【読書記録】いつの間にか相手の心をつかむ すごい!聞き方
片山 一行 (著)
この本を手にとったきっかけ
キャリアカウンセリングの資格取得を経験したため、題名にひかれて。
心にとめておきたいこと
・ある精神科医から伝わってきた「聞く技術」
ある精神科医とであった。既に70歳を越えているその先生は、私に優しく微笑みかけてくれ、私の話すことに何一つ反論もせず、「そう・・・」「ふむふむ・・・」と聞いてくれた。
最初のうちは何らかのアドバイスをもらえるものだと思っていただけに、もどかしさはあった。しかしそのうち、まるで先生に包み込まれているような気分になってきた。ただ聞いてもらっているだけなのに、たとえようもなく快いのだ。
催眠術を使っているわけでも、特別な心理療法を施してくれているわけでもない。聞いてもらっているだけなのに、私はどこか癒されていった。
先生が私にいろいろなアドバイスをしてくれたのは、私が自分の心理状態をほとんど話し終わってからだった。
まず、相手の言うことを聞く。それは、相手の気持ちを受け止めるということだ。どっしりと受け止めて、その上で自分の意見を言う。これが全ての基本である。聞き役に回ることで、相手は気持ちが楽になる。
「人から好かれるように、人が話したくなるように聞きなさい」などど教わった人は、まずいない。だから、一見聞き上手なようだが、ただ聞き流しているだけ、という人や、話すばかりで人の話を聞かない人が増える。
相手に対してどこまで優位に立つかを考えるのではなく、相手の気持ちを認める優しさを持つ。受身になって構える。
話の合う人間とばかり話していると、会話のスキルアップはしないし、聞く技術も養われない。
人は何かを話す時、共感してほしくて語りかけていることが多い。
謙虚さのない人には、本当の「仲間」はできない、と言った人がいる。やや極端な考え方かもしれないが、基本的には私もそう思っている。
「部下のやった仕事は、あまり信用せずにチェックしないと、大けがをする」
その経営幹部からこの言葉を聞いたとき、わたしはこの会社から人がやめていく理由が分かるような気がした。
信じて愛してあげないと、相手はやる気をなくす。距離も縮まらないのである。
指示の多すぎる上司からは、人が離れていく 一見するとバカ殿ぐらいがちょうどいい。
ちゃんとした上司が後ろに控えているだけで、部下は安心する。
「何でもできるバカ殿様」がベストだとは思わないが、「何でもできる切れ者」では、部下も息が詰まるというものだ。
ちょっと落ち込んだり、気持ちが暗くなっているような人の話を聞くときには、このようなひと言がポイントになる。その時に大切なのは、「この人に元気になってほしい」と言う気持ちを送ることだ。これが「プラスの嵐」である。決して「プラス思考で頑張れ」と励ますことではない。
人間は、褒められるとやる気を出す。もう少し努力してみようかな、前向きに考えてみようかな・・・・と思う。しかし否定されるとやる気をなくす。うつの人の場合は症状がますます重くなる。
聞くときは、まず誉める。あまり良くなくても、とにかく誉める。問題点の指摘はそれからでも遅くはないのだ。
悩み相談ではなくとも、できるだけ相手の意見を否定しないのが、会話の基本である。
そもそも「聞く」とは、かなりのエネルギーを必要とするものである。だからこそ、じっくり聞けば、そのエネルギーが相手に伝わっていくはずだ。
たとえ相手の考えや感情(つらい、悲しい、怒り・・・など)が間違いだと思っても、相手が話し終わるまでは、否定的な言葉は使わないのが鉄則でもある。
正論かもしれないが、往々にして正論は人を傷つけるものだ。
まずその感情を受け止める。話の内容を受け止めるのではなく、感情を受け止めるのである。この違いは、同じようで大きく違う。
積極的な無関心―これが、うつの人と接するときのキーワードでもある。私は10年以上まえにうつ病になり、今でも完治しているとはいえないから、うつの人の気持ちはよくわかるつもりだ。
コミュニケーションの成否は、こうした「やんわりした」言葉を、どうやって上手に使うかで決まってくる。
否定語を使った質問は避ける
質問の中に「・・・ない」という言葉を入れないこと。
否定的な質問より、肯定的な質問をするように心がければ、ものごとは前向きに進んでいく。
否定的な質問には、メリットは全くないと言ってもいいのである。
納得してもらわないと、本当の説得にはならない。
聞き上手というのは、場合によっては話し上手にもなれる人なのである。
元気を相手に与えられるかどうかが、コミュニケーションのひとつの基本でもあるのだ。
そもそも話を聞くということは、根底にこうした「譲り合い」の精神が必要だと思うからだ。自分から強く働きかけるのではなく、相手の言い分を理解し、相手に合わせる これが「聞く力」である。
「一度、ドブに落ちた経験がある人は強いんだよ」
「性格は変えることができないが、考え方を変えることはできる。聞くのが苦手な人も、少し考え方を変えるだけで、わずかでも聞き上手になることができる。そうすれば、いろいろなコミュニケーションもスムーズになり、人生が少し心地よくなると思う。
むずかしいことをやさしく。
やさしいことをふかく。
ふかいことをおもしろく。
おもしろいことをまじめに。
感想
文中に、「話の内容を受け止めるのではなく、感情を受け止める」とあった。これはカウンセリングの講座でも特に重要と教わった一つである。
自分ではしっかりと相手の話を聞いていたつもりが、ただ聞き流しているだけだったと実験したのはカウンセリングの資格の講義のときだった。通常のカウンセリング資格も、キャリアカウンセリングの資格も、その講座の約半分ほどを使い、徹底的に「人の話を聞く」ということを叩き込まれる。しかも「聞く」ではなく「聴く」だ。そのことをカウンセリングでは「傾聴」という。なぜそこまでカウンセリングでは「聴く」ことが重要視されるのか。それは先程○○さんは○○といわれてましたが、その時のお気持ちは○○な感じだったのでしょうか。カウンセリングの後半ではこのような質問を投げかけることがある。その時に○○と言われてましたがの○○を聴いていないとそこでカウンセリングが成り立たなくなる。そして相手の話をちゃんと聴いていると誰もが思うものだが、「そこまでしっかりとは聴いていない」ということが浮き彫りになるのだ。いままでいくつかの資格に挑戦してきたが、この「カウンセリング=しっかりと傾聴できる」という資格が私にとって最もためになりまた、最も辛い資格だったと思う。なので、聴くことに関する本は結構手に取る。一見当たり前のことが多くかいてあるがそれを「ちゃんと実践している人」はあまりいないというのがあらためて分かるし、またカウンセリングの復習にもなる。尚、この本は、聞くということ以外にも参考になり、復習になることが多くあった。
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