就職と転職と結婚と出産とか
一歳半の娘を育てるアラフォーの理系ワーママの私。
特段誇れるようなキャリアを積んでいるわけではないのだが、ワーママにカテゴライズされるずっと前から、
私には腑に落ちないことがある。
女性の出産のタイムリミットだ。
生物学上、どうしようもないことだというのは、
発生生物学や生殖発生毒性を学んだ経験から、
理解してはいるものの、やはりどこか納得できない。
私は修士卒のため、就職したのはもうすぐ25歳になろうとしている春のことだった。
もう10年以上前のことだけど、当時は
「君くらいの子は、2年くらい働いたら、結婚して辞めちゃうんだよね」
とか、面接で普通に言われていた時代だ。
20代後半で転職した時もそうだ。
「結婚や出産の予定は?」とか聞かれるから、
心底嫌になった。
生物学的な適齢期は、きっとこの辺なんだろうな...
なんて、ちょっとだけ気にはなったけど、
まだまだ社会の仕組みもわからない私は、
結婚や出産の余裕はなかった。
そして30代にさしかかった私は、
仕事もプライベートも満喫しまくっていたし、
それで満足していたのだが、周りは結婚ラッシュ。
「いい加減、早く結婚しなよ...出産にはリミットがあるでしょ?」
という、独身が悪者みたいな扱いを受けた。
実際、子供が欲しいと思っていた私だが、
こればっかりはゴキブリみたいに単為生殖できない限り、自分1人ではどうにもならない。
仕事もひと段落して今なら結婚しても...
というタイミングに限って相手がいなかったり、
仕事が楽しい時に限って結婚話が浮上して断ったり...
まぁ、思い通りになんていかなかった。
そんなことをしているうちに、
あっという間に34歳間近になった。
ちょうど仕事の区切りも良く、
今なら結婚出産も大丈夫というタイミングで、
当時のらりくらりと付き合っていた今の旦那を焚き付け、結婚した(笑)
当時、すでに若年性更年期を煩い、
学生時代から実験で抗がん剤だの
放射性物質だのを扱ってきた身体も心配だし、
高齢出産に認定されるのは目前という焦りもあり、
結婚後はすぐにでも子供が欲しかった。
だが、そう簡単にはいかないのだ。
来月入籍だという頃、1ヶ月の海外出張が決まった。
しかも、滞在先の文科省に当たる機関からの研究計画書の承認がいつになるかわからず、向こう1年近くはスケジュールを空けておくようにとのこと。
これは暗に、ビザ発行や研究計画書に名前を記載する都合で、「妊娠したからメンバーチェンジ」は避けたいという意味だ。
というわけで、妊活は結婚後10ヶ月に渡りお預けをくらった。
お預け期間、
「子供はまだか、若くないんだから、早くしなよ。」
という、事情を知らない外野からの無言のプレッシャーも半端なかった。
いちいち海外出張が...なんて説明も煩わしく、
その場はニヤニヤしてやり過ごしたが、
ひどく滅入った。
唯一の嬉しい誤算は、海外出張から帰国してすぐ、
奇跡的に娘を授かったことだ。
これでめでたしめでたしかと思いきや、そうはいかない。
今度は昇進の話に直面した。
何年も昇進しなかったため、
まだしばらくはないだろうと鷹を括っていたら、
妊娠を上長に告げようか悩んでいたタイミングで、
昇進の内示が出た。
やむなし、昇進後すぐに産休育休となり、
給付金はやや得をしたが、
なんだか申し訳ない感じになったし、
会社からすれば「あいつめ、やられた!」であろう。
そして復職後の現在。
昇進したものの、求められるレベルの業務を全てこなせるわけではない。
やっているように見せるために、出来る仕事を選ぶようになった。
ありがたいことに、上司たちは
「このまましばらく頑張ってみれば?」と、
降格せずに野放しにしてくれているが、
正直悔しい思いをすることもあるし、
逆に降格して負荷を減らした方がいいのかも、
と思う日もある。
我が家は私の体調面から、
子供は1人だけと決めているけれど、
もし2人目を望むなら、
きっと今このタイミングで、
キャリアについて悩むことになったに違いない。
初めての子育てと仕事の両立に右往左往しながら、
2人目を計画し、産後のサポートをリサーチしつつ、
さらにキャリアの心配もしなきゃならないなんて、
鼻血が出そうなくらい大変だ。
世の中のお母さん方には、本当に頭が下がる。
世の中には子供を望まない人もいるし、
子供を産むのが全てではない。
生き方に正解なんてないし、楽しければそれこそが正解だ。
だけど、女性の社会進出、男女平等云々と謳うものの、生物学的な妊娠出産という問題と、就職、昇進等のキャリア形成がバッティングすることは、まだまだ軽んじられている気がしてならない。
この問題には、誰も答えてはくれないし、
自分で納得して決めるしかないのだけど、
もっと選択肢があればいいのになと思う。
最近でこそ、女性のキャリア形成を目的にした卵子保存に対して、補助金を出す自治体や企業もがあると多少聞くようになった。
卵子保存したからといって、
必ずしも妊娠できるわけではないけど、
そういうツールがもっと普及してくれたらいいのにな。
そして、男性諸君にも、女性のライブイベントとキャリア形成がかち合うことを知って欲しい。
彼女や妻が困ったときには、うやむやにせずに、
真剣に話を聞いて欲しい。
適齢期の彼女がいるなら、「オレはまだ遊びたいし、30半ばで結婚できればいいかなぁ」とか、
気安く言わないでくれと思う。
もっと、生物学的な女性のリミットも気にして欲しい。
というか、そういう奴に限って、いざ結婚するとなると「子供はたくさん欲しいから、20代の奥さんがいいな」とか言い出しかねない。
あまりに正直で残酷すぎて笑えるけど、
よく聞く話だ(笑)
就職も転職も結婚も出産も昇進も、
全て計画通りに行くとは限らないし、
ぶっちゃけ何か一つタイミングが違えば、
全く別の人生になる。
働く女性の中には、そうやって常に人生の分岐点に直面している人がいるということを、もっと社会的に広く知って欲しいな...と切に願う。
女性だけが子供を産めるという根本が変わらない限り、
完全には解決できない問題だ。
だからやっぱり思う...
男性も子供を産めればいいのにな...