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9月23日 「未来に対する創造性を期待するなら、経済の発展と技術の革新に目を集中させないことだ」、自尊心など。

今朝の体重64.1kg、体脂肪10.2%。
昨日はスポーツセンターに行った。すこしずつ新しい動きを入れてみるのがいいようだ。同じ動きばかりだと刺激がない。これは日々の生活と同じだろう。

そういう意味でいいのが読書だ。いろいろうろうろ読む中で、”これは!!”という考え方や知見や哲学に出会うことがある。

そのことを知ることで、自分が大袈裟にいえば、知る前と知ったあとで変わった、と思えるような場合もある(それほど大きなものはめったにないのだが)。
だが、あまり自身が詳しくない分野の場合、読んでもあまり理解が深まらないようなものもある。
その時に助けになるのが、書評や紹介本だ。このあたりがすごい、このあたりが新しい、このあたりが読みどころだがなかなか難しい、といった援助が、その本を読むときの指針になるのだ。
先日80歳で亡くなった松岡正剛氏の、「千夜千冊」はそういう助けとなる文章としてまず浮かぶものだろう。例えばWEB版の10日め、2000年3月7日で取り上げられているのがルネ・デュボスだ。

今日的な意味でデュボスの言葉に耳を傾けておいてほしいのは、きっと次のことに尽きているからだ。それは、デュボスが何度も「未来に対する創造性を期待するなら、経済の発展と技術の革新に目を集中させないことだ」と言ってきたということだ。これについては、デュボスが1972年から六年間にわたって国連人間環境主義のアドバイザーを務めたときの、もっと有名な言葉がある。“Think globally, Act locally”というものだ。日本にこそあてはまる。

松岡正剛 千夜千冊(WEB版) 10夜 

健康という幻想
健康という幻想
作者:ルネ デュボス
紀伊國屋書店
Amazon


あれからまた20年ほどがたった。まもなく21世紀だ。デュボスは『内なる神』のあとがきを「私は多くの春を過ごしてきた」と書き始めたものだったが、ぼくもそういう幾多の春を思い出しつつ、その著書をくりかえし啄むしかなくなっている。
 デュボスのことばかりではない。大半の本の著者たちが、もはや会えない著者ばかりなのだ。ぼくは本の中で、新たに「エンシオスの逬り」を浴びるか発揮するしかなくなったのである。だったら、そうしよう。あえて既読したものにもう一度触れなおし、エンシオスの着脱に感じいってみよう。
 こうして一週間ほど前から「千夜千冊」という試みを始めたわけである。毎夜、ウェブの中で本を啄んでみようという試みだ。いま第10夜にやっと届いたばかりだ。第1夜が中谷宇吉郎の『雪』、2夜がロード・ダンセーニの『ペガーナの神々』、昨夜が丸谷才一で、そして今夜がルネ・デュボスなのである。

ここで、2000年3月の松岡氏は、81歳で亡くなる直前のデュボスの言葉を想いだしている。この時点で20年ほど経っているというので、2000年に56歳ほどの松岡さんが30代半ばのころの記憶だろう。
そしてこの書評を発表された24年後、80歳で松岡さんは亡くなっている。
それを私がいま、読む。
まあ、なんの理由もないものだが、そうした年月の変化を感じながら読むことは、なんというか”しみじみ””寂寥””諸行無常”などという気持がする。

松岡さんの書評を読めば、あまりの博覧強記に照らされ自己の浅才に呆然とする。そういう意味では愉しいというより、苦しい修行のような面もある。
だがそれを押して、知らなかった書の存在を、知ることができる。

ここで、松岡さんは、デュボスの本もきっかけに、もはや会えない著者と、書物の中で再度あっていくことをするために、この「千夜千冊」を始めたのだ、とおっしゃっている。

そしてデュボスが何度も、「未来に対する創造性を期待するなら、経済の発展と技術の革新に目を集中させないことだ」、と言っていたことを強調される。

自分が日々のよすがを得、何とか”生き伸びる”ことを想うのであれば、チャップリンの名言を思い出すまでもなく、金、が必要だ。
であれば、常に頭を一杯にするのは、”経済”と金を生み出す手段としての”技術の革新”であろう。わたしのぼんやりした頭は、気が付くとすぐそういうものでいっぱいになっている。
だが、だが、そこに”自らの”創造性はあるのか。ほとんど、いや全くといっていいほど、無い。

だが頭がそういうことでいっぱいの近視眼的精神になってしまうと、そもそもこうして敢えて言ってもらって初めて、”そういえばそうであった”と気づくのである。
まさに啓蒙、蒙を啓かれる、という状態となる。

こういうところだ。

無理やり、”DNA的動物的生き延び戦略”からあたまを引き離すのは、こうした言葉を、故人の本や、その書評から得ることは重要な一手段なのだ。

そういうことを、思い出させていただくきっかけにも、2000年3月7日の松岡さんの書評は、なるのである。

(松岡さんは、千夜千冊シリーズを、今年の7月まで続けられたようです。足かけ24年。改めてすごい偉業だと思います)


松岡正剛千夜千冊



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