あなたの「嫌い」はどっち?[54/100]
今朝この文章を読んだとき大和和紀さんの『はいからさんが通る』を思い出した。主人公の花村紅緒は許嫁の伊集院忍に対し、最初は反発しまくる。嫌いと言いながら、実は気になるあの人……みたいな感じ。
自分を映し出す鏡のような「嫌い」を感じる人には、実は惹かれているのではないか、と思ったのだ。というのも、私にも、思い当たる人がいる。
大学時代に同じサークルだったAちゃん。
当時はエビちゃんモエちゃんが活躍する『Cancam』が売れていた「モテファッション」全盛期の時代。でもAちゃんはベリーショートで古着屋で見つけたという派手な花柄のシャツに、ジーパン。歯に衣着せぬ物言いで、誰にでもズバッと指摘する。「今日の洋服、似合ってない」とか。私はそんな彼女が嫌いだった。羨ましかったから。自分の好きなファッションを貫くことも、空気を読まずに言い放つ、あの少し高慢な態度も。絶対マネできなかった。すごく魅力的だった。彼女への感情は「嫌い」ではなく「嫉妬」だったのかもしれない。
一方で、もう1人の嫌いな人Bさん。彼にはそんな感情は1ミリもわかない。一緒にいると、居心地が悪すぎて逃げ出したくなる。ただ、事情があって今もたまに会う。その時間はうまくやり過ごすしかない。「嫌い」に多分の「苦手」が混ざり合っている。
二女は「ネギ」が苦手だ。ラーメン屋で、ほんのわずかな、みじん切りの1かけらのネギでも、「ネギが入っている!」とすぐにわかる。なんで苦手かは、あまり言語化できないらしい。No reason.
「嫌い」の気持ちには理由がある、とさとゆみさんは思考していた。しかし、私はそれがうまく咀嚼できなかった。Bさんを思い出したから。「苦手要素」の入った「嫌い」は、理由なし。しかし「どうしても嫌い」になってしまう気がする。今のところ、対処法は「逃げる」一択。
逃げる覚悟ができた気がした。
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