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走れメロス【詩】

 煩悩の果てにフクロウの首を絞めてまわる温泉宿の主人は少し老けて見える。趣味は空き缶集めだ。古今東西のジュースの缶だけを専門に集めている。ところがあるとき温泉の源泉が止まってしまいてんやわんやの末、コレクションは跡形もなく消えてしまった。混乱した主人は宿を飛び出した。駆け出した。走れメロスのように。メロスになったつもりで走った。わたしはメロスだ。メロスと同化した。気がつくと海にいた。荒波だ。日本海のどこかの浜辺だ。日が沈む頃、メロスは空き缶を拾っていた。

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