2月23日 シバの女王とソロモン王.
文学的素養に欠けるので、旧約聖書に疎いのだが、雅歌でソロモンが
「愛は死の如く強し」と歌っている、ということを知った.
ソロモン王といえば、思い出すのは芥川龍之介と片山廣子である.お互いがお互いをソロモン王とシバの女王に例えた、とのエピソードなどを聞くと、なんというか両者の教養に圧倒されるのとともに、両者は当然に、ソロモンの雅歌のことを知った上で自身を、相手をそれらの人物に例えたのであろう、という事を思う.
両者の矜恃の高さに想いが至る.そも自らを王や女王に例えることは、なかなかできることではないだろう.
通常であれば、人にどう思われようか、となるだろう.思い上がった比喩である、思い上がった自信家である、とあるいは誹られようか、と心配になるところだろう.
そのような世間への遠慮から、遠いところにいたのだろうか、と考えるが、文士と未亡人、という両者の立場は、どちらかというとむしろ世間の衆目に晒されがちであるものだろう.
そうであっても、あるいはそうであれば死のように強い愛があるが、あったのち別れて会うことがなかったソロモン王とシバの女王になぞらえる気持ちの上での「露出」が、お互いを思い切るために必要であったのかもしれぬ、と思うのだ.
私はあまり「人の恋路」に興味がない方だ.まあ、大多数の男性陣はそうではないかと思うのだが。
だが、自死によって分たれた、年上の佳人片山廣子と、その時代におけるいわば突出した知性であった芥川の恋、というものには、少しく惹かれる気がするのである.
(その恋を横で見ていたことが堀辰雄にも、後世に残る名作を生むきっかけとなったわけですね)
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