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林檎の下で

あるところに 心優しい少女と
とても 凛々しい青年がおりました。
少女は青年に 恋をします。

青年も密かに 少女のことを
思っていました。
ふたりは 大きな林檎の木のしたで
よく 時を忘れて
語り合いました。

ふたりは 強い絆で
結ばれていました。

ところが 青年は 上京を
しようと 考え出しました。

少女は 青年の将来のため
とめることは しませんでした。

ただ 無事を祈り 見送る
それが 少女にできる
精一杯のことでした。

青年は必ずや 少女のところへ
帰ってくる と誓って
旅立ったのです。

上京して 青年は
お店を見つけては
彼女にあうものを
探します。

どこに行っても
必ず。

でも ある日
気づいてしまうのです。

煌びやかな ネックレスや
宝石 
確かに美しい。
でも 彼女ににあうものは何もない。
彼女は 自然の中で 笑顔を
絶やさないから ステキなんだ。
宝飾品は いらないんだ。

青年は彼女に贈り物を
探すのを あきらめました。

✶✨✶✨✶✨✶✨✶✨✶✨✶✨

月日は流れて

あの日の青年は
汽車に乗っていました。


そして 見つけてしまうのです。
ふたり語った 林檎の木の下
ひとつの墓標があることを。

そこに刻まれた名前


あの日の青年は
大きな声でなきました。
いつまでも 自分だけを待ち続けた
彼女を思い。。。

少女が欲しかったのは
煌びやかな贈り物でも
ましてや お金でもなくて

ただ 恋人のこと
本当に待ち侘びていたのでした。


林檎の木のした
寄り添ってならぶ
2つの墓標

林檎の木の下で
紡いだ 恋の物語

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