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次世代人材育成の「豆本」

2021年に発刊した豆本第3弾「山口県パン豆本」(5,000部完売)の学生記者たちの頑張りは今も心に残る。県内各地の美味いパンを求めて、取材に出掛けた。

私が山口県周南市のタウンマネージャーを務めたご縁で、山口県立徳山商工高等学校と徳山大学(現・周南公立大学)の学生有志とつながり、その青年たちが豆本取材に参加してくれた。

その中の1人に、当時高校生だった中村朱里さんがいた。現在は広島市・穴吹デザイン専門学校2年生。先日の広島営業の折、再会でき、広島お好み焼を食べながら、しばしお話できた。

彼女が最新号「山口市カフェ&カレー豆本」(第7弾)の表紙デザインを手掛けた。ボランティアではなく、〝お仕事〟として依頼した。

中村朱里デザイナーの制作意図ページ

どんどん繰り出される彼女のデザインを見て、素晴らしい感性だと感じる。「わずか2年でここまで成長するのか」。

デザインの世界に年齢や経験は関係なく、〝光る人は光る〟と思うのだが、今回はまさにそれだった。

まだ若い彼女の起用に対し、豆本デザイナーの2人は快諾してくれ、彼女のよき相談役にもなってくれた。

最近よくいわれることがある。豆本プロジェクトを理解してくれる仲間たちが「豆本は次世代人材育成を実践している」と評してくれる。素直にうれしい。

私は、学生のみずみずしい感性や世の中の仕組みをまだよく分からないからこそ、感動を呼ぶ文章や斬新な写真を生みだせると信じる。型にはまっていない。

雑誌の世界でも、プロと呼ばれる人々は確かに安定した仕事ぶりだ。早いし正確。安心感もある。

ただ、これまで努力して培った経験は、ややもすると、マンネリ化に陥る。私がそう。取材する前から「こう書く、こう撮る」と決めすぎる悪癖がついつい顔を出す。

新聞社には〝予定稿〟というものがあり、世を揺るがす注目の裁判などは、司法担当記者が表(勝訴)と裏(敗訴)の両記事を事前に書く。結果はほぼピタリ。現場の取材に行かなくても、記事を書き込める能力を備えている。

それはすごいこと。

ただ、決めすぎる。

市民目線というのか。「大切な何か」を見失っているのでは、とよく自問し、もがき苦しむ。

社会に出る前の豆本記者たちにはそれがない。

そこが魅力なのだろう。

次の豆本の表示デザインも中村朱里さんに既に依頼した。仮デザインは早々に上がってきた。

表紙デザイン案


「豆本」のおかげで、若い世代と出会える。

取材の世界で飯を食ってきた私が、一番やりたかったことは「人材育成」だったのか。そうなのかとようやく理解できる。

今もって、自分のことは自分自身が一番よく分からないのだが。

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