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緊急事態のその後のその後

救急搬送から我が家へ、そして1週間のショートステイとなった義母。救急搬送されたにも関わらず入院の必要無しとされ、その後我が家で過ごした3日間、夫も私も相当疲弊していたので、包括の方が手配してくれたショートステイは本当にありがたかった。やっと平穏な日々に戻ると。でもショートステイは1週間、義母が自宅で一人で生活できるかどうかは1週間でどれだけ回復するかによるわけで、入所でめでたしめでたしではないことは夫も私もよく分かっていた。ひたすら義母が自力で生活できるまで回復することを祈るのみ。

ショートステイ入所中は、毎日電話をした。思いの外元気そうで、入った施設が認知症の方が多い施設だったので「みんなぼげでまって話する人いねじゃ。施設の人は忙しくて話もしねし。こごさ入ってる人だぢ、あれだば長生きするじゃ。なんもしねーでただ食って。あれだば死なねじゃ笑」(みんなぼけているから話し相手がいない。施設の人は忙しくて話し相手になってくれない。この施設に入っている人たちは長生きするだろう。何もしないでただ食べている。あれじゃ死なないだろう)
悪口に近い言葉しか出てこないが、それだけ自分は元気になったし頭もしっかりしているし、ということだからまずまず元気を取り戻しつつあるらしい。救急搬送時歩けなかったが、レントゲンを撮って骨折していないことが分かっていたし、自宅で転んだ痛みに加えて、転んだ後に背泳状態で家中動き回った際にあちこちにぶつけたということを我が家に滞在中の聞き取りで義母本人が思い出し判明していたので、ショートステイでゆっくりすればある程度は回復することは予想していた。
「もう足も痛くないし伝って歩けるし。ただ左足がすごく腫れている。でも施設の人は薬も塗ってくれないし」
ん?なんで痛くないのに足が腫れる?施設の人は治療はしないだろうから仕方ないんだけど、それにしても足が腫れているのはなぜ?

ショートステイ中、以前から心臓肥大の薬を処方してくれているかかりつけ医から電話が来た。ショートステイ入所前に採血した際の肝臓の数値が異常に高く、救急搬送された病院で採血した時の数値も高いので、総合病院で診てもらうようにと。紹介状を書いておくから、退所したらその足で来てくださいとのこと。そう言えば救急搬送された時に、肝臓の数値が高い以外は異常が無い、という説明を受けた。
ショートステイ退所→かかりつけ医→総合病院
というスケジュールが決定。

1週間後ショートステイ施設に迎えに行くと、義母はとても嬉しそうで施設の職員さんに嫁が迎えに来てくれたと話し、施設の中では歩行器ですいすい歩き、車までは杖をついて歩けるまでに回復していた。まずはホッとした。そして義母の左足を見ると、えええ?人の足ってこんな腫れる?象の足?ってくらい晴れているんですけど。大袈裟じゃなく本当に象の足。肝臓の数値云々よりこっちの方がやばくない?
施設からかかりつけ医に直行し紹介状をもらい、そのまま総合病院へ。内科に紹介状を渡したついでに、義母の足が象の足になっているので外科でも診てもらいたい、とお願いしたら「今日は外科の先生が来ているから大丈夫です」そうか、地方の病院は外科の先生が来る日が決まっているのか。医師不足って深刻。タイミングが良く両方の科で診てもらえることになった。

内科の先生、紹介状を見て開口一番「これさ、劇症肝炎の数値だよ」
「この数値で自宅に帰した救急、意味わからない」
そうなんですか。。。だからかかりつけ医もただ事ではないと紹介状を書いたわけだ。足も診て
「これさ、一応外科でも診てもらって」

ここでも改めてレントゲンを撮る。レントゲンを診た外科の先生
「骨折はしていない。打撲もそれほどでもない。これは心臓の働き悪くなって血流が悪くなっているからだと思う」
素人的に詳しいことは分からないが、とにかく義母の内臓の働きが悪くなっているんだろう。

再度、外科の先生の見立てを踏まえて内科の先生の診察。
「心臓の働きが悪くなっているから肝臓にも血が回らなくなって、足にも血が回っていないっていうこと。救急搬送された時点で24時間以上何も食べずトイレも我慢していた。そして無理してあちこち這い回っていたんでしょ。こうなるよね」
そうか、象の足は心臓、そして肝臓からきていたのかー。
「これはさー、救急で入院させるべきだったんだよ。明後日肝臓の専門の先生来る日なんだよね。診てもらえばいいよ。うちの病院でも空きがあれば入院させるんだけどね…」
あの、そういう心臓の働き悪くて肝臓の数値悪い86歳だが入院はさせられない。どこも満床だから無理だと。そういうことですか。明後日また診せに来いと。また我が家で過ごせと。
なんなんだよ、どうしてくれるのよ!!!
そういう私の怨念を察したのだろうか、医師は
医師「娘さん?」
私「いえ、嫁です」
医師「あぁ、お嫁さんか…大変だね」
沈黙
「ちょっと待って、緊急で入院できるスペース無いか聞いてみる」
「お嫁さん、大丈夫。緊急用のスペース空いているから入院できるから。このまま入院させるからね」
嫁、最強。こういう心ある医療従事者、福祉従事者は「嫁」に対しひじょーに優しい。

こうして義母はショートステイからそのまま総合病院に入院することになった。
義母も私も昼食を摂っていないので、近くのコンビニで弁当を買って義母の病室に届けようと思ったら、感染ガードによりすでに義母とは会えなくなっていて、看護士さんに託して帰宅することになった。

この間、感動したこと。
内科と外科、両方診察してもらうわけで、その間看護士さんなのかな、双方の受付を行ったり来たりしながら
「先にこっちやっちゃいましょう」「こっち空いていますからやっちゃいましょう」
すごく効率よく両方に促してくれた。
大泉洋さん似のあの方、あなたすごく仕事できる人だ。

ショートステイ退所が午前、そのまま入院ということでいろいろあり過ぎて、今後どうしようかと頭を抱え、やっぱりここは包括の方に報告を兼ねて相談しようと電話した。
「お義母さんが入院している間に介護認定の変更手続きをしましょう。今後自宅で過ごすにしても施設に入るにしても、今の要支援1では何も出来なのので、入院している状態であれば要介護まで上げられますから」
「お嫁さん、大丈夫ですよ。頑張っているの分かっているから、これ以上負担にならないように考えましょう!」

すごくないですか。ほんとすごくないですか。
私は仕事上、介護にまつわる相談とか受けるわけですよ。みんなもういっぱいいっぱいで、自分の人生を生きるとか無理です!みたいに考えちゃっている人ばかり。
でも、私の場合は切羽詰まった場面で医者とか福祉従事者とかが優しくて支えになった。誰一人、嫁はこうあるべき、みたいな古臭いことは言わず、よりそってくれた。これは私の支援のあり方に関する考え方を180度変えてくれたと思う。

義母にまつわるあれこれは、多分多くの人が「やったことない」「わからない」ことばかり。でもちゃんとなんとかなる制度があり、心ある人がいる。だから一人で抱え込む必要は絶対無いと今は心から思う。
身内に対してはいろいろ思うところがあるので、それはまた次に。


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