【RIJF2024】ひたちなかで青春の忘れものを回収してきた
2024年9月23日
ROCK IN JAPAN FES. 2024 in Hitachinaka(以下RIJF)の最終日に行ってきました。
前日までの意気込みは↓こちら。
心配されていた雨は回避され、前日までに夏の空気が完全に入れ替わったひたちなか地方は爽やかな秋晴れでした。
8時開門の少し前、7時30分頃正面ゲート前に着いたのですが既にものすごい人。
結局15分前倒しして7時45分に開門。
正面ゲートからグラスめがけて何度も開門ダッシュしたあの道のりが早くも懐かしいけど、全く違うのはRIJFらしい装飾がゲート以外皆無ということ。
グラスのみ1ステージなのだから当然なのだけど、殺風景な湖まわりなどを遠目に見ると少しだけ寂しさも禁じ得ず。LuckyFesの時も同じ景色だった筈ですが、ここを通らない動線で入退場したので見ることができませんでした。
森の中をどんどん進み、橋を渡ると左手にAMEFURASSHIがLuckyFesで出演したステージの辺りが広がります。普段はパークゴルフ場でした。
観覧車の下で左折するとゴールはもう目の前。
遂に帰ってきた。
大草原を開放したLuckyFesの時も感慨深いものがありましたが、今回はそれとは全く違うものでした。
5年ぶりにRIJFが帰ってきた。
5年ぶりにグラスステージに帰ってきた。
おかえり。ただいま。
車に一旦荷物を置きに戻って帰ってきて、何はともあれハム焼きと思い五浦ハムの場所を探して(公式アプリに売店の場所は全部公開されてるので事前に確認しておくべき)右往左往してやっと並んだのが9時35分。
10時30分からのヤバイTシャツ屋さんに間に合えば、という淡い期待は簡単に潰えて、リハーサルも朝礼も本番開始も全部行列で聴き、結局購入できたのは10時45分。
並んだ甲斐あって今日も美味しゅうございました。あと5年ぶりに牛タン焼もいただいたのですがこちらも絶品。
ヤバTはももクロちゃんと親和性が高く打首獄門同好会とも仲良しなので勝手にシンパシーを感じてます。
朝一の空気を温めるには最適なポジションでした。やっぱり文句なしに面白くて、時々ほろっとさせる。
さあ、次はいよいよももいろクローバーZ。
先ほど車に戻る時にすれ違ったグッズ着用のお客さんの割合(正確には数えてないのであくまでもニュアンス)は
サザンオールスターズ 80%
ももクロ 15%
ヤバT、WANIMA 合わせて5%
緑黄色社会、Creepy Nuts、THE YELLOW MONKEY は極少数
(繰り返しますが、あくまでも個人の印象なので根拠はゼロです)
という感じで、明らかにいつものフェスとは勝手が違う。
それもそのはずで、サザンの最後の夏フェスを見届けようと数十万のチケット応募が殺到したとのこと。かえすがえすもよくチケット当選したものです。
まずは恒例のサウンドチェックから。
事前のkwkm氏ポストからダウンタウンももクロバンド(以下DMB)が参加すると告知されていたのでこの時点で勝ちは確定しました。
ホーンセクション、コーラス無しの最小編成ながら、ギターにはマーティ・フリードマン氏が参加し、盤石の構え。フェスでマーティさんが参加すると「えっ、なんでマーティいるの?」とロックファンを困惑させるのが定番の光景になってます。
ドラムが初参加の方でこの時は分からなかったのですが後でびっくりします。
音出しは大抵セトリに入らない曲をさらっと演奏しますが、今日は「サラバ、愛しき悲しみたちよ」。サラバはフェスでの大定番なのでここで流れるのは意外です。
そしてももクロちゃん本人たちのマイクチェック。4人とも絶好調そうでよかった。4人のアカペラで「走れ!」。サビをさらっと歌って少し経ってからDMBが演奏します。RIJFひたちなかでは毎年演ってきた走れ!がスタメン落ちしてしまうのはかなり残念ですが、走れ!を外してまで繰り出す弾に期待が高まります。
あっという間にインターバルの時間が終わって(少し押してた様子)公式出囃子の映像が流れてももクロの時間です。
15周年で制作した映像とともにOvertureがひたちなかの青空に響きます。Overtureで一気にアクセル全開まで踏み込んだところでももクロちゃん登場。さあ1曲目は。
M-1 労働讃歌
ももクロちゃん、本気で倒しに来てる。
それならその心意気に応えるしかない。
月曜日だから働け!ということですね、わかりました。
魂を込めたワンコーラスが終わるとすぐ、次の曲に。えっ、これってもしや、メドレー?
と思う間もなく、あのリフが響きます。
M-2 サラバ、愛しき悲しみたちよ
参った。ここでメドレーという奥の手を使うか。ももクロはそもそもライブでメドレーをほとんど演ってこなくて、記憶にあるだけでも10周年の東京ドームと15周年代々木体育館とその後のツアーの時ぐらいかと。
フル尺にこだわる姿勢には深く感銘を受けてきたのですが、反面フェスの限られた時間でメドレーで次々に大技を繰り出すのは有効な戦術だということを、かつて氣志團万博で田原俊彦さんから教えていただいたのを思い出しました。
メドレーのアレンジは長年ももクロを支え、ももクロの楽曲を熟知したDMB音楽監督兼キーボードの宗本康兵氏によるものなので、繋ぎは完璧で絶妙。なおこの日はコアラモード.の小幡康裕氏とキーボード2本、ドームライブ並の盤石の体制でした。
やっぱりサラバを外すわけにはいかない。個人的には紅白初出場で初めてももクロを認識した始まりの曲。
M-3 DNA狂詩曲
DNAも鉄板のキラーチューン。つよつよな歌詞にぐいぐい来るメロディ。これも絶妙な繋ぎでした。
M-4 ココ⭐︎ナツ
はいはい夏フェスといえばお待たせしましたココ⭐︎ナツですよ。前方は指定エリアなのでサークルは出来ないけど後方はどうだったかな?ももクロちゃんは楽しそうに逆回転してたから大正解です。
ここで一旦小休止。マーティの超絶ギターソロでお楽しみください。
M-5 泣いてもいいんだよ
中島みゆきさん作詞作曲による2014年のシングル。最近は単独でもほとんど演ってないのでかなりレア。
もしかして初めて聴くモノノフも多かったのかも。
国立競技場での初披露から随分長い時間が経ちました。あの日も国立ゴール裏の壁みたいなスタンドに寒風が容赦なく吹きつけていた。
ここに泣いてもを入れてくるとは相応の意図があるはずなんですがまだ分かってません(もう解読済み?)
M-6 笑一笑
泣いてもからの笑一笑。考えた人天才だわ。
リリース前後が全国ツアー中であーりん先生による振付講座が行われたので、モノノフはみんなで踊れる楽しい曲です。
M-7 ニッポン笑顔百景
やっぱ夏空には扇子がよく似合う。扇子持ってなかったのでれにちゃんのうちわを控えめに振り回してました(厄介)。
前方エリアの猛者たちがおもむろに扇子を出す様子を見た非ノフがびっくりしたそうです。そりゃ驚くわ。
M-8 Chai Maxx
いや待て待て待て、ロッキンでチャイマですと?
最終兵器を惜しげもなく投入してきてくれる。熱すぎるぜももクロさん。
M-9 MONONOFU NIPPON
昨年リリースの愛称「ぽぽん」。キワモノっぽく見られがちな曲ですが深いところも併せ持っています。
『さあ戦え我々よ ニッポンのモノノフよ』
という百田夏菜子さんの歌声にいつも勇気を貰っています。モノノフとはももクロのファンネームであると同時に、ももクロもモノノフなのだというメタな暗示を歌うこの歌詞が大好きなのですが、それをグラスステージで高らかに宣言してくれて感無量でした。本当にありがとう。
音源では布袋寅泰さんが参加してますが、今日はそこにマーティが入るというわけわからん豪華さ。
メドレーはここで終わり、自己紹介のMC。
年齢を言うのか言わないのか(メンバー内で)物議を醸していますが今回はちゃんと年齢を言うことにしたようで、【高城れに31歳】に会場がどよめきます。
M-10 レナセールセレナーデ
Mrs. GREEN APPLEの大森元貴さんが手がけた最新シングル。ライブでは初めて聴きますが、この曲を演奏してしまうDMBやっぱりすごいわ。
M-11 MOON PRIDE
直前のイナズマロックフェスでも演ったと聞いてましたが、セーラームーンの知名度と浸透度はフェスでとても強い武器ですね。助かります!
M-12 BLAST!
しばらくご無沙汰だったけど15周年を機に再評価されたようで、ここのところ頻繁にライブで聴けるのがとても嬉しいです。
サビは腕をぐるぐる回す象徴的な振付で始まるのですが、いかんせん振りコピするのは難しい。そこで思い切ってタオル回しに切り替えてしまった発想の転換がとんでもなく上手くて素晴らしいです。でも本来の振付も無くさず生かしてほしいなあ。
M-13 行くぜっ!怪盗少女
いろいろ意見はあるものの、知名度ダントツな怪盗をフェスの締めに持ってくのはベタながら大正解と思いました。
間奏でコールアンドレスポンスを入れてくるのもコロナ後から定着してきて、夏菜子ちゃんがえび反りを飛ばなくても納得いく仕掛けなのでしょう(意見には個人差があります)。
怒涛の45分があっという間に終わり、ずっと気になってたドラムの人は結局お名前を聞き取れず仕舞いに。
後でSNS経由で分かったのですが、なんと仄雲さんでした。
YOASOBIバンドでドラム担当の仄雲さんが何故ももクロに?と思うかたも少なくないでしょう。YOASOBIバンドからはもう1人、ベースのやまもとひかるさんが今回のDMBに参加しています。やまもとひかるさんは坂崎幸之助さんとももクロの番組「お台場フォーク村(フジテレビNEXT)」に呼ばれたことがプロデビューのきっかけで、そこからフェスを中心にDMBにも参加して現在に至ります。
今では「YOASOBIの超絶カッコかわいいベーシスト」としてすっかり有名になってしまったやまもとひかるさんですが、プロキャリアの原点としてももクロとの繋がりを続けていて、そこから今回の仄雲さんに繋がったのだと思います。
グラス1ステのみの今回のRIJFはタイテ上の転換時間が25分ぐらいしか設定されておらず、インターバルの飲食調達はかなり厳しかったです。加えて、5万人の観客がグラスだけにいるので、飲食ブースはどこに行っても大混雑。
ということもあって、ももクロの余韻で少しぼーっとしてから飲食に出かけ、行列に並んでるうちに次のアーティストが始まってしまうという情けない事態に。ヤバTの時の経験が全く活かされてないですね。
緑黄色社会は2年ぐらい前のMTV VMAJで拝見して以来。
学校の人気者たちがそのままバンドデビューしました、という仲の良さや勢いがずっと継続してるのが本当にすごいと改めて思いました。
さすがに次のインターバルはやらかすまいと肝に銘じ、Creepy Nutsを待ちます。
Creepy Nutsはももクロとの親交がまあまあ長く、ももクロの年越しイベント「ももいろ歌合戦」にも出場してくれてます。ここ数年の彼らの快進撃は本当に凄くて、Bling-Bang-Bang-Bornの大ブレイクですっかり老若男女に知れ渡りました。観客のお目当てもBBBBだったようで、サビでグラス全員が跳ぶ光景は圧巻でした。
それにしてもR-指定さんはほんとに上手い。ラップだけじゃなくてトークもめちゃくちゃ冴えてる。「俺の口先と松永の指先だけで世の中渡ってきた」という言葉は伊達じゃない。
そして松永さん、久しぶりに見たけどなんか垢抜けてましたね。ブレイクするってこういうことか…
いよいよラインナップの半分が終わり、太陽が西に傾くころ登場したWANIMA。
こんなにメジャーなバンドながらきちんと拝見したことがなく、見た目に反してめちゃくちゃ律儀で誠実なMCに感心しました。
THE YELLOW MONKEYも事実上の初見でした。
めちゃくちゃかっこよくて渋いおっちゃんたち。年代も近く、何故ここまで全く接点がなかったのかと思ったら、ちょうど個人的にバンドへの指向が外れてた時期に一世を風靡していたようです。それでも有名な曲はちゃんと記憶に残ってて、こうして楽曲は生き続けるのかと思いました。
解散、再結成、病魔に阻まれ、と波瀾万丈のバンド人生の先に今日があるとのこと。何がどうなるかわからないのが人生とは言え、それでも歌い続ける彼らに込められた想いの強さが溢れている。
さあ、いよいよ。
その時がやってくる。
人生の大半を共にありながら微妙な距離感を保って、しかし思い入れも年月の分だけ積み重なったバンドに会う時がくる。
サウンドチェックが終わり、日中は注意事項などを繰り返していた幕間のビジョンがRIJFのメインロゴだけリピートするように。
NEXT ARTISTのサウンドロゴが流れ、待ちわびた文字列が浮かび上がる。
サザンオールスターズ、最後の夏フェス。
メンバーがステージに上がる。
桑田さん、ほんとに実在するんだ…!
セットリストはこちら
M-1 女呼んでブギ
M-2 ジャンヌ・ダルクによろしく
M-3 My Foreplay Music
M-4 海
M-5 神の島遥か国
M-6 栄光の男
M-7 愛の言霊(ことだま) ~Spiritual Message~
M-8 いとしのエリー
M-9 思い過ごしも恋のうち
M-10 東京VICTORY
M-11 真夏の果実
M-12 恋のブギウギナイト
M-13 LOVE AFFAIR~秘密のデート~
M-14 マチルダBABY
M-15 ミス・ブランニュー・デイ (MISS BRAND-NEW DAY)
M-16 みんなのうた
M-17 マンピーのG⭐︎SPOT
EN-1 希望の轍
EN-2 勝手にシンドバッド
持ち時間100分と事前にアナウンスされてたけど、あっという間で、それでいて永遠のような時間でした。
フェス直前のラジオ「桑田佳祐のやさしい夜遊び」で1曲目は「現代のコンプラ的には世に出すことができない曲」と予告されてました。女呼んでブギも頭によぎったんですが何故か候補からは外してたら1周まわって来ました。
確かにコンプラ的にテレビでは演りにくそう。敢えてこの曲を1曲目にしたメッセージを考える。
続いて今年の新曲からジャンヌダルクによろしく。音源では好きになる曲なのかそうでもないのか正直ピンと来なかったけど、ライブで聴いたら俄然好きなほうにランクインしてしまう不思議な魅力の曲でした。
My Foreplay Musicはやさしい夜遊びでリクエストに応えてオンエアされた曲で、これは…?と思ったら案の定でした。原坊のキーボードに痺れる。
M-4からM-6は初見。と思ったら海は手持ちのBALLAD 2に入ってたから聴いてたはずなのに。迂闊でした。
ここまでで一旦インターバル。続いての愛の言霊から、畳みかけるようにお馴染みの曲が続きます。愛の言霊はめちゃくちゃ聴いてたのに歌詞を全然読んでなかったので、やっと本当の良さがわかった気がしました。
いとしのエリーのコーラスのイントロが流れると、悲鳴のような溜息が思いがけず漏れていました。夏の終わりの空の下で切なくて優しい歌声が心に沁みます。
思い過ごしも恋のうちも聴きまくってたのに手持ちの音源には入ってなくて、でもちゃんと覚えててサビの早口もちゃんと口ずさめる自分にびっくり。ほんとに好きな曲だったことを思い出させてくれてありがとう。
コールアンドレスポンスの煽りがあの曲っぽいなぁと思ってたら、やっぱり東京VICTORYでした。ほんとは桑田さんの主旋律じゃなく裏のコーラスが観客側らしいのですが、ばりばり主旋律歌ってました。そこは勘弁してください…
友よ forever young. 今までさらっと流して聴いてたけど、こんなに響く歌詞だと思わなかった。
稲村ジェーンにの束縛から逃れられないおじさんなので真夏の果実には落涙を禁じ得ません。いとしのエリーに続き、夏の終わりのこの夜空の下で聴くために生きてきたのかもしれない。
あまりにもしんみりし過ぎて、このままライブ終わりでも良いかな(よくない)と一瞬思ったのも束の間、最新曲恋のブギウギナイトで一気に猥雑なサザンに引き戻されます。この振れ幅の大きさ。最高です。ダンサーさんめちゃくちゃ多くて圧巻でしたね。
LOVE AFFAIRも(歌詞の内容は置いといて)雰囲気で好きなほうの曲でした。やはりライブで聴くとさらに良くなるものです。
続くマチルダBABYはタイトルだけ知ってる初見。ビジョンの世界観も相まってカッコよかった。
ちょっとゴリゴリしたインタールードから、イントロ界のレジェンド級大物(伝われ)のイントロが流れます。ミス・ブランニュー・デイのイントロはほんとに凄くて、キーボードにギターが被さるところは何度聴いても唸ります。
ノリノリで楽しみながら、ふと「ああもう残された時間は僅かしかないのか」などと我にかえって切ない気持ちになってしまうのもライブならではです。
しんみりしたイントロが流れて、アドリブが始まります。(以下SNSより)
ロッキンジャパン みなさん ありがとう
夏フェスは暑すぎて じいさんばあさんは グッバイ
行かないでサザン 泣かないで渋谷さん
緑黄色社会の皆さん これからのロッキンをよろしく頼みます
ヤバTもよろしくね
なんとも粋な後輩へのエール。
いきなりバトン渡されたリョクシャカとヤバTの皆さんもびっくりしたと思いますが。
アドリブの終わり頃に放水銃がスタンバイされ、さあ来ました!
みんなのうた、こんな寒いぐらいの天候でもお構いなく放水するの、ぶっ飛んでてすばらしい。
水は全く来ないエリアでしたが、何度も動画で見てたあのシーンが目の前で繰り広げられるのは圧巻でした。
みんなほんとに楽しそう。
放水は1コーラスで終わって後半は普通に歌唱してましたが、間奏のあと
「きみの体 また濡れる」
と替え歌して再び放水。この流れ最高でしたね。
本編最後はマンピーのG⭐︎SPOT。これもまたコンプラ的にグレーゾーンを深くえぐる被り物とビジョン演出つきで、サザンの真髄をこれでもかと見せつけられた思いです。これが見たかったんです。
本編終わり、オーラスだから当然アンコール有りと踏んでクラップの催促は止みません。スマートフォンのライトを灯すのも誰が促したわけでもなく始まって、めちゃくちゃ綺麗でした。
少し長いかな?と思った頃にメンバー再登壇。
ん?桑田さん着替えた?なんかシンプルなTシャツに筆記体のロゴ。とてもよく見覚えがあるんですが!?
えっ?
ちょっとまって。
どういうこと!?
桑田さん、ももクロのTシャツ着てる!?
混乱と歓喜に感情が追いつきません。
桑田さんが着替えてきたのはももクロがフェスグッズとして新発売したTシャツでした。
ももクロは以前から、共演者の皆さんへのライブグッズ差し入れが恒例になってたので、恐らく今回もその流れでTシャツを差し入れたのでしょう。
いや、それはそうとしてですよ。
それを何故、夏フェス最後のアンコールで着てくれてるの桑田さん?
ちょっとよくわからないんですが。
【補足:桑田さんはひたちなかに向かう車中からももクロのTシャツが欲しくて、着いたら買おうと思ったら(買うですと!?)売り切れててがっかりしてたらももクロのスタッフからもらってウキウキで着て出たそうです】
混乱してるうちにアンコールのイントロが。
34年間待ち焦がれていた、あのピアノの旋律が。
希望の轍のイントロが。
遂に始まります。
頭からシンガロングしたい気持ちをぐっと堪えて、サビだけは歌ってみたのですが既に喉が完全に終わってて声にならない。
いや、喉が気持ちに追いつかなかったのかもしれない。
希望の轍を聴きながら見た、数えきれない景色。
希望の轍を一緒に聴いた、もう会えない人たち。
希望の轍に背中を押された、やるせない日。
あの日々があるから今ここにいる。
希望の轍が今ここまで連れてきてくれた。
ありがとう。
本当にありがとう。
ありがとうという言葉では全然足りないけど、ありがとうという他ない。
34年分の忘れものに出会うことができました。
いよいよ本当に最後の最後。
今日やってない曲どれが来ても優勝は既に確定してますが、始まりの曲がやはり相応しかったです。
勝手にシンドバッド。
砂まじりの茅ヶ崎をひたちなかに替え歌して会場は更にヒートアップ。サンバ隊が賑々しくステージを彩ります。
もしかしてあのダンサーの中にももクロの皆さんがしれっと混ざってない?と凝視しましたが、そういうケレン味は無用でした。
何故なら、今日の出演者全員がステージに呼ばれるという趣向があったから。
恐らくRIJFでは初めてではないかと言われているオーラス全員集合。ももクロちゃんもサザンのTシャツを着こなして、ニッポン笑顔百景で使った扇子を持って安定の賑やかしです。こういう風景は今まで何度も見てきたけど、これだけの錚々たるメンバーの中に入れてもらえることは光栄の極みです。
桑田さんは各アーティストの名前を呼びながら、時にはマイクを差し出します。「Creepy Nuts!」という響きがお気に召したのか、やたらと連呼してたのが面白かったです。ももクロは「クローバーZ」とか「ももクロ」とか呼び方が定まらないのも、らしくて良かったです。
大団円の中演奏が終わり、遂に最後の時を迎えます。
後輩たちに囲まれた桑田さんが、まずイエモンの吉井さんにコメントを促します。
そして「それでは玉井詩織さんに締めてもらいましょう」。
はっ!?
いまなんとおっしゃいました?
玉井詩織さん?
ももクロの玉井さんじゃなくて、ストレートに「玉井詩織さん」と?
(オーラスのステージで桑田さんから名前をフルネームで呼ばれたのは詩織ちゃんだけだったのでは…)
締めのコメントを振られてしまった詩織ちゃん、今まで見たことないような狼狽ぶりで、うっすら涙ぐんでさえいます。
詩織「桑田さんのおかげで、しおりになりました!」
このステージで、名付け親とも言うべき桑田さんに感謝の言葉を伝えられてよかった。
促してくれた桑田さん、本当にありがとうございます。
コメントの後、迎えるメンバーも心から嬉しそうで、もらい泣きしそうになりました。
大箱で象徴的なコメントをするのは概ね夏菜子ちゃん、たまにスマッシュヒットを繰り出すれにちゃん、というのが定型で、詩織ちゃんが前面に立つこと自体とても稀なのです。TVの企画で訪れた去年の茅ヶ崎ライブで名前の由来を含めご挨拶済みでしたが、そこから今日のステージに繋がることを誰が予想していたでしょうか。
そういえば詩織ちゃん、茅ヶ崎で桑田さんから貰った野球帽をちゃんとかぶってました。そういうとこも当たり前のように見えて、なかなか出来ることじゃない。
桑田さんは最後の挨拶で「一旦夏フェスは卒業しますが、若く素晴らしいアーティストたちに頑張ってもらって、素晴らしいフェスであり続けることを信じている」と後輩たちへ託す言葉をかけてくれました。
最上級のエールを贈られて、ももクロちゃんが16年間こつこつと積み重ねてきたものが間違いじゃなかったと改めて気づく瞬間でした。
この場に立たせてもらうことだけでも光栄なのに、グッズのTシャツを身につけてもらい(あえて言葉には一切出さなかったのも粋な計らい)、フルネームでご指名までもらって。
ももクロに出会う前、いや、ももクロがこの世に存在するずっと前からの自分の時間軸とももクロが交錯する瞬間に、また立ち会うことができました。
自分が経験したたくさんの時間軸をももクロが収束していく奇跡。これからもきっと、ずっと。
次回のひたちなかは5年後、RIJF30周年とひたちなか市制30周年に開催を目指すとアナウンスがありました。
サザンから託された思いをももクロとモノノフが枯らさず受け継いで、5年後またあの大草原で会えますように。