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「 hectopascal 」とかいうアニメ史上に残る至高の名盤について語ってみた
キャラソングっていいですよね。
アニメの登場人物の抱える心情やバックストーリーや相関関係なんかを歌詞に溶け込ませて奏でられるメロディーは感情移入度もバツグンで、一般的な歌に対するアニメソングの大きな優位点と言えるのではないでしょうか。
そういう面もあって、自分の音楽ライブラリーの99%はアニメソングで埋まってしまっているのですが笑、その中でも特にお気に入りの名盤があるので、今回紹介したいと思います。
それは、2018年秋に放送された『やがて君になる』のエンディングテーマ「hectopascal」になります。
キャラソングにおいて、作中のカップリングによるデュオ形態で歌われることは俄然珍しくありませんが、本作品の小糸 侑と七海燈子の二人は、もはやカップリングを通り越して作品そのものを形作るお互いの半身と言っても過言ではありません。
そんな二人がデュオで歌うというのは、もうそれだけで感無量というか、もはや圧倒的な必然性しか感じなくて…。
そして、カップリング曲も含めてなんですが、このCDの真価はイヤホンで聴いた時に発揮されます。
右の耳からは侑の歌声が、左の耳からは燈子先輩の歌声が大きく聞こえるように設計されていて、左右からの二人の掛け合いが至福の時間を提供してくれます。
舞台の下手、上手という要素に当てはめると客席から向かって右側が上手になるので、侑と燈子先輩の後輩と先輩という関係性や時の流れに当てはめると、むしろ逆なのかなと思うところもあるんですが(ジャケットイラストも向かって左が侑のポジション)、ひょっとしたらこれは客席から二人を見た構図ではなく、舞台から二人が客席を見ている時の構図なのかもしれないぞ…とも考えてみたり(そうすれば下手側(右)が侑のポジションになるので)。
はたまた、客席から見た構図のまま、下手の燈子先輩から上手の侑へと想いが溢れていく様子だとか、実は二人の関係性をリードしているのは侑の側であるとかの暗喩なのかもしれないぞなどと妄想してみたり…。
まあ、実際はそこまで深い意味は無いのかもしれませんが、色々と考察したくなってしまうのがオタクの性ですね笑
なんにせよ、聴いてる分には右から侑、左から燈子先輩という掛け合いのポジショニングは十二分にしっくりきているので何の問題もありません。
そして、表題曲の「hectopascal 」は言うまでもないのですが、それをさらに上回る素晴らしさを誇るのがカップリング曲の「好き、以外の言葉で」になります。
CDの真価がカップリング曲に詰まっているとは、カップリングの神髄を突き詰めた本作品にとってなんて運命的なことか…‼
「好き、以外の言葉で」はとにかく歌詞が素晴らしいんです。
どうしよう
何を言おう
好き、以外の言葉で
一にも二にも、サビが来るたびに繰り返される締めのこのフレーズがもう本っっっ当に良くて、なんならこれだけで一節のポエムとして成り立ってしまうレベルだと本気で思っています。
歌詞全体としても、1番が侑の心情、2番が燈子先輩の心情を表現しており、パート分けもそれに伴い1番はメインが侑、2番はメインが燈子先輩となっています。
今更ですが、侑役の高田憂希さんと燈子先輩役の寿 美菜子さんの本作品での演技は本当に秀逸です。
特に寿 美菜子さんによる燈子先輩の演技は、表面上はクールな雰囲気を纏いつつも、時にネットリとした熱を孕む感情が羞恥心も交えながら隠し切れすに滲みだしてくる…というような表現力が図抜けています。
個人的に、寿 美菜子さんの代表作筆頭として推薦したいのは間違いなく本作品の燈子先輩ですね(次点は『ベイビーステップ』のなっちゃんかな…)。
現実では普段喋る声と歌声にギャップのある人ってけっこういますけど、キャラソングを歌う声優さんは、きちんとキャラ声のままで見事に歌い上げていて本当に尊敬してしまいます。
台詞にたまたまメロディーが付いているだけっていう解釈もできるので、この技術もきっと卓越した演技能力の延長線上にあるんでしょうね。
最後に、歌詞の特に好きな部分を抜粋して締めたいと思います。
君に言いたいこと
いつも心にメモしておくけど
声を聞いたらもう全部忘れてしまって
秘密の会話も
ありきたりな言葉で埋まってしまって
どうしよう
何を言おう
好き、以外の言葉で
「好き、以外の言葉で」ってホント珠玉の表現ですね…。