天がわたしにくれたもの③~父と登った筑波山~
今朝は夜明けの2時に目覚ましをセットし、3時過ぎには家を出発。(前日は23時過ぎに就寝したため、3時間睡眠。)
そう、わたしは今日、来月に結婚するパートナーとともに、地元茨城県にある日本百名山の一つである「筑波山」へ登りに行った。
きっかけは、パートナーの何気ないひとこと。
「今年最後に、二人で乗り越えたっていう思い出を作りに、筑波山に登らない?
この前仕事で筑波山のふもとへ行ったらすごくきれいだったからさ。」
「なんて粋なことを言うじゃないか!」
わたしはパートナーの言葉を聞いてそう思い、即OKの返事をした。
なぜなら、わたしは「筑波山」と聞いて父のことを思い出したからだ。
今年亡くなった父は、私たち子供がまだ小さいころ、よく筑波山に連れて行ってくれた。
わたしがまだ2歳だったころ。わたしをおぶって筑波山を登っていた父は、足を滑らせたのか転んでしまい、そのときわたしがカエルみたいに「ふぎゃっ」と声を出してつぶれちゃったんだよ。といつも笑いながら私たちに聞かせていた。
それが、家族みんなで筑波山に登る前の鉄板ネタであった。
父と筑波山に登った最後の記録は小学校4~5年生の頃で、まだ日の出ていない暗い中を音楽を聴きながら歩いたな(その当時はCDプレーヤーをリュックに忍ばせ、わたしの中でブームだったORANGERANGEを聴いていたような。)とか、保育園生の頃は筑波山の山頂で温かいポタージュスープを飲んだな、とか。
そんな父との記憶を思い出しながら、わたしは黙々と登り始めた。
なにも、音がない。
こんなにも静かな、無音の世界があるのかと思うくらい静かで、自分の息づかいと心臓のドクドクという音だけが体から伝わってきた。
登る前に見た「イノシシに遭遇したら目を合わせずに…」の張り紙のせいで、イノシシが襲ってきたらどうしよう。とハラハラドキドキしながら、一歩一歩進んでいく。
約2時間かけて登り切った山頂の景色は言うまでもなく、最高だった。
「父さん、筑波山にパートナーと登りに来たよ」
「来月、この人と結婚するよ」
「わたし、頑張るから天国から見ていてね」
そんなことを心の中で思った。
「がんばれよ」
そう、父から言われたような気がした。
父さんがわたしに残してくれた思い出は、わたしの心の中でずっと生き続ける。
そして、父が私たち子供に与えてくれた優しさを、自分の未来の子供にも手渡していこう。
そうやって、脈々と想いは繋がっていくんだ・・・。
父さん。こんな大切な想いに気づかせてくれてありがとう。
また、筑波山に登りに行くからね。