親睦会はキャンプで
(あぁ…… 次は何を飲もうか……)
クーラーボックスを開け、中を物色する。
同じ部署の後輩にお願いされ、仕方なく参加したキャンプ。
若いやつらは楽しそうに騒いでいるが、40手前のオレには
飲み食いするくらいしか、やることがない。
オレンジジュース……ビール……
ゼリーにプリン、ヨーグルト…
「あ、ヨーグルトがある」
背後から突然声がして、オレはビクッとした。
肩の上に細く真っ白な腕が伸びてきて、
2個つながったヨーグルトがさらわれていく。
「腸活してるんです、私」
パキッと割れた音がしたので、振り向くと、
片方を「食べます?」と差し出された。
彼女の名前はマナミ。今年入社した新入社員だ。
「腸活かぁ。オレもやらないとな……」
マナミからヨーグルトを受け取り、近くのベンチに腰かけると、
マナミが隣りに座ってきた。
(腸活してるだけあって……いやいや、若いからか、肌がきれいだ)
「いいですね、キャンプ」
空を見上げてマナミが言う。
「そうかな? 暑いし、虫も多いし、やることないし」
プラスティックのスプーンは、四角いケースのヨーグルトが取りずらいし。
「そうですか? 空は青いし、山は緑だし、私って人間なんだなって思うと
いうか……」
フッ。オレは思わず笑ってしまった。
「全部、当たり前のことしか言ってないよ」
「あはは」
マナミとオレは笑った。
「あの!」
マナミはオレの方に体を向け、意を決したように言った。
「今から、私の車に行きませんか?」
「え?」
オレは思わず立ち上がった。
「駐車場にある私の車、カーナビのリモコンが見つからなくて……
一緒に探してほしいんです」
他の誰かに頼めば?何でオレに?
そう言いかけてオレはやめた。
「うん。探すよ。一緒に。」
キャンプも悪くないな。オレは思った。
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【キャンプ・ヨーグルト・リモコン】で
三題噺、作りました。
リモコンが入らなくて困った。。。
やっぱり難しいな三題噺。
今回は考えるのに1時間、文字にするのに30分かかりました。
ショートストーリーや小説を書く時の
ヒントやアドバイスなど、もし良かったら教えてください。
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