10月4日 ZINE,やってみたいな、と中国版「3体」シーズン1 全30話を見切ったことなど。
ZINEっていいなと思い、印刷会社の見積りを貰ったが、微妙に高い。
一度に持ち出す金が数万円だと、それに日々の活動の結果を賭けていればいいが、版画工房月謝や公募への応募費用、額代などを考えるとそこらあたりで数万円かかってくる。
ちょっと捻出がしんどいな、と思い熱が冷めたのだが、ではコピー本はどうだろうか。
実は私は神保町交差点すぐのパサージュソリダさんで一棚本屋をやっている。つまり世間に何かを売ったり示したりする小さなルートをもっているのだ。月5500円払っているが。
まあ、開店時に入棚したので、最安値の価格ではある(場所によって価格が違う)。
コピー本を作ってみて、その棚に無料で置いてみる。そんなこともいいのかもしれない、と思いついた。
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さて、30話、一話45分程度ある中国テンセント版三体を、昨晩見終わった。
三体 (ハヤカワ文庫SF)
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作者:劉 慈欣
早川書房
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中国ドラマ【三体 Three-Body】全話 Blu-ray [並行輸入品]
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といっても、原作の第一部が終わった程度だという。ということは、まあ原作は読んではいないのだが相当原作の密度に近い作画(というとちょっと変か)がされているのではないか、というところだろうか。
私は映像視聴はアマプラだけで、アマプラも送料無料のおまけでついてきている感覚だが、それでも見切れない位の映画があるので、ネットフリックスは契約していない。なので舞台を西洋に移して完結しているというネットフリックス版は見ていない。
ネットフリックスを契約しない理由であるが、もちろんオリジナル作品は見ることができないが、通常の映画で見ていないものが無数にある以上(当たり前だが)、追加費用払った分だけ視聴できるのか、ということがまずある。
そして動画か静止画か問題。
私は映画に行く金があれば、本や漫画を買ってきた。大きな理由は物として本が残るからだ。
基本けち臭いので、ものが残るか残らないかというと、残ってほしいのだ。
そして映画は昔ならTVでただで見るものだった。それに金を出すのが直観的にもったいない、と思っていたのだ。
また動画を追うと、目が疲れる。どちらかというと自分で目の動きを制御でいる静止画(漫画)や文字のほうが、同じ時間のインプット量からしても、疲れからしても、いい気がしている。
動画は受け身だ、ということもあろう。本や漫画はなんというかこちらも参加しやすい(感想をジワジワ出してゆくなど)という直観がある。
もちろん動画でも同じような要素がある。個人が細切れ時間に見ることができるようになって、その類似感は際立ってきた。
やはりあとは”疲れ”だろうか。
30話もあったが、結構集中して見た。日数にして4-5日だろうか。中国製のドラマはたぶんほとんど見たことがない。だが大変楽しく見ることができたのだ。
以降ネタバレもあるので、お気をつけください。
同作は、ヒューゴー賞受賞の中国作家・劉慈欣が原作。前もここの欄で書いたが、私が中国に出張していたころでもある2007年の北京オリンピック開催前が時代設定である。
主要キャストをおさらいする。
ナノ素材の研究者::汪淼(ワン・ミャオ)=張魯一(チャン・ルーイー)。
警官:史強(シー・チアン)=于和偉(ユー・ホーウェイ)。
精華大学元教授:葉文潔(イエ・ウェンジエ)=陳瑾(チェン・ジン:現在)、王子文(ワン・ズーウェン:過去)
将軍:常偉思(チャン・ウェイスー)=林永健(リン・ヨンジエン)
そして個人的に気になった史強を助ける”10人”こと徐冰冰(シュー・ビンビン)=別途確認((笑))
監督:楊磊(ヤン・レイ)脚本:田良良(ティエン・リャンリャン)、陳晨(チェン・チェン)。
そして制作のテンセントは、中国におけるゲーム関連のまさにTOP企業であり、ゲーム売上はソニーやマイクロソフトを上回るという。作中の三体ゲームの完成度を見ても、大変なコストがかかっている気がした。
大きく人類の行く末、というテーマが、異星人(三体人)との邂逅を経て浮かび上がってくる。
ここで思いだしたのは、グノーシス神話。
世界は悪により生み出されたものであるとし、悪の世界から死後本来の姿に戻ろう、というのがその基本思想であったと思う。
結果生殖が志向されなくなるという点で、自らの種(人類)を(現世から)無くす方向に行こうという部分があったと認識している。
教会キリスト教と根本理解で折り合わず、異教邪教として殲滅させられたわけだが、なんというか作中で出てくる三体教ともいうべき人々の精神は、すこしグノーシス思想に似ているような気もした。
種としての自殺を志向する。
これはたしかに相当難しい思想である。
だがグノーシスでは”死後=本来の場所”で自身がもともとその一部である神と同化しよう、というか還ろうとしているわけであり、絶望から人類を見捨てる形になる本作とは違ってはいるのである。
だが、なんというか同じ匂いや動き、のようなものを感じたのであった。
(まあ、そのことがただ書きたかったんです。第一部で30話なので、全編描き切るのであれば相当時間と費用がかかりそうですね)