超えた。そのうち220万枚は独立系店舗で販売され、全体の売上のうち1億1000万ポンドは新譜ではなく旧譜によるものだという。
サマセット州フロムにある独立系ミュージック・ショップで働く、ジミー・ブロックルスビー(24歳)は、「レコードの売り上げは安定しており、ここ数年で明らかに上がっています。平日はCDが圧倒的に売れているが、再発盤、記念盤・特別エディションなどは、確実に売り上げを押し上げるのです」という。彼は、この店には60年代からレコードを買い続けている常連客も多いが、オリヴィア・ロドリゴやThe 1975のようなアーティストのファンである若い客もいる、と続ける。ベサン・カリー(28歳)はTikTokアカウントを運営し、「数百枚はある」と語るレコードのコレクションを披露している。カリーは、TikTokのおかげでオンラインで新しい友人を作ることができたと語った。彼女は「ただ音楽を聴くだけでなく、本当に見つけたいアルバムを探しに行くという実際の行為が重要なのです。TikTokには本当に大きなレコード収集コミュニティがあり、社交の意味もあります。人々はTikTokで自分の持っているものを見せびらかしたり、好きな音楽について話したりしたいのです」と言う。
ERAのCEOであるキム・ベイリーはこう語る。「ほとんどがオーナー経営者であるにもかかわらず、この国で独立系ショップは資金力のある大企業との競争を勝ち抜いてきました。音楽ストリーミングの圧倒的な成功にもかかわらず、多くの音楽ファンが、ストリートの物理的な音楽購入体験にこだわり続けていることを示しています」。
特にコロナ以降、レコード(アナログ盤)の売り上げが上がったというのは、度々伝えられていたが、CDが平日に売れているということは、学生さんかな?後、インストア・ライブの復活もあるかも。レコード買わないと、チケット取れないから。
レコード屋にいくとアドレナリンが上がって誰かと話したくなるから、社交やコミュニティー・グループが存在するのも分かる。私が若いころは、SNSなどなかったので、レコ屋のお兄ちゃんとお友達になった話はこちら(↓)。
そういえば、スクエアプッシャーは、新アルバム『Dostrotime』を、CD、LP、ダウンロードのみでリリースしたよね。こういう動きも広まってくるかも。
3月5日:「私は、おそらくあなたが聞いたこともないようなバンドを何十年も愛してきた。でも、それを理解してくれる人が他に199人もいる」という英ガーディアン紙のコラム。タイトルを見ただけで、同胞意識が湧き出てきた。リードには、「マイ・ライフ・ストーリーを覚えている?彼らは土曜日にロンドンを代表する会場を満員にした。では、その会場が最も小さい会場のひとつだとしたら?」とある。マイ・ライフ・ストーリーは知っている、ブリットポップのど真ん中だったから。
大昔、私はマイ・ライフ・ストーリーというバンドに夢中だった。時は1996年、ブリタニアはちょうどクールになろうとしていたところで、カムデンで起こったことはすべてクールだった。彼らは機知に富み、派手で、気取り屋で、強烈にメロディアスで、12人もいるオーケストラで回ってたら、絶対に金儲けは不可能だという事実には全く関心がなかった。今思えば、彼らは何度も成功しそうな時期があった。デビュー・アルバム『モーニントン・クレッセント』は、1995年のインディーズ・チャートで2位を獲得し(だから何?という感じではあるが)、その翌年には当時ヒップでトレンディーな人たちが集まっていたパーロフォンと契約した。でも、私には彼らがビッグスターへの片道旅行をしているような感覚はなかった。特に有名でなかっただけでなく、楽器の数が多すぎる最も有名なバンドですらなかったからだ。私は当時、イブニング・スタンダード紙で音楽コラムを担当していて、同紙に、マイ・ライフ・ストーリーは貧乏人のディヴァイン・コメディーとはほど遠く、実は金持ちのディヴァイン・コメディーなのだと説得するのに物凄い時間を費やした。悲しいことに、誰も耳を貸さず、彼らは2000年に解散してしまった。その後、リード・シンガーのジェイク・シリングフォードはソロで活動をしていたが、バンドは、2017年にブリットポップ・フェスティバルのために再結成。2019年にはクラウドファンディングでアルバムを発表した。そして先週の土曜日、彼らはロンドン中心部の小さな100クラブでプレイしたのだ。そこにいた約200人の誰もがスーパーファンだった。おそらくそれは、ビリオネアが自分の誕生日パーティーでビヨンセに演奏してもらうようなものだった。そして、彼にはそれができるのだ。ただ、そこに億万長者はいないという事実を除いては。そう、そのようなムードに近いものがあった。そこにいたカップルは、「You Can't Uneat the Apple」という変にロマンチックでない歌に合わせてバージンロードを歩いたとか。そして、シリングフォードはギグの後、マーチャンダイズでグッズを売っていた。30年前に誰も私の言うことに耳を貸さなかったのなら、今も間違いなく耳を貸さないだろう: マイ・ライフ・ストーリー、強くお薦めします。
I’ve spent decades loving a band you’ve probably never heard of. But there are 199 others who get it. Zoe Williams
イギリス人らしい、サーカスティックな文章ではあるが、言いたいことは分かる。誰も知らなくてもいいのよ。しかもあまり売れなかったバンドをチケットを買ってわざわざ観に来るという、帰属意識も理解できる。シェア?とはちょっと違う感覚。しかも、再結成してくれるんだったら、まだいい方。ということで、私も出すわ。以下が私の「おそらくあなたが聞いたこともないようなバンド」達。知っている人がいたら、連絡して欲しい。
ルース。恐らく「ヴァレンタインズ・デイ」が有名なのかもしれないけど、私はこの曲が一番好き。
Ruth 「Fear Of Flying」
実は98年のフジロックにも出演していたミジェット。同年の12月に日本ツアーもしたよね(追っかけた)。
Midget 「All Fall Down」。
同じく、フジロックから日本ツアーのモントローズ・アヴェニュー。アルバム一枚で解散した後、Scott Jamesはステレオフォニックスに加入。その後はどうしていうのだろう?ドラムのマット・エヴェレッツはBBC6music でパーソナリティーを務めている。
The Montrose Avenue 「She's Looking For Me」
ザ・マーブルズ。ヴォーカルのマルコの伸びのある声が良かった。2000年だったかな?日本にも行ったよね。マルコは、元ゴーキーズのエイロスのソロライブにも参加してたけど、そのエイロスも今はティーンエイジ ファンクラブで活躍中。
The Marbles 「Slip Into Sound」
だったら、ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキも出すよ。大好き。
GORKY'S ZYGOTIC MYNCI 「SWEET JOHNNY」
キャプテン・ソウル。一時期、アラン・マッギーのレーベルPoptones に夢中だったことがあって、その時に見つけたバンド。
Captain Soul 「T-Shirt 69」
マイ・ヴィトリオール。昨年は、20年以上ぶりにライブにも行ったよ。
My Vitriol 「Always Your Way」
シーフード。ソニック・ユースからの強い影響を公言していた。アイドルワイルドとも仲が良くて、サポートを務めたりもしていたのだけど。
Seafood 「Splinter」
ビリー・マホーニー。ライブはもっとマスキュリンで迫力があるのよ。
Billy Mahonie 「Dusseldorf」
ビーチバギー。以前このブログでも紹介したが、彼らもポップトーンズだった。ツインドラムが最高。
Beachbuggy 「Kickin Back」
ザ・ウェッブ・ブラザーズ。言わずと知れた、ジミー・ウェッブの息子たち2人、クリスチャンとジャスティン。そして3男のジェームスもバンドには参加していた。ぱっつり前髪おかっぱ(?)の70sヘアスタイルも良かった。シカゴ出身ながら、ロンドンに滞在していて(イギリスの方が人気があった?)、ライブはやたら日本人が多かったな。
The Webb Brothers 「Summer People」
フレンチ・キックス。大好き過ぎてニューヨークまで追っかけちゃったよ。マットが脱退して、少し形が変わってしまったんだけど、今も活動しているのかな。彼らもポップトーンズだったわ。
French Kicks 「Close to modern」
レディオ4。ちょうどストロークスが出てきたあたりから、本気でニューヨークに移住しようと思っていた。前述のフレンチキックス、そしてブルックリン出身のこのバンドもその理由のひとつ。ロンドンではチケットが手に入らないくらい人気だった。ギターが上手くて、ライブの度に惹き込まれていた。
Radio 4 「Dance To The Underground」
ザ・フェイント。上のレディオ4と一緒によくプレイしていた。今でも活動しているみたいなんだけど、イギリスには来てくれないのよねえ。
The Faint 「I Disappear」
エレクトリック・ソフト・パレード。アレックスとトムのホワイト兄弟はブライトン出身。この当時19歳と17歳だった。
The Electric Soft Parade 「Empty At The End」
エド・ハーコート。スナッグのライブは観たことがないのだが、エド君のライブは何度も行った。
Ed Harcourt 「Apple Of My Eye」
そして最後は、ブレンダン・ベンソン。最高のシンガーソングライターだと思うのだが、最近音沙汰ないなあ。
Brendan Benson 「tiny spark」
まだ何個か忘れていると思うがキリがないのでこの辺で。
3月8日:友人たちとコーヒー・モーニング。ハムステッドにオットレンギがオープンしたので、チェックも兼ねて。
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友人の一人は、長女が去年からエクセターの大学に通い始めたのだが、毎週Gails のクロワッサンとマフィンを郵送しているのだとか!エクセターにベーカリーは無いんかいな!と突っ込んだが、「Gailsのクロワッサンがいい、って言うのよ」と。「マミも来年、息子が大学に行ったら同じことするわよ」と言うが、ミドルクラスのお嬢様は手がかかり過ぎるな、と返しておいた。
3月9日:すごい試合だった。イングランド v アイルランド。2ポイント差で、アイルランド逃げ切ると思っていたけど、マーカス・スミスのドロップキックでイングランド逆転。アイルランド人(半分)の夫は、ショックで声も出ず、固まってしまっていた(笑)。
⌚️ The clock may have been in the red but Marcus Smith spied the opportune moment to slot the drop goal and secure the victory for England 🙌#Breitling #DefiningMoment @Breitling pic.twitter.com/VOqZWQ2hCd
— Guinness Men's Six Nations (@SixNationsRugby) March 9, 2024
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ITVの『The Jonathan Ross Show』にリアム・ギャラガーとジョン・スクワイアがゲスト出演。
ジョナサンの「二人ともそれぞれ大成功したバンドを終了させた後、最初の2~3か月はどんな感じだった?」という質問に、ジョンが「ただ曲を書き続けて、最終的に別のバンドをやった。シーホーセズを。で、たくさん子作りした」と答え、一方リアムは、「パブに直行」と(笑)。ジョンの口からシーホーセズという名前が出てくるのが嬉しいね。
リアムはこのショーには何度が出演しているし、ジョナサンとは家が近くて、子供たちの学校が同じだったりするから、お互い良く知っているんだろうけど、ジョンは初出演。トークショー自体もそれほど体験ないんじゃないかな、めっちゃきょとんとしていて、素だった。トークの内容はそこまで濃くはなかったが、パフォーマンスライブも観れて良かった。
3月10日:BBC3のドラマ『Borders』を観てる。とある全寮制の私立校に、南ロンドン出身の黒人生徒5人がスカラシップで入学するという設定。
The Duolingo final boss 🇯🇵 BBC Three #Boarders #iPlayer #BoardingSchool #Duolingo #Japanese
Posted by BBC One on Wednesday, March 6, 2024
いきなり日本語の課外授業に放り込まれたToby(Sekou Diaby)。しぶしぶ出席せざるを得なかった割には日本語上手!これだけの長いセリフを覚えるのは大変だったのでは。ちなみに隣に座っている日本人の生徒さんは、私のお友達の中川亜紀ちゃん。
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今週の1曲 ザ・シーホーセズ「Suicide Drive」。ジョンがインタビューでメンションしたから。
アルバムの中で一番好きな曲。
去年の夏に観に行ったの、クリス・ヘルム。ドッジ―のサポートだった。「Suicide Drive」はやらなかったけど、ギターソロ、とっても良かった。
(今週終わり)