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石松ちゃん【詩】
道端で偶然あったのは森の石松ちゃんだ。石松ちゃんだなんて馴れ馴れしいぞと思うでしょうが、実はこれには訳があるのです。ほんとうはね、石松ちゃんは実在しないひとなのです。実のところ、石松ちゃんは、あたしの、頭の、なか、だけに、存在するのです。では虎造(先生)の次郎長伝はなんなのですか! とおっしゃるでしょうがあれこそまやかしです。嘘っこです。石松ちゃんはわたしだけのものなのよ! と力説したらもうほんとうのところわたしこそ存在しないのではと思うようになり寝れば忘れられるだろうと思ったが忘れられずあまりに寝てばかりなので会社も馘になりそれはいいのだがベランダの鉢植え皆枯れて石松ちゃーんと叫んだら、陽は落ちた。