やさしい和菓子の世界〜お干菓子編②〜
和菓子屋で10年の修行を経て現在お店を開いています
※お干菓子はたくさん種類があるのですが、お店で作ったことのあるものを主に紹介したいと思います。
お干菓子とは
水分の少ない乾燥したお菓子のことです。ほぼ砂糖なので砂糖菓子ともいわれます。
水分が10%以下が干菓子、10〜30%が半生菓子と分けられていますが、ここでは半生菓子も干菓子として紹介します。細かい分類はしません。
ちなみに30%以上は生菓子と呼ばれます。
琥珀糖(こはくとう)
琥珀糖は寒天、砂糖、水飴を煮詰めて乾燥させたお菓子です
食べる宝石と検索すると出てきますよ!型抜きしたり、ちぎって鉱物のようにしたり、まん丸にしたりとさまざまな形にすることができます。
下の四つが琥珀糖です。
グラニュー糖をまぶしてあります。
まぶさなくてもそのまま乾燥させることもできますが時間がかかるのでグラニュー糖をまぶして早く乾燥させているのです。
外はシャリっと中はゼリーな感じです。ぷるぷるしたゼリーというよりもしっかりしたゼリーといった食感です。型で抜くことができますからね。
これも極限まて水分を飛ばすように煮詰めているので、日持ちするし、固めのゼリーになってしまうわけです。もちろん砂糖もたくさん入っています。
リキュールやジュースなんか使うと味もつけることができます。
州浜(すはま)
すはまは砂糖、きなこ、水飴を練って作ったお菓子です。
豆飴とも呼ばれています。きなこの風味のネチっとしたお菓子です。
緑のそら豆がすはまです。これは着色して作りましたが、うぐいす粉という青大豆から作ったきなこを使って作ることもあります。緑色したきなこです。
ちなみにきなこは大豆ですよ。
三色に色分けして丸めて爪楊枝に刺したすはま団子です。たぶん、この形がよく見かけるすはまかもしれません。
ちなみにですが関東には「すあま(素甘)」という名前の似たお菓子があるのですが、全く別物です。すあまは外郎のような感じのお菓子です。もっちりした食感の生菓子です。
いろんな形で表現できるすはまですが、このすはまは家紋の「州浜紋」からきていて、もとは形も州浜紋の形で作られていました。今はいろんな形で表現してもすはまと呼んでいます。
一口羊羹
一口羊羹は普通の羊羹よりも水飴を多く入れて乾燥させたお菓子です。
寒天、砂糖、こしあん(または白あん)、水飴を練り上げて作ります。羊羹よりも固めに練り上げて型抜きして乾燥させています。
あんまり見かけないかもしれませんが、昔の和菓子の分厚い高額な本があるんですけど、そこから見つけて作ってみたんです。
成形するため水飴を多く入れるので、くにっとした感じに仕上がり曲げたりして松を作ったりしてたみたいです。私は型抜きして使ってますが…。
寒氷(かんごおり)
寒氷は寒天、砂糖、水飴を煮詰めて作るお菓子でここまでは琥珀糖と同じですが、この琥珀糖の液体をぐるぐるとかき混ぜて固めたお菓子なんです。
かき混ぜると白濁してくるんです。
琥珀糖は静かに作るのに対してこちらはかき混ぜる。
ただあんまりかき混ぜすぎると固まらなかったりと難しいお菓子でもあります。タイミングが大事です。
もう一つの作り方として琥珀糖を作り、砂糖と水を沸騰させて冷める直前にかき混ぜると白濁した「すりみつ」と呼ばれるものを作り、これを少しずつ琥珀糖の液に入れていくというやり方です。
琥珀糖を混ぜて白濁させるより、白濁させたすりみつを後でいれて白くする方が失敗が少なくきれいに固まります。
私はこっちのやり方で作っています。
ちなみに洋菓子ではすりみつはフォンダンとも呼ばれています。
琥珀糖よりもこっちのほうがより甘いです。すりみつ足してますから。
雲平(うんぺい)
粉砂糖と寒梅粉を適量の水でこねて一晩寝かして薄くのばし型抜きして乾燥させたお菓子です。
工芸菓子と呼ばれる観賞用のお菓子にも使用されます。
薄くすると割れやすいですがパリっとした食感になり、少し厚めだとゆっくり口の中で溶かしながら食べるといった感じです。
工芸菓子では薄くできるので葉っぱや花びらなどで使用します。
これは菓子訓練校で卒業制作でみんなで作ったものです。
これは雲平で作ったものですが、ほかにも餡平やぬくめなどいろいろな素材を作って作品にしていきます。
かなり根気のいる作業だし、完成まで時間がかかるのでなかなか手は出せません。
お店によっては観賞用として飾ってあるところもありますよ!
かなり技術とセンスのいる工芸菓子ですが、私もお店に飾れるようになりたいです!
…なんて、作る工程を想像すると…はあ、余裕ないです(笑)
その他
ほかにも有平糖やカルメラ、雲錦とかいろいろありますが店ではやってないのでここまでとします。
たぶんもっと私も知らないお干菓子があると思います。
あんまりお干菓子自体も茶道されてる方くらいしか認識もないし少なくなってきています。
和菓子ってそれだけいろんな技法や製法があるんですよ。