あとがき

この度は、書き散らしにもならぬ創作を読んでくださりありがとうございます。大好きな夏目漱石先生の分かりやすい真似事をすることへの些かの抵抗もありつつ、十夜まで書き尽くしてしまいました。お付き合いくださり、ありがとうございます。

はじまりはひょんなきっかけでした。初めて書いた第一夜は本当に見た夢でした。オチも何とも言えない感じなのですが、あれは本当に桑原くんでした。特に推しではありません。なぜ夢に出てきたのでしょうか。不思議なこともあるのですね。

それからの夢は創作と本当に見た夢を混ぜているものです。どれも足りぬものですし、明確なプロットを組んで臨んだ訳ではありません。ただ、いつか聞いた「ものかきは自分のことを書いたらダメだ。自分のことを書かなくなったら1人前だ。」という言葉に反していることだけは、分かります。情けない限りです。

一夜にして書いたものもあれば、実はずっと温めているものもありました。本当を言うと、夏目漱石さんの原作に習った対比のようなものが作れたら面白いと思いました。しかし、私にそこまでの技量と体力と知性がなく、こんな形で歪な完成を遂げることになりました。読んでくださる方がいることに幸せを感じます。

この作品を通して、夢の意味をもう一度考えるようになりました。「将来の夢は?」子どもの頃から、その質問が怖くて何となく用意していた自分やファンタジーな側面、キラキラした憧れの側面、どうでもいいくらいくだらない側面。目を背けたくなるような残虐な側面。どれも夢のもつ顔で、意味なのだと気が付きました。出来れば、明るくて幸せな夢を見たいのですが、なかなか上手くいきません。未だに枕の下にはバクがいます。

嫌な夢を食べてくれるバク。ぜひ、おすすめです。今度もまた短編を上手くまとめていきたいです。本当にありがとうございました。