55歳の私が若者たちに何を伝えられるのか(24)「大人への視線」
イラストを描けます。
イラストを書くのが好き。
初めて会い、言葉を交わした2人の大学生がほぼ同時に私に応えてくれた。
ここまではっきりとアピールしてくれると、心鈍い私でも即動ける。
「書いてみて」
私のグルメ豆本(雑誌)は高校生や大学生が記者を務めるのだが、誌面に顔出しすることが嫌な人が必ずいる。北九州の若松商業高校の生徒もそうだった。
それはそれでよい
プロのモデルさんではなく、素人の感性を発揮して楽しみながら創るまちづくり雑誌なのだから。無理強いはいけない。
長く続いたコロナ禍で思春期を過ごした年代だけに、人前でのマスク着用はこれからも必須なのかもしれない。
そういった友達のためにその2人は似顔絵を描く。本当に心優しい。
1人は「派手にデフォルメしていいですか?」。
もちろん、OKだ。
その絵はまだ見ぬが、あなたが書いたままを誌面に載せよう。
プレ取材会の3日後、1人の方から〝作品〟が送られてきた。
「取材の時のみんなの似顔絵描いてみました」
見てみて、心から良いと私は感じた。
感受性も発想も豊かだが、人の目に過敏で壊れやすく、期限を決めて実行に移すのがまだ苦手な二十歳前後の若者たち。
「私はリーダーではありません」
とLINEで言われたこともある。
55歳の私が若者たちに何を伝えられるのかではなく、すでに、多くのことを教わっている。
一度信頼を失うと、なかなか取り戻せない
若者たちは日々接する大人の言動や言葉の信憑性を常に取材している。瞬時に、大人としての価値を値踏みすることもある。