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朱野帰子さんの「わたし、定時で帰ります。」シリーズを読みながら、会社生活について思いをはせる

25年以上勤めたお堅い職場を早期退職して、現在、小学生男子を育てながら主婦をしているまめさとです。
子供の学校も無事始まり、少しずつ私的日常を取り戻しつつも、まだ夏の疲れをいやしている状況です。

今回とりあげるのは、夏の間に読んだ本の一つ、朱野帰子さんの「わたし、定時で帰ります。」シリーズ。
2019年に、主人公、東山結衣を吉高由利里子さん、元カレ役の種田晃太郎を向井理さんが演じてドラマ化されています。
リアルタイムで見ていましたが、おもしろいなと思いながらも、当時は小説から遠ざかっていたので、原作を当たることはせずに終わりました。

それから幾数年、ドラマのストーリーをうすぼんやりとしか覚えていなかったおかげで、で吉高さんや向井さんの顔を思い描きつつ話の展開にドキドキするという、楽しい読み方をさせていただきました。

現在、このシリーズは3冊刊行されています。
いわゆるお仕事小説に少し恋愛要素を絡めた感じですが、主人公の性格を反映してか、恋愛の甘さ要素はほぼ皆無。
それも素晴らしい(笑)。

ざっと3冊のお話のテーマをまとめてみると、
・1巻 無能なブラック上司&手のかかる新人との付き合い方、過重労働問題
・2巻(打倒!パワハラ企業編) パワハラ・セクハラが横行する取引先との戦い、問題だらけの新人たちの育成
・3巻 (仁義なき賃上げ闘争編) 生活残業と若手職員の手取り少なすぎ問題、古参職員と転職組の軋轢、社内政治

大きなテーマはこんな感じですが、他にも仕事効率化への反対勢力、社内でのやっかみや嫉妬、突出した能力をもつ新人の特別待遇雇用、外資系企業の台頭など、時流に乗ったテーマが盛り込まれています。
まさに職場でのあるあるがそこかしこにちりばめられていて、おもしろい。
こういう人いるし、こういうこともあるよね、と何度もうなずきながら読みました。

3冊とも面白いし読み応えありますが、2巻のパワハラ企業編はとてもしんどかったです。
自分がどうあがいても理解してもらえない相手とのやりとりはむなしく、どうしようもなさマックスで、こっちまで息苦しく。

逆に3巻は、社内政治的な要素ががっつり入ってきていて、あれやこれやのドロドロ加減がちょうどよく、楽しく読みました。
どの話が一番楽しめるかは、好みやその人がおかれている状況などにより別れるかもしれません。

主人公の結衣は、まっすぐで、とっても正しい意見を持っている人。
彼女自身も相当しんどい思いをし、知らず知らずのうちにいろいろなものの矢面にたたされていきます。
その状況に恐れながらも、困難を乗り越え、成長し、さらなる高みを目指していく結衣。

楽しみながら読みつつも、こうゆう人が周りにいたら、私は反発してしまうだろうな・・・と思ってしまいました。
会社や体制と戦うのは面倒で、そんなものに自分の個人の人生を乱されたくない、と強く感じてしまいます。

同時に、かつて自分が働いてた頃のあれこれを思い返し、もしあそこであきらめずに、地道に情熱をもって改革しようとしていたら、何か変わっていたんだろうか。
いや、でもやっぱり、私には結衣のような情熱も愛情も職場には持てなかったな・・・など自分の限界を感じ、ほろ苦く過去を思い返したりしたのでした。

3巻を読み終わりましたが、まだまだ先の展開がありそうなこのシリーズ。
立場が変わると見えてくる景色も、直面するトラブルも変わっていきます。 そうした環境の変化の中、結衣がどう立ち向かっていくのか、しっかり追っかけていきたいと思います。

本日の写真:カカオの実(アオイ科)
この実からあのおいしいチョコレートを生み出すなんて、天才的な発明です。

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