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ぞんざいな証明|日々の雑記

昔っから言うじゃないですか

「酒は百薬の長」

って。

私は度数高めのアルコール中心主義者ですから、もちろん異論はありません。ただ、アンチ・アルコール同盟の方々が、

「されど万病の元」

なんて二の句を継いで、声高にプロパガンダするのが気に入らないのです。

そんなこと言い出したら、世の中ありとあらゆるものが万病の元じゃないですか。自分の推しに対して喧嘩を売られたら、そりゃ、買ってみせようホトトギスですよね。赤テープには白テープ、酒が百薬の長であることを証明するため、体調不良の際に呑んで得た学びを、記録として残したいと思います。

【カルテ1】 胃腸炎
傷付いた胃腸にばい菌が入らないよう、アルコール消毒は欠かせません。振りかけたオキシドールよろしく、ビールの泡で殺菌を期待します。
するとまあ、沁みますよね。
ピリッときて、あ、胃のここらへんが傷ついているんだな、腸はここいらが炎症を起こしてるんだなってよく分かります。いわゆる消毒が効いている状態です。
呑み続けるとペンチで掴まれたようにキューッとなりますが、これは言うなれば好転反応。酒の薬効である、痛み止めの効果が現れる前兆、むしろ瑞兆です。
時折、揺り戻しが上下に発生することもありますが、空っぽになっちまえば治りも早いものです。

【カルテ2】 風邪
東洋医学的なニュアンスだと、いわゆる風邪(ふうじゃ)や寒邪(かんじゃ)などの「邪気」が入った状態ですから、身体の中から温める燗酒を所望、いえいえ処方します。
空腹と寒気でぶるぶるしていたところに熱燗をくっとやれば、胃袋からじんわり温かさが広がります。呑むほどにこもっていた邪気が祓われて、暗闇にぽっ、ぽっと火が灯る感覚。酔いの快活さと相まって、すっかり調子が良くなります。そのまま布団に入って寝ちまえば、翌朝にはすっかり回復するってもんです。

【カルテ3】 メンタル不調
こいつがイチバン効果てきめんです。
幅も深さも不定形な我らの傷を、甘美な水薬が優しい膜で覆い隠してくれるのです。私の座右の銘が「よろず酒類承り」なので、どんなお酒でも効きますが、世の中にはチョコレートや苺のリキュールがあるそうで、甘やかすにはぴったりかも知れません。不安が打ち寄せる夜、強めのお酒のお供に、バニラアイスにたらりとやったら、モヤモヤも少しだけ溶ける気がしませんか?
その間に、酔っている間に、心の免疫機能を整えられたら万々歳です。

さあ、これら3つの症例だけでも、どれだけお酒が薬になるのかご理解頂けたと思います。

これから年末年始で呑む機会も多くなります。
見方を変えれば、私たちアルコール中心主義者は、命薬ぬちぐすいを嗜んでいる訳です。ダイバーシティ&インクルージョン。アンチ・アルコール同盟の皆さまには、優しく見守って頂けると幸いです。

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豆千|飲食系書店
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