2021春アニメ感想まとめ
2021春アニメの感想をランキング形式でまとめています。
<28位> 七つの大罪 憤怒の審判
評価:C
お気に入りキャラ:ディアンヌ
『憤怒の審判』というサブタイトルが自虐ネタにすら思えてくる5期(まさかの2クール…)であったが、ようやくこの長き物語も終着点を迎えた。なお、最後に劇場版が控えている模様(意地でも見に行かないけど…)。終盤に関してはよくもまあこんなにも中身に乏しい引き伸ばしのような展開を続けられたものだと感心すらしてしまうが、どうしても終わらせたくなかった関係者でもいたのだろうか。十戒が出てきた辺りからインフレが加速しすぎて初期の聖騎士たちなんぞは完全に蚊帳の外だが、思えば彼らと戦っていた辺りが一番面白かった気がする。ここまで見たからには最後まで見ないと今までの時間が全部無駄になるというガチャの沼に嵌ったような心持ちでなんとか完走したが、こう思わせてしまうところが本作品の一番の大罪だったのではなかろうか。最後に、なんでもかんでも恋愛に結び付ければいいってものじゃないというのを声を大にして主張したい。
<27位> 蜘蛛ですが、なにか?
評価:C+
お気に入りキャラ:ソフィア・ケレン
惰性感が半端なかったが、お気に入りに挙げたソフィアの妖艶な美しさでなんとか視聴意欲を繋いでいたような後半クールであった。本作品の謎として、蜘蛛子サイドのストーリーと人間サイドのストーリーに明らかに時系列のズレが存在するという点があり、これはソフィアの姿の違いとして顕著に表れている。このズレに深い意味があるのかどうかはその真意が明らかにならないと分からないが、そもそもにして本作品ってつまりは何を楽しめばいい作品なんだっけ?という部分がいつまで経っても定まらないのは大きなマイナスポイントである。ある意味その日暮らしの連続である蜘蛛子の最終的な目的も特に無いような気がするし、人間サイドにしても魔族やエルフたちとの関係性がハッキリとせず、お互いに何をしようとしているのか不明なままなのである。現状、どの部分が評価されてアニメ化に至ったのか、理解に苦しむ作品となってしまっているのが本音である。
<26位> 灼熱カバディ
評価:B-
お気に入りキャラ:王城正人
誰しもが名前は知っているであろうカバディを舞台に血と汗と涙の熱い戦いが繰り広げられるスポ根作品。ただ、マイナー競技作品には未踏の領域を切り開くという楽しさはあるものの、現実問題として登場人物に対してなぜわざわざその競技を選んだのかという疑問を抱いてしまうのが常である。本作品においても各キャラに様々なバックグラウンドはあったものの、やはり「もったいない」という感情が先立ってしまった。各方面に非常に申し訳ないのだが、ネタとしてのカバディという競技のイメージを最後まで払拭できず、「これを見て黄色い歓声を上げる女の子っているのか?」という思いは強く残った。各キャラの容姿がそれなりに整っているのがそれらに拍車をかけており、もっと泥臭い路線の方が好ましかったまである。そんな中、本校キャプテンの王城だけはカバディだからこそ「王」になれる素質を持っており、本作品において唯一納得できた人選であった。
<25位> 僕のヒーローアカデミア
評価:B-
お気に入りキャラ:トガヒミコ
今期の目玉はなんといってもヒーロー科1年A組とB組の「対抗戦」である。しかし、メタ的な観点からいえばデクたちの格を落とすわけにはいかないのでA組の引き分け以上は既定路線のようなものであり、盛り上がりや緊張感には欠けたというのはこの順位からもお察しいただけるだろう。とはいえ、これまで出番の限られていたB組のメンバーの個性の詳細が一気に明らかになったのはコレクション魂には刺さるものがあり、グッズ展開とかそういう方面にもかなりおいしい展開だったのでは。個人的に目を引いたのは小森希乃子の個性の”キノコ”であり、胞子を吸い込んでしまったら気管や肺にキノコが生えるとかホラーすぎる…。殺傷能力としては実は最強クラスなのでは?その他、小大唯が可愛かったのが印象的だったが、なんで大きさが変わるのが自身じゃないのか謎だった(ヒント:Mt.レディ)。デクの個性の成長も楽しみではあるが、これどこまで続くのかな…?
<24位> 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω
評価:B
お気に入りキャラ:シェラ・L・グリーンウッド
当初はそれなりに新鮮に感じた(自称)魔王(というキャラ作り)による異世界系作品だが、2期ともなればその設定にも慣れてしまい変化にも乏しかったため、「ただ続きを描いただけ」にとどまった感がある。実質的な2期のメインヒロインであるルマキーナは大いに庇護欲をそそるキャラデザも良好で、いっそこのまま旅のメンバー入りしてくれたらと思ったほどだが、本作品のヒロインはあくまでもシェラとレムであるので正しい判断だったのだろう。1期と同様に規制表現(いわゆる謎の光)に頼らず、ギリギリまで攻めるお色気シーンの描写はあいかわらず豪胆でキレがあり、他作品にも大いに見習ってほしいところ。最強系主人公に属するとはいえ、なんだかんだ苦戦することも多かったディアヴロであるが、この辺りの適度に周囲のサポートを必要とするパワーバランスも振り返ってみると絶妙であり、爆発力はなかったものの引き続き安心して楽しめる作品であった。
<23位> ゴジラ S.P <シンギュラポイント>
評価:B+
お気に入りキャラ:鹿子行江
理系のための理系アニメといった趣のゴジラシリーズ最新作。その手の知識に詳しい人なら存分に楽しめたのだろうが、残念ながら自分はそれには属していないのでほぼ雰囲気を味わうだけに留まることとなった(アーキタイプの解明の辺りは割と面白かったが…)。ここまでその方向に振り切っているならもうゴジラである必要性すらなかったのではと思ってしまうが、掴みとしては自分もまんまとしてやられているわけであるから果たした役割は確かにあったということなのだろう。ただ、内容に付いていけないまでも、それらしい会話が繰り広げられているのを見ているだけでもそれなりに満足感はあり、こうした偏差値の高そうなシナリオを書ける人はやっぱりすごいなとは思う。とっつきやすい楽しみ方としてはやはりキャラを愛でる方向に行きたかったのだが、主人公(?)の銘がほとんどの場面で色気の無いちょんまげヘアーであったのが残念でならなかった。
<22位> 戦闘員、派遣します!
評価:B+
お気に入りキャラ:キサラギ=アリス
『このすば』の暁なつめ先生原作の悪の組織による侵略系戦闘コメディ。正直、それなら『このすば』の3期の方が見たかったというのは内緒だ。その言葉通り、『このすば』を超えるほどの面白さはなかったもののイズムを感じさせる軽妙なギャグセンスはやはり光るものがあり、それなりに楽しむことはできた。しかし、『このすば』に慣れ親しんだせいかヒロインズの残念度や変態度が物足りないという謎の症状に見舞われ、なんだか全体的に大人しい印象すら受けてしまった。そんな中で欲にまみれたスノウのゲスなところは唯一『このすば』のメンツに対抗できる代物であったかもしれない。そんな周囲の変わり者っぷりの中で、組織の相棒であるアリスは遠慮のない物言いも心地よくなんだかんだ六号とは信頼し合っており、『このすば』にはなかった立ち位置のキャラとしてかなり魅力的に写った。しかし、この感想の中で一体何回『このすば』という単語を入力したのだろうか…。
<21位> スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました
評価:B+
お気に入りキャラ:フラットルテ
過酷な労働環境で過労死した社畜OLの主人公が異世界転生後に不老不死の魔女アズサとなり悠々自適のスローライフを送るという現代の社会人にとっての理想的な第二の人生を体現したような物語。初期地点のスライムだけを倒してレベルMAXという作業はなんとも気の長い発想であるが、努力値の仕様が変わる前の初期のポケモンでは強いモンスターを育てるためにはそんなプレイングが必須だったりする(一体何匹のコイキングが犠牲になったのだろうか…)。とはいえ、アズサのそんなスローライフが一変して賑やかになっていく過程を描いた物語なので、けっこう内容はドタバタも多かったり。実際、そういうスローライフってけっこう憧れるけど、案外すぐ退屈になってしまうものなのだろうか。300年は無理にしても、一度は自分もそんな生活を送りたい。総じて、キャラデザも良好で皆可愛く、1期に一つはこういう作品があってもいいなと思える佳作的な作品。
<20位> やくならマグカップも
評価:B+
お気に入りキャラ:豊川姫乃
岐阜県多治見市を舞台に陶芸部で活動する女子高生たちの日常を描いた作品。本作品の個人的ポイントはなんといっても準地元である(?)多治見市が舞台である点で、その空気を身近に感じられたのは嬉しかった(なお、ほぼ高速道路の通り道だった模様)。岐阜県は聖地がたくさんあってホント羨ましい…(隣県民の嫉妬)。ただ、そのポイントを除けばキャラもストーリーも割と凡庸であった印象であり、2期決定の朗報には正直驚いた。でも、そう聞くとなんだかけっこう面白い作品だった気がしてくるのだからなんとも現金なものである。本作品の影響を受けて陶芸がやりたくなったとかは特にないのだが、陶芸には茶碗やお皿に代表される実用性以外にも芸術としての側面があったのは新鮮な驚きであり、陶芸作品の美しさと幅広さを知ることができたのはよかった。タイトルに掲げているマグカップを作るイベントがなかったのは残念だが、2期では是非見てみたい。
<19位> 86-エイティシックス-
評価:B+
お気に入りキャラ:カイエ・タニヤ(キルシュブリューテ)
さすがのA-1 Picturesだけあって映像、音響その他諸々のクオリティは群を抜いており、日本のアニメの神髄ここにありと存分に思わせてくれる完成度。しかし、作品群のワンオブゼムとして視聴するには少々設定が濃厚すぎ、登場人物も多くさらに本名とパーソナルネームの双方を把握していないと状況の把握ができないことも多いのできちんと楽しめるまでのハードルが異様に高いのが玉にキズ。かくいう自分もお気に入りに挙げたカイエの最期の演出を初見ではそれとは気付かず、彼女が「黒羊(ブラックシープ)」として再登場したことも後でネットの解説で理解したほどである。設定が練られすぎており登場人物も豊富という点では『魔法科高校の劣等生』辺りもそうなのだが、あちらのような速攻性に富む魅力には欠けていたというのがここまでの総評であり、設定を調べたり何度も見返したりするような濃い味わい方をできるかどうかで大きく評価は分かれそう。
<18位> 幼なじみが絶対に負けないラブコメ
評価:A-
お気に入りキャラ:志田黒羽
『To Heart』の神岸あかりや『ときメモ』の藤崎詩織に象徴されるように、かつてはメインヒロインを担うことも多かった幼なじみヒロイン。しかし、今となっては初期から主人公との距離感は近いが今一つ押しに欠け、後から登場したヒロインに捲られる負けヒロイン属性のイメージが強くなってしまっているのが現状である。そんな由々しき状況に、「ヒロイン全員幼なじみ」という常識を覆す設定を投じたのが本作品である。なるほど、それなら確かに幼なじみが絶対に負けないね…ってそれでいいのか、うんきっといいのだろう。さらに、幼なじみ属性は「腐れ縁型」と「再会型」の2つに大きく分かれるのだが、本作品ではクロが前者、シロが後者となっており、最強の幼なじみ属性はどっちなのかというそれぞれに属する全てのヒロインの代理戦争にすらなっているのである。こうした業界の風潮を上手く利用してしまう作風は大歓迎であり、正に発想の勝利だったといえるだろう。
<17位> ましろのおと
評価:A-
お気に入りキャラ:山里結
津軽三味線と共に育ち、尊敬する祖父の死をきっかけに三味線を弾けなくなった主人公が「自分の音」を見つけるまでの物語。津軽三味線はジャンルとしてはマイナーといえるが、その卓越した演奏が素直にカッコいいと思えるのが今期の『灼熱カバディ』との決定的な差か。本作品についてはある意味その希少価値に助けられている感があり、純粋に高校のクラブ活動における青春成長物語として捉えると、展開の熱さや恋愛絡みのイベントには正直物足りなさを感じた。思うに、主人公の雪は実力は折り紙つきだし訛りも愛嬌があって寡黙なところもそれはそれで魅力的なのだが、言うなれば『SLAM DUNK』の流川が主人公を張っているようなもので、周りの人間に対する淡泊さがどうしても物語を薄味に感じさせてしまうのだ。その辺りの心境の変化も今後のドラマの見せ場にはなってくると思うが、それならせめて2クールの尺でそれを表現してほしかったのが本音である。
<16位> SSSS.DYNAZENON
評価:A-
お気に入りキャラ:らんか
『SSSS.GRIDMAN』の系譜を継ぐロマン溢れるロボットアニメ。前作のファンならニヤリの演出が満載…だったのだろうが、それらを満喫できるほどには詳細を記憶していなかったので、そのポテンシャルをフルには味わえなかったかもしれない。個人的にはTRIGGER作品の絵柄や演出のクセやテーマ性を前面に押し出す姿勢は若干苦手なところがあるのだが、本シリーズについてはその辺りは比較的マイルドであり見やすかった。ただ、「姫」がガウマにダイナゼノンを託したあたりのドラマについては過去回などでもう少し描写を掘り下げていてくれたらよりのめり込めた気がする。そんな中、最終話の蓬の「俺は自由を失うんじゃないよ。かけがえのない不自由をこれから手に入れていくんだ」という台詞は本作品の枠にとどまらない普遍的で印象的な台詞。ちなみに、前作のはっすに引き続きマスク系女子のらんかは今回も個人的にドツボ。この辺りのキャラ作りはホント上手い。
<15位> イジらないで、長瀞さん
評価:A-
お気に入りキャラ:部長
初見で「ながとろ」と読める人はそうはいないであろう。気になって読み方を調べてしまう効果とかも狙ったタイトルなのだろうか?内容は『宇崎ちゃんは遊びたい!』を彷彿とさせるウザ可愛い後輩が先輩である主人公をイジり倒す系の作品。ただ、宇崎ちゃんの先輩は彼女じゃなくてもなんだかんだよさそうな感じがするのに対して、本作品の主人公は長瀞さんと出会ったことで日常が良い意味で劇的に変化して、きちんとお互いを必要とするような関係性が築けているところがよい。なので、自分は断然本作品の方がお気に入り。そして、推しキャラはガモちゃんかなと思っていたのだが、終盤の部長の登場により全部持っていかれた。おっぱいもド迫力だけど、目つきと髪型と体型のバランスが正に黄金比って感じで黒髪ロングのヒロインの中でもトップクラスの完成度を誇るキャラデザなのでは?ちなみに、例の部長の絵は去年の方が好み。横乳ってやっぱ神だわ…。
<14位> キングダム
評価:A
お気に入りキャラ:騰 蒙武 桓騎
前半戦のクライマックスである楚・趙・魏・韓・燕の五国合従軍と秦の合戦(通称「函谷関の戦い」)が遂にアニメ化。この辺りは原作からして良すぎるのでどう料理しても面白くならないはずがないのだが、(『キングダム』としては)及第点かな…という評価に留まるのはご愛嬌。2期からは作画が手書きになっており今期(3期)も割と頑張ってくれてはいるのだが、原作の迫力の完全再現には至らず、規制の関係か派手に血しぶきも飛ばないので闘いの場面でも緊張感が物足りない。あと、色が着くことによって原作よりもかえって画面の「軽さ」みたいなものが出てしまっている気がする。この辺りは本作品に限ったことではないが、モノクロだからこそ感じる熱とか臨場感っていうのはやっぱりあると思う。とはいえ、個人的歴代ベストバウト候補の蒙武VS汗明はさすがに作画も気合が入っておりやはり燃えた。願わくば、決着まで描いてからインターバルに入ってほしかった…。
<13位> 究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら
評価:A
お気に入りキャラ:アリシア
異世界やゲーム世界で主人公が気持ちよく俺TUEEEする作品は星の数ほどあるが、本作品に関してはそのテンプレが気持ちいいほどに通用しない。リアルを追求しすぎた結果、現実以上に理不尽でオワタ\(^o^)/な展開満載のフルダイブRPGの世界で主人公が悪戦苦闘する様はM気質の人には堪らない出来となっている。今期のダークホースを挙げるなら本作品であり、個人的な評価の伸びしろは一番であった。ゲーム開始後ものの数分で親友殺しの汚名を被ってしまい、その妹であるアリシアが復讐の狂人(バーサーカー)として覚醒するというあんまりな展開はある意味掴みとしてはバツグンであり、アリシアはそのまま一番のお気に入りキャラになった模様。また、作画に関しても要所要所では妙にキレのある凝った構図で思わず唸ってしまうものになっており、これも評価の底上げに一役買ってくれた。そして最近、竹達彩奈さんの声が妙にクセになっている件。
<12位> ゾンビランドサガ リベンジ
評価:A+
お気に入りキャラ:ゆうぎり
佐賀県にスポットを当てた異色のゾンビ系アイドル作品として大いに話題を呼んだ本作品。2期では待望のゆうぎり回も遂にその出番を迎えることに。7話の次回予告時のゆうぎりの「お待たせでありんす」という台詞は、制作陣もヒシヒシとゆうぎり推しのファンからのプレッシャーを感じていたという証拠だろうか(笑 ゆうぎり回については、蓋を開けてみれば思いの外シリアスな過去話であり、伝説の花魁が若くして亡くなったという経緯があるのだからそりゃそうだよなと改めて納得。『リベンジ』というサブタイトルどおり、大失敗に終わった大規模ライブへの再挑戦や天災による被害からの復興の中で、フランシュシュが立ち直りの象徴として活躍する様は、彼女たちがそもそもにして一度は失くした命から復活したゾンビであるという点からもなんともエッジの利いた表現である。幸太郎とさくらの過去話など、まだ伏線は残っているが3期も予定されているのだろうか。
<11位> 東京リベンジャーズ
評価:A+
お気に入りキャラ:三ツ谷隆
殺されてしまったかつての恋人を救うために主人公が過去にタイムリープして歴史を変えるために奮闘する、という設定自体はよくある感じの作品なのだが、本作品の特色として、恋人が殺されてしまった要因に過去から現在に至るまで大勢力を誇る不良集団「東京卍會」の存在があり、過去に戻った後の中学時代においても、不良たちの生き方や矜持に主人公の武道が影響を受けて、彼自身のダメでどん底な生き方を必死に変えようとする点にある。その過去においても、もはや不良がカッコいいとされるような時代ではないのだが、東京卍會・総長のマイキーや副総長のドラケンが彼らなりの心情を貫き通す姿勢にはたしかに痺れるものがあり、こういうカッコよさもあるんだなと改めて感じさせられた。こうした時間遡行系の作品は結末まで見届けないと意味がないと思うので、前半戦としては納得の折り返し地点であったことも踏まえ、後半戦にも大いに期待したい。
<10位> NOMAD メガロボクス2
評価:A+
お気に入りキャラ:オイチョ
「トムス・エンタテインメントの本気」。本作品の感想はこれに尽きる。初代”ジョー”の時代のセル画の雰囲気にこだわった朴訥かつ安定感のある作画、気骨があり強く、そして弱い男たちの生き様を押しつけがましくなく魅力的に描く演出とストーリー、主張はせずとも存在感は抜群の重厚なBGMなど、本当にトムスの仕事なのかと目を疑いたくなるような高い完成度には何度も目を見張った。なぜ手掛ける作品によってここまでクオリティ…いや作品へのリスペクトにブレがあるのか、本当に不思議である。本作品のストーリーは劇的な展開があるわけではなく、彼らにとっての行く先、往く果てを静かに淡々と描き、それでも不思議とそこに確かな熱は感じられる。そして、最先端の脳神経工学など未来を先取りしているように見せかけて、その実、物語から受けるメッセージは確実に過去の時代への回帰を促しているように思えるところが、一番の見所でありその非凡な点だろう。
<9位> 不滅のあなたへ
評価:A+
お気に入りキャラ:パロナ
『聲の形』の大今良時先生によるテーマ性溢れる物語。1話を見た時はこのような骨太な作品がまだ世に眠っていたのかと驚き、その時真っ先に頭に浮かんだのは手塚治虫の『火の鳥』であった。人知を超えた超常的な存在である「フシ」が、人間と接することで刺激を受けながら徐々に感情を学んでいく様は、ある種人間の在り方を映す鏡のような様相を呈しており、神がそれを試すための存在なのではないかと思えてくる。また、本作品を語る上で欠かせないのが人間の「死」であり、フシが刺激を受けてその姿を模すきっかけとなるのは近しい者のそれに触れた時である。メタ的な観点からは「次はこのキャラかな」という見方になってしまうのがちと残念なのだが、対極の概念であるそれがフシを人間に近づけていくのはドラマとして重みがある。個人的な見所はパロナ役の内田彩さんの演技で、これまでのイメージとは異なる新しい引き出しを見せてくれたのがよかった。
<8位> フルーツバスケット The Final
評価:A+
お気に入りキャラ:倉伎真知
細かいことを言い出せばキリがないが、まずは原作が完結して10年以上経ったこの時期に旧アニメではできなかった全編の再アニメ化をしてくれた心意気に感謝したい。正直、ファンとしては原作の全てのシーンを(構図なども再現しながら)本来の順番で動かしてくれるだけでよいのだが、どうやらそれが一番難しいことらしい。特に『The Final』に関しては、ホントは2クールの予定だったのが急遽1クールになったのではと疑いたくなる箇所が多くあり、自分のお気に入りの由希と真知のシーンがガッツリ改変されていたのにはかなり凹んだ(モゲ太関連については完全に無かったことに)。というか、それ抜きにしても真知の告白シーンと由希の呪いが解けるシーンを合体させてしまうのはちょっとどうかと思った。作者も全ての事柄を「可能な限り」確認した上で了承していると公言しているが、これでホントによかったの?と聞いてみたいというのが偽りのない本音である。
<7位> 転生したらスライムだった件 転スラ日記
評価:A+
お気に入りキャラ:シュナ
本編のインターバル期間における箸休め的な立ち位置の作品かと思いきや、思いの外本格的な作りであったのは嬉しい誤算。特筆すべきはその作画クオリティであり、そのデッサンのしっかりした可愛らしい絵柄は個人的には本編以上に大いに好みに合致しており、各々のキャラクターとしての魅力を堪能することができた。原作は4コマ漫画とのことだが、日常系作品のテイストをふんだんに発揮した巡りゆく季節感と各種イベントに溢れたストーリー構成は30分アニメとしてよく練られており、各キャラの設定や趣味嗜好の深掘りにも一役買っているのもよかった。本スピンオフにおいては、主人公のリムル自身がヒロイン的な役割も担っているのが非常に大きく、その愛らしさ(なお、中身はオッサンの模様)には、シュナやシオンがリムルにメロメロになってしまうのも仕方がないなと思えてしまう。この流れで本編の続きに移行できるのは喜ばしく、来期が非常に楽しみである。
<6位> ひげを剃る。そして女子高生を拾う。
評価:A+
お気に入りキャラ:荻原沙優
誰しもが一度は妄想したことがあるであろう一人暮らしのサラリーマンが家出中の女子高生と同棲生活を送るという夢のシチュエーションをストレートに体現した作品…であるが、内容は純愛そのもの。いや、それも実は結果論的なものであって、疑似的な家族生活のようなテイストで物語は進行する。手を出さないから好感を持つのか、逆に手を出さないことを気持ち悪く感じるのかは人それぞれだろうが、自分は前者。実際、吉田は沙優が可愛かったから拾ったというのも紛れもない事実。ただ、その後の清らかな同棲生活も十分「あり得る」と素直に感じられたのが、本作品の偉大な点である。そう、これはゲームでいうところのトゥルーエンドなのだ。そして、時にはそこから外れたズブズブな結末がよりプレイヤーの心に強く刺さることもままある。しかし、本作品の選択が正着の一手であったことは疑いようはなく、純粋に二人のこれからを応援したくなったことが嬉しい。
<5位> Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-
評価:A+
お気に入りキャラ:ヴィヴィ
総じてクオリティは高く、毎回のように見せ場があったのはよかったが、目的のための使命感やAIとしての在り方といった外郭的なものが先走りしてしまっていた感があり、個々の人(?)格としての視聴者への訴えかけや歴史改変を目的とする物語の醍醐味である終盤での怒涛の展開による爆発的なカタルシスといった直情的な満足感への演出には若干物足りなさが残った。特に歌詞のなかったED曲は、もっともっと感動的な展開にできるポテンシャルがあったにもかかわらず、最終話におけるヴィヴィの歌唱の前にあのような扱い方をされてしまうのは非常にもったいなく感じた。とはいえ、現代のアニメ音楽の第一人者である神前暁氏が手掛けた楽曲群はストーリー的にも大きな意味合いを持ち、「歌姫」たちの美声と共にそのメロディーには大いに心揺さぶられるものがあった。毎週追っていくのではなく全話を一気見していれば、また違った感想になったかもしれない。
<4位> バクテン!!
評価:S-
お気に入りキャラ:栗駒あさを
前期の『2.43 清陰高校男子バレー部』により大きく揺らいでいたノイタミナ作品への信頼度を颯爽と覆してくれた男子新体操部の青春成長物語。シロ高との合宿回など若干ダレた部分もなくはなかったが、主人公の翔太郎がその象徴たる「バク転」の魅力とカッコよさに惹き込まれていく課程の描写は見事であり、目尻に光るものが浮かんだこともしばしば。その根幹をなす新体操の演技の描写も、ピンと反らした背筋と四肢はダイナミックかつ柔らかで、繊細かつ華があり、只の屈伸がこれほどまでに美しく感じられたのは驚きだった。ノイタミナ作品特有の若干ホモォなテイストも相変わらずではあったが、女子マネージャーのあさをが絶妙のボジショニングでいい感じに清涼剤となってくれており、見やすさをバツグンに底上げしてくれていた。TVシリーズの終わり方でも十分ではあったが、その先の物語の映画化決定も納得のクオリティであったので、楽しみに待ちたい。
<3位> シャドーハウス
評価:S
お気に入りキャラ:ケイト
シャドーハウスに生きる「シャドー」と「生き人形」の関係性を描く独自の世界観は、間違いなく数多の作品群においてもオンリーワンと呼べる代物である。シャドーと生き人形の正体、おじい様とは何物なのかといった謎についてももちろん興味深いのだが、その設定によるアニメーションとしての表現の可能性が無限に感じられたのが何よりのポイント。シャドーたちの顔が見えないことによる横顔や”すす”による感情表現はその最たるもので、表現としては不便で不自由であるにもかかわらず、かえって色々と彼(女)らの表情を想像できることがとても楽しい。また、それを強烈に補完しているのが生き人形たちなのだが、彼(女)らも自我を持つ独自の人格なので、(こどもたちは)そこが即座にイコールで結ばれることもまず無いことが面白さに拍車をかけている。シャドーと生き人形たちの関係性もコミカルかつ時に感動を煽られ、見所の多い素晴らしい作品であった。
<2位> さよなら私のクラマー
評価:S
お気に入りキャラ:曽志崎緑
『四月は君の嘘』の新川直司先生による女子サッカー物語。女子にとってのマイナースポーツなればこその描写と展開、そしてその心からのメッセージは、自分のかねてからの関心事である「女子スポーツを題材とする意味」をきちんと示している。「サッカーが好き――その気持ちだけで十分だと思っていた。」「実力者には競技の裾野を広げ盛り上げる義務と責任がある。」スポーツものなので試合展開に惹き込まれるのは当然のことなのだが、各々がそうした自らにとってのサッカーへの想いをぶつけ合う様は、純粋に競技にのめり込むのとはまた別に物語に深みを与え、それでもこのメンバーでサッカーができることが嬉しいという想いが涙腺を存分に刺激する。彼女たちの真の成長はさあこれからというところで物語は終わったが、その先の青春と熱戦が自然と脳裏に浮かぶ心地よい余韻を感じることができた。作画がイマイチでもこれだけ魅せられるのはスゴイ。
<1位> スーパーカブ
評価:S+
お気に入りキャラ:小熊
「スーパーカブ×女子高生」というフェチ感溢れる独自の世界観が「カブと私」を見事に体現していた。まず特筆すべきは作画の丁寧さ。制作環境の順調さが滲み出てくるような安定度は最後まで変わらず、EDイラストに象徴されるような美しい線描画が本編の下地としてもしっかり機能しており、ただ画面を見ているだけでも楽しかった。小熊の感情に合わせた明度の変化など演出面も細やかなこだわりに溢れ、瞬間ごとに何か新しい発見がある。また、普通の友達とは少し違うカブ仲間としての小熊と礼子のやり取りはある意味サイコパスな魅力に溢れており、次はどのような行動に出るのか、その行動原理は何か、全く予想のつかない面白さがあった。バイク乗りの感覚とそうでない人の感覚はやはり相容れないのかもしれないが、その素質のあった小熊と礼子の各々の孤独、いや孤高な在り方こそが彼女たちはそちら側であることの証明だったのではないだろうか。
―キャラ総評—
小熊
「ほっ」「ふっ」というような声息での演技が成り立っているのは、アフレコ時点できちんと映像ができあがっていたことの証明だと勝手に解釈している。家族も無く、友達も無く、部屋に娯楽品も無く、昼はレトルト食品を冷たいまま頬張っているなど、当初はおおよそ感情の色素というものが感じられなかった。しかし、カブと出会った後の世界の見え方の変化は演出面から垣間見えるとおりで、礼子と親しくなってからはノリが良くなったり、自分の意見をしっかり主張したりと人間味がグッと増した。人を3人死なせているいわく付きのカブを平然と購入し、現実には存在しない「し」のナンバーを悠々と付けている様からは何かが欠落しているような暗部が垣間見えるが、きっと過去に何かその原因となった出来事があるはずである。しかし、その部分を語ることを彼女は望んでいないだろう。いや、ひょっとして礼子や椎になら…。そんな未来もこの先にはあるのかもしれない。
礼子
コミュニケーション能力は高いが他人とは常に一定の距離を置いている姿が劇中では目立った。それでも彼女に進んで声を掛けるクラスメイトは絶えなかったあたり、彼女が一目置かれる華とカリスマ性を備えていることが見てとれる。彼女にとって他人はどう見えているのだろうか。理解してもらう必要もないし、理解する必要もない、そんな存在なのかもしれない。しかし、小熊と親しくなってからは本来の根明な部分が浮き彫りになり良くも悪くも他人(ほぼ小熊)に対する興味を見せてくれるようになった。実家が別荘を持っているぐらい裕福であり、そこから通学しているという謎の設定であるが、ひょっとして名家のお嬢様だったりするのだろうか。苗字が本田っていうのも何気にあるかもしれない。修学旅行にカブで追いつこうとする小熊を心配していた反面、危険な雪の日にもかかわらず小熊を家まで呼び寄せるなど、安全基準がイマイチ掴みにくい面がある。
恵庭椎
本来は普通の子のはずなのだが、小熊と礼子に憧れてしまってからはなんだかまっとうな道からどんどん外れていくようで、これを微笑ましく思っていいのかどうか判断に困ってしまった。ある意味、バイク乗りにとっての常識や独特の感覚をそれは普通じゃないと我々に思い出させてくれる貴重な存在である。彼女が小熊と礼子に憧れるきっかけは文化祭の時のカブの活躍に違いないが、カブに乗っている姿がカッコよかったのか、その心意気に惚れたのか、それは彼女にしか分からないことだろう。最終話でリトルカブを手に入れることとなったが、実は最初から公式サイトのキャラ紹介で盛大にネタバレされていた(礼子の郵政カブ→ハンターカブの流れも同様)。しかし、今の高校の文化祭の出し物って有志でやるものなのだろうか。自分の時はクラス全員参加が原則だったのだが…。小熊や礼子と仲良くなる前から親しかった友達との関係性が気になる今日この頃。
<劇場版6位> シドニアの騎士 あいつむぐほし
評価:A-
お気に入りキャラ:緑川纈
シドニアって存外ラブコメ要素多いよねというイメージそのままに、谷風とつむぎがイチャコラするのをひたすらに見せつけられた劇場版。とはいえ、これぐらい振り切ってもらえた方が変に硬派に走られるよりも断然俺得な展開なので文句は何一つない。ただ、ストーリー自体は割とシリアス成分も多めなので漫然と頬を緩めてばかりはいられなかったのだが。ラストパートの展開は賛否両論ありそうだが、自分は微妙に否定よりかもしれない。つむぎはつむぎだからこそつむぎだったわけで、あれをつむぎと認めてよいのかはなんとも…。未見の人には何を言っているのかさっぱり分からないだろうが、見た人にはこの感情をきっと理解していただけるはず。この先もストーリーが続くのかは定かでないが、一区切りが着いたことは確かだろう。改めて、本シリーズを通じて高品質のフル3DCGアニメを担う第一人者としての礎を築いたポリゴン・ピクチュアズに称賛を贈りたい。
<劇場版4位> 劇場版 BanG Dream! Episode of Roselia Ⅰ:約束
<同4位> 劇場版 BanG Dream! Episode of Roselia Ⅱ:Song I am.
評価:A
お気に入りキャラ:宇田川あこ
<Ⅰ:約束>
Roseliaの結成までのゼロの物語とその後Roseliaが本当の意味でRoseliaになるまでを描いた劇場版。良くも悪くもいつもの『バンドリ』といった趣で大きな驚きはなかったが、ライブシーンの演出はさすがの一言。むしろ、ストーリーは基よりもっとMVとしての側面を質でも量でも前面に押し出す内容が望ましかったぐらい。ことRoseliaに関しては、メンバー間の絆を強調しなくとも、圧倒的なボーカルとハイレベルな演奏が何よりも雄弁に語ってくれるので一層そう感じる。ストーリーについても、従来からのファンにとっては既知の物語を改めて映像化したに過ぎないものである反面、初見にとっては紗夜の日菜に対するコンプレックスなど、知っていないと話についていけない箇所も見られ、作品としての意義が中途半端になってしまった印象も受けた。せっかく劇場版として公開するからには、受け手がその甲斐を求めるのは当然であるので、2章にはその部分をさらに期待したい。
<Ⅱ:Song I am.>
Roselia結成時からの友希那の、そして全員の目標となったFUTURE WORLD FES.へいよいよ挑戦することとなったメンバーたち。目標の地を踏んだ後、果たして彼女たちはどこへ向かうのか。まだ見ぬ頂点への歩みを止めないことを決意したRoseliaの物語はきっとこれからも続いていくのだろう。ただ、ストーリー自体は良くも悪くも想定内といった趣で、そうなってくると劇中の楽曲群に鑑賞意欲の多くが配分されることとなるのだが、そのクオリティは申し分ないものの全ての楽曲がショートVer.となっており、物足りなさは否めなかった。これはファンムービーであるのだから、ストーリーのテンポへの配慮はそこまで重要ではないはず。大人の事情もあるのだろうが、せめて要所ではフルVer.のライブ映像で盛り上げて欲しかった。なにはともあれ、コンテンツへのモチベーションをアニメで繋いでくれているのはありがたく、PoppinʼPartyの劇場版にも大いに期待したい。
<劇場版3位> 劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト
評価:A+
お気に入りキャラ:大場なな
『BanG Dream!』『D4DJ』と共にブシロードの「音楽メディアミックス三部作」を担う本シリーズであるが、他のシリーズとは異なりユニットという概念がないため、より個人の内面へと焦点が当たることとなり、結果として物語としての一本の筋がしっかりと通っていた。そして、学園での最終学年を迎えた華恋たちを描く本劇場版は、シリーズの集大成として捉えることができ、各キャラにおけるこれまでのドラマの終着点を見事に描き切ったといえよう。その劇場版作品に相応しい映像美で魅せるレヴューの数々は、スクリーンの横幅のサイズをフルに生かした構成となっており、TVシリーズ以上にその独自の世界観に酔いしれることができた。ただ、いわば各キャラ及び各カップリングの「結」を連続で描くことに特化した構成はストーリー全体の起承転結には乏しかった印象で、これまでのファンへのご褒美である反面、単体としての面白みには多少欠けていた気がしないでもない。
<劇場版2位> 映画大好きポンポさん
評価:A+
お気に入りキャラ:ジーン・フィニ
映画らしい映画の制作過程を映画で描くという「映画とはかくあるべき」という主張をストレートに表現した作品。そしてその一番手はきっと「上映時間は90分以内」に尽きるのだろう(本作品の上映時間もきっちり90分)。そうした作り手の主張がメタ的に存分に伝わる構成はストーリーへの没入度という観点からはマイナスであり、客観的・俯瞰的な見方にならざるを得なかったのだが、キャラデザも可愛いしストーリーにも一貫性があり作品の完成度自体はかなり高い。ただ、誤解を恐れずに言えば、本作品は「こういう作品を褒めると分かっている感が出せる」、もっと言えば「通っぽく振る舞える」という感覚を素直に抱かせすぎてしまうとも自分は感じてしまった。そのような感覚は観客の深層心理に訴えかける副次的なものであるべきであり、その部分からそっと目を伏せさせてくれるというのも立派な技術だと思ってしまうのは、少し捻くれた捉え方をしすぎだろうか。
<劇場版1位> 映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ
評価:S-
お気に入りキャラ:恩田希
TVシリーズの前日譚となる中学生編を描いた劇場版。そしてその一番の違いは、希が女子サッカーではなくまだ男子に混じってサッカーをしていた時代のストーリーであるということ。彼女の方が技術では勝っているはずなのに、周りの男子の体の成長に伴いフィジカルの差という絶対的な男女の壁が生まれていく過程は、よりダイレクトに女子スポーツが根幹的に抱える事実を描いている。そして、高校生編でも登場している昔からのサッカー仲間である山田、竹井、そして希をオヤブンと慕う谷との関係性を中心に恋愛要素も交えたストーリーは高校生編の下地として、さらなる青春の輝きを添える役割を果たしている。希個人のファンタジスタとしてのプレーやその必至さもより印象的に描かれており、高校生編でのちょっと抜けたイメージがかなり変わった気がする。このように高校生編の下地としてかなり重要な物語なので、是非両方併せて見るのをオススメしたい。