言葉選びと薬味探し|酒と肴
いや
ばか
だめ
うふ
あは
これらの語尾に「ん」を加えると、昔ながらの艶な表現になります。
いやん
ばかん
だめん
うふん
あはん
さらに「〜」を付け足すと、性の大らかさまで伝わってくるようです。
いや〜ん
ばか〜ん
だめ〜ん
うふ〜ん
あは〜ん
果たして誰がこの言葉を、表現を発明をしたのでしょうか。
ネットで調べても、初代・林家木久蔵師匠の名曲が出てくるばかりで、答えにたどり着けません。
素人の手慰みとは言え、表現手段に書くことを選びました。だから発明的な文章表現には、尊敬に加えてキィーッとなる気持ちが混じります。いつか、読むだけでほろ酔い気分になるような言葉を紡ぎたく、今夜もお酒にまつわる話を書き散らしているのです。
理想的な言葉を求めるのは、飲んべえの工夫と似ています。
酒呑みって奴は料理とお酒があっても満足せず、どうしたら更に美味しく頂戴できるのか、試行錯誤せずにはいられない生き物です。
鰹のお刺身なんてその最たるもの。
実家の定番がタタキでして、タレは醤油と酢、薬味は刻みネギに、すりおろした生姜とニンニクが子供の頃の一揃いでした。
そこを振り出しにいつしか酒の妙味を覚えると、聞きかじった知識や訪れたお店の仕様を真似て、ちょいとひと工夫したくなるのです。
自炊する様になって、タタキではなく生の鰹を選ぶことが多くなりました。タレはわさび醤油やコチュジャン、ドレッシングに芥子醤油ときて、今は胡麻油に塩、そこにレモンを絞った奴に落ち着いています。薬味は薄切りの茗荷、フライドガーリックを経て、千切りの大葉、加えてこの時期なら新玉ねぎたっぷりで頂きます。
嗚呼、もう想像するだけで口の中が楽しくなってきました。書くほどに、その時々の味が思い出されて喉が酒恋しくなっちゃいます。
合わせるならキン冷えしたビール、冷酒、白ワインもいいですが、濃い目の日本酒のソーダ割なんて乙ですよ。厚く切ったお刺身に山と薬味をのせて、たっぷりのタレをつけてパクリ。ソーダ割にした麒麟山をゴクゴクやったらですね、もう「涅槃」ならぬ、めくるめく「あは〜ん」の境地に辿り着けます。
「読むだけでほろ酔い気分になるような言葉」
きっと一朝一夕では見つからないでしょうね。
薬味とタレの組み合わせだって、この先歳を重ねていくうちに、理想も変わるかも知れません。
いつか、いや〜んばか〜んと比肩する表現を発明出来るよう、ああでもないこうでもないと、お酒を呑み呑み書き続けることに致します。