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ジョエル&エリー フィギュア、夢を実現させた「幻のプレゼン用ラフ原型」を公開!

こんにちは桑原です。

豆魚雷がおくる「THE LAST OF US/ ジョエル&エリー 1/9スケール フィギュア」 https://mamegyorai.jp/net/main/item_detail/item_detail.aspx?item=597697

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見どころはズバリ、造形のレベルの高さ!
ということで、前回はその圧倒的な造形とその箇所の解説をさせて頂きました。

https://note.com/mamegyorai/n/n29b1f101cc89

前回が、「目に見えている情報を言語化したもの」であるならば、今回はプロジェクト始動から完成までの物語。メイキング的な目には見えてこない部分をご紹介していこうと思います!

◎フィギュア化権利獲得までの道のり

フィギュアを作って売る。

メーカーさんが日常的に行っていることではありますが、その裏には色んな人や会社が関わっています。そもそもの問題として、商業的にキャラクターのフィギュアを作るとなると、

「作ってもいいですよ」

という許可を、版元さんから頂かなくてはなりません。
「THE LAST OF US」は、これまでフィギュア化の許可を貰うハードルは高いと言われていたそうです。版元のSIEさんがOKでも、開発元のノーティードッグさんが首を縦に振らないといけないんだとか。

どうやってアプローチしたのか。

端的に申しますと、

「とりあえず作ってから見せてみる」

という、かなりリスキーな方法を取ったそうです。数カ月前に発表した『moon』の「透明の少年」の時と同じです。

原田プリスキン曰く、

「どういうポーズにするのかコンセプトスケッチを見せてって言われたんだけど、だったら立体で提出しちゃえって思ったんだよね。本気度も伝わるかなって思っちゃった」

もしそれでNGだったらどうするんだ?
そんなリスキーな方法を立て続けに...この会社ヤバでは?と節々で思います。

◎ラフの定義が揺らぐ、ラフ原型

早速ですが、その「ノーティドッグ」にプレゼンとして提出したラフ原型がこちら!

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エリーのライフルの先っぽはどこかに行ってしまったそうです。

しかし、そうか...これでラフなのか...。

この時点で全体の雰囲気というか空気感、オーラは既に出ていることがお分り頂けると思います。

このラフ原型を見たノーティードッグさんの反応は

「美しい」
「買えるの?」

と、大絶賛。

「売りたいんですけど」って相談したら、「買えるの?」って聞かれるの、最高のお返事でしかないですね。

前回のブログでも、表情が絶妙というお話をさせて頂きました。

先程お見せしたのはあくまでラフ原型なのですが、なんと、エリーの頭部はラフ原型からほぼ一発OK。

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【左:ラフ原型 右:完成一歩手前の仮出力原型】

エリーの頭部は2か月かけてモデリング。かなり長期間に思えますが、毎日一時間ずつ手をかけ、2か月かかっています。
大畠さんによると、

「エリーの顔はシーンによって印象が大きく変わる為、一日に長時間触ると何が正しいか分からなくなってしまう」

とのこと。
その為、毎日「エリーとは何か」をリセットしながら、一日に触る時間は一時間と決めて作ったそうです。

エリーが一発OKだった一方、ジョエルの頭部はノーティドッグによる修正指示が入りました。見比べてみましょう。

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【左:ラフ原型 右:完成一歩手前の仮出力原型】

???

...分からない!!

顔以外の細部が作り込まれたのは一目瞭然ですが、頭部はどう変わったのかが分からない...。この時点で分かった方は、かなりスゴイです。

結論から言いますと、輪郭(頬骨)と鼻の根元が変わっています。

ブログサムネ

【左:修正前 右:監修チェックを受けての修正後】

これだとちょっと分かりやすいでしょうか?
頬骨の形が変化し、鼻の根元がしっかりしたと思います。

まぁでも、僕自身説明されて、「あ~なるほど」って感じだったので、かなり分かりにくい変更だと思います。フィギュアを作るのって大変なんだなぁ...。

その他、ポージングや服のフィット感(後述します)なども変更があり、

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【左:ラフ原型 右:最終データからの仮出力原型】

ジョエルは、大きく胸を張っていましたが、スッとした立ち姿に。

こうして見比べると、変更後の方が手練れ感が出ているというか、凜とした雰囲気が漂っているようにも思えます。

そして、前述した服のフィット感。
僕個人としては、荒廃した世界観なので、「ダボっとした印象」というか、なんとなくルーズなイメージがあったんです。

しかし、ラスアスのキャラはその逆。

あらためてゲームをプレイすると、思った以上にタイトにピシッと着ていることが判明しました。

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【左:ラフ原型 右:最終原型】

ラフ版の方がダボッとしているというか、布が余っているフォルムなのがお分かり頂けると思います。

エリーの台座にあしらわれたランタンも、デザインが変わっていますね。

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【ジョエル、ラフ原型台座】

また、台座も方向性は同じですが、ディテールはかなり変わっています。

このように、既に完成度の高かったラフ原型を着実にブラッシュアップ。

そして、ノーティードッグの監修をクリアーし、皆様にお披露目したサンプルへと到達したのです。

◎造形作家 大畠雅人と『TLoU』の運命

こんな偉業を成し遂げたのは誰なのか。

弊社も大変お世話になっている、いや。今や多くのメーカーがお世話になっていると言っても過言ではない造形作家 大畠雅人さんによるものです。

カテゴリー/大畠雅人https://mamegyorai.jp/net/main/category_item_list/category_item_list.aspx?category=2565

大畠さんのファンの方々にはもはや説明不要だとは思いますが、大畠さん自身『THE LAST OF US』に大きく影響を受けており、

Amazing Artist Collection vol.7/ 大畠雅人: Survival:01 Killer
https://mamegyorai.jp/net/main/item_detail/item_detail.aspx?item=493014

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AACでも登場した、大畠さんのオリジナル作品群「Survival」シリーズからは『THE LAST OF US』を彷彿とさせる意匠を、そこかしこから感じ取ることが出来ます。

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(大畠さんの過去作を高円寺店にて展示予定!乞うご期待)

造形技術が卓越していることに加え、世界観を擁したオリジナルシリーズを作り上げる作家性の高さを併せ持つ、凄腕の造形作家さんであることがお分かり頂けると思います。

「豆魚雷のAmazing Artist Collection Vol.7/ 『Survival:01 Killer』 作者・大畠雅人さんロングインタビュー」http://mamegyorai.jugem.jp/?eid=3866

AACに参加して頂いた際のロングインタビューでも、『THE LAST OF US』について言及していた節があり、なんだか運命的というか、大きな流れみたいなものを感じますね。

好きだからこそ、生みの苦しみも大きいものだったことでしょう。

エリーの顔に2か月を要したというのも、それを代表するエピソードだと思います。

また、今回特設サイトも立ち上げ、

【THE LAST OF US × MAMEGYORAI 特設サイト】https://mamegyorai.jp/html/the-last-of-us/

大畠さんが製作にかけた情熱や思いを語るパートも掲載。

大畠ファンは勿論歓喜、ラスアスファンの方も

「こんな思いや経緯で作られているのか」

なんてことを感じて頂ける内容になっていると思いますので、ご覧になって頂けると嬉しいです!!

また進捗等ございましたらご紹介したいと思いますので、宜しくお願い致します!

∴桑原∴

P.S.

最近久しぶりにラスアスやって、キリンのシーンでグッときました。大ベタ。

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