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保育園ってもうプール入らないの!?①


 こんにちは!こんばんは!おはようございます!!
 最近保育園の先生に向けた研修を担当することがチョコチョコあるのですが…。そこで話題になることが「夏の遊び問題」。端的に言うと暑すぎるので夏場全く外で遊べない、言うのです。「じゃぁ水遊びすらええやん」ということになりますが、僕が住む東京都内でも「暑さが危険なので園や区市の判断で水遊びも含めて全廃!」という保育園も多々出現。。
 ほほぉ・・・なるほど。しかしその安全対策は本当に子どものためになるのですかしら…という疑問が浮かんだので、暑さと水遊びの関係性を僕なりに検証してみることにしました。(全3回)


そもそも「リスクマネジメント」は…

 安全対策に絶対は存在しませんし、「絶対!徹底!!」と宣言するところほど多くの場合あまり問題を正対して考えていないところが多い傾向があり僕はキナ臭く感じています。そんなことあり得ませんから。
 では、リスクマネジメントは何か。それは、環境的なリスク、子ども自身がもつリスク、指導者がもつリスクが引き金になり物的、人的、心理的、経済的なダメージを回避や抑制し、「社会が許容できる範囲までダメージを下げてコントロールすること」を指します。理想ではありますが、目的は0じゃないのです。ここが替え違うと議論の全てがおじゃんになります。では、ここからは「なぜ、暑さでできなくて、どうすればできる可能性が出てくるのか」について考えてみようと思います。

中止基準の視点「WBGT」

最近有名な環境省が発表する暑さ指数。温度や湿度などいくつかの条件を掛け合わせた数値で、熱中症の救急搬送率と関係が深いデータです。
特にWBGT28℃を超えると救急搬送件数が急増する=熱中症発生率が上がるので、この状態以上では屋外での激しい運動の中止を呼び掛けています。

暑さ指数28以上で「運動中止」になる大きな理由

 さらに、WBGT31℃を超えるといよいよ暑くてヤバイ!ということで、「特別な場合を除き運動を中止!特に子どもの場合は中止!!」とされています。この文言が比較的トリガーになっているようです。

WBGTの行動指針By環境省

たしかに、国の指針でもあり合理性がありますね。単純にこの水準に従ってれば間違いなさそうです。事実いくつかの市の対応を見てみると…。

たとえば東京都立川市
例えば神奈川横浜市

いずれも暑さ指数が中止の判断基準になっているようです。

ちなみに…。
2023年8月は、31日のうち24日でWBGT31℃を超えました。
つまり、屋外活動はもとよりプール活動を中止。

もっと調べてみると、2021年はWBGT28℃以上が8月100%というスコアまで。みなさんお気づきのように最近の夏の暑さはとんでもないです。さらに先日気象のウェザーニューズ社からはさらに恐ろしい情報が…。

この先暑さが和らぐことは…たぶんない。

 暑さは加速する一方のようです。これに例えばWBGTだけに判断を頼ると、単純理論ではこの先夏場の戸外活動はほぼ一切できない事になります。

 最近多くの子どもは保育園に通います。例えば2歳児統計だと全体の42%程度。0歳児で入園し、5歳まで保育園にいると子どもはほぼ週のほとんどの日中を保育園で過ごします。結果、夏場はほとんどWBGTが基準値を超えてしまうので外で一切遊べない=空調完備の空間で過ごすことになるのです。

 安全のためであればそれも仕方ない、と捉えますか?
 本当に外で遊ぶオプションは残されていないのでしょうか。

安全対策が生み出す文化

 2年~3年こうした対策を続けていると「文化」が生まれます。つまり、暑い夏場に水に入るなんてけしからん!という文化です。そういった文化で育った子供が親になった時代はどんな反応を見せるでしょう…。
 オーバーに聞こえるかもしれませんが、直近ではコロナマスクで同様の状態が起きています。いまだに中高生の80%近くはマスクライフ。しかしその理由は必ずしも感染予防だけでもない…。
 私たちおとなが課す「安全対策」は予想もしない文化を生み出すのです。子どもたちにとって「安全と体験」の最適解はなんなのか。夏場プールにおいては、「熱中症予防」がキーワードですので、次回ではなぜプールで熱中症にってしまうのか、を検証してみたいと思います。

#保育園 #プール活動 #水遊び #子育て


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