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酒と肴の記録

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シリーズ「酒と肴」をまとめたものです。日々の暮らしの中で拵えたおつまみと合わせたお酒を紹介しています。信州食材と豆料理への愛が適度に詰まっています。
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#漬物

お暑いのはお好き?(はりはり漬け)|酒と肴 その八十五

猛暑のニュースを耳にするたび、「モー・ショボー」という言葉が頭に浮かびます。 鳥の妖怪だと記憶していましたが、あらためて調べると、脳みそを吸うタイプのモンゴルの妖怪でした。 解説には 「美しい少女の姿で旅人を油断させ、近づいてくると鋭い嘴で頭蓋骨を割り、脳髄を啜る」 とあります。 命がけのシルクロード。ゴビ砂漠に咲く一輪の花が怪鳥だなんて、実に殺生な話です。 それにしても雪女とかもそうですが、純情を弄ぶロマンス詐欺は、伝承の昔から、世界各地で横行していたんですね。 いく

美禄と余禄(漬け物)|酒と肴 その六十一

漬け物を肴に夏の酒、〆は小振りな塩むすび。 世の中には美味しいものが溢れていますが、これ以上を望むのは贅沢ってもんです。 確かに、欲望にはキリがありませんし、どうしたって不満は尽きません。 けれど 「あれが足りない」 と眉間に皺を寄せるより、 「もう十分」 と目尻に皺の寄る方が、味わい深いのではないでしょうか。 急にこんな事を言い出したのは、ビールと揚げものでお腹を壊したからです。 「一期一会」を言い訳に、暴飲暴食したのが運の尽き。胃腸が仕事を投げだし困りました。そ

大人になれば(ふき味噌、他)|酒と肴 その五十二

「ひと雨ごとに暖かくなり、つま先の霜焼けがいつの間にか良くなっていました。ヒートテックのタイツをはかずに過ごせるということは、春がやってきたのでしょう」 そんな出だしで書き進めていた今回の文章、寒の戻りで空振りとなりました。とかくこの世はままなりません。 さて、例年この時期は年度の切り替わりで忙しく、慌ただしい日々を送っています。 心を亡くすと書いて「忙」しい 心が荒れると書いて「慌」ただしい 心のまま生きた結果「性」癖で逮捕 よく聞くニュースです。 「ストレスが溜ま