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鶏を食べた。

※鶏を絞めて、解体するまでの一連の流れをキロクしています。

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きょうは、鶏を絞めて鶏を食べた。

ずっとせねばならないという使命を、なぜだか持ち続けていた。3年間くらい。とある日、友だち(と言わせていただく!)が鶏を絞めに行くというのを知り、慌てて連絡した。

会場に着いて早々「札幌からわざわざきたの?馬鹿だねえ」と言われつつ、その会は始まった。

すぐに見本をみせてくれた。まずは、捕まえて血を抜く。捕まえられないかもしれないな、と思った。

子どもたちもたくさん参加していた。元気に、追いかけ回していた。と思っていたけど、なんとなく緊張感がはしりはじめていた。

足元にたくさんいるけれど、足を曲げて手を伸ばして捕まえることがなかなかできなかった。羽を掴めばいいと3人くらいに教えてもらったけど、5人くらいにどうやって捕まえるかをひたすら聞いていた。みんな羽を掴めばいいと教えてくれた。

あっけなく、胸元に抱きかかえた。おとなしくて、毛がふわふわなのを選んだ。

羽を押さえ、膝に挟む。かしてもらったナイフを右手に、左手で目隠しをする。そのまま首筋をのばし、血管を浮き上がらせる。ナイフを、当てる。

すーっとナイフは入らなかった。意思を持って、力を入れなければならなかった。もう後戻りはできなかった。どんどん私の両手の握力がなくなっていく。

膝にこめていた力を少しずつ抜く。赤黒い液体が、滴り落ちる。左手をそっとはなすと、人形のようにゆるんだ。目を瞑っていた。

脚を持って、促されるままにナタを手に取る。2回。

脚をロープでむすび、つるす。

待つ。


お湯に入れる。羽をむしりとる。その場にいた中で一番毛がふわふわで、羽をとるのが大変だった。毛根が強いね、と言っていたら皮が剥がれてしまった。痛い、と思った。

トリハダ。何度かお湯につけながら、毛根をゆるめ羽をむしりとる。筋肉にすべる皮膚、パンと張ったもも、びよんと伸びる皮、人間のされるがままになる全身。もうそこにはない、首から上。

黒い羽をほぼほぼむしりとると、スーパーで見たことがあるようなピンクがかった塊に、なった。

解体する。足の関節を逆に曲げ、羽の根本の筋を切り指を入れてももをはがしとり、ささみをこそげとり、腹の殻を開け、内臓があらわれる。

ハツ、砂肝、レバー。ハツは親指くらいの大きさ、レバーはぶるんと、砂肝は驚くほどゴロンとかたかった。砂肝をひらくと、砂がたくさん出てきた。産もうとしていたんだろう卵も出てきた。

きれいに解体できたのかは、わからない。


カレー、スープ、炒め物、焼き鳥。食べた。骨付き部分は、筋肉質で、かたくて、貪り食べる格好になった。ハツも、レバーも、砂肝も食べた。カットされた砂肝は4つくらい。レバーも、4つ。ハツは、ひとつ。何羽ぶんなのか、考える。

スーパーでよくみる肉より、飲食店ででてくる料理より、ずっと小さくて、ずっとかたかった。なんか生命力だ、とつぶやいていた。


食べれるんだなと思った。食べるんだなと思った。


いつもよりも、たくさんごはんを食べた。



きっとずっと忘れないし、忘れたくないなと思う。

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