井岡弘樹との思い出
高校1年生の時、当時大ファンだったプロボクサー、井岡弘樹の試合を見に行った。
タイトルマッチとかではなくて、3階級制覇をかけた世界戦で、セーン・ソープルンチットに敗北を喫した後の復帰戦。
当時はインターネットなんて無かったから、チケットは直接、井岡の所属するグリーンツダジムに電話をかけて取るのだけど、電話に出てくれたおっちゃん(たぶん、津田会長)にB席1枚お願いしたら、B席の値段でA席のチケットを用意してくれた(子供がお小遣いはたいてチケット買うのがいじらしかったのだろうか)。
会場が北九州だったのだけど、九州の人間であれば、そこが修羅の国であることは誰もが知っていて、カツアゲされたりするんかな…とか思いながら新幹線で向かった。
絶対に花束を渡すって決めていたから、会場の最寄り駅に着いたらまず花屋を探すのだけど、どこにもない。街中を走り回って探してたら、「花」の文字が書かれた看板が目に入って、(あった!)って思って近づいたら花屋じゃなくて、すし花館だった。マジでこんなボケは要らんと思った。
その後、無事に花屋で花束を買って会場に行くのだけど、さすが2階級制覇のボクサー、地方の会場でもお客さんは沢山入ってるし、A席はかなりリングに近いし(津田会長ありがとう!)、ワクワクした気持ちで試合を見た。復帰戦なので、もちろん井岡の快勝。
で、ここからが本番!花束を渡して、あわよくば写真を撮らせてもらうため、控室に向かう。
ドアには「関係者以外立ち入り禁止」って張り紙されてたけど、そんなの関係無くって、ドア開けて中に入ったら、関係者とかマスコミの人が沢山いて、井岡の親友の薬師寺保栄も来てた。
カメラマンの人たちに混じって、井岡と薬師寺のツーショットちゃっかり撮影し、人をかき分けて、井岡の前に行って、「お疲れさまでした!」って花束を渡したら、受け取ってくれた!
井岡は受け取った花束に少しの間、目を落として、そして大事そうに抱えながら私の目を見て「ありがとう」ってすごく優しく言ってくれて、もうメチャクチャ嬉しくて、勢いで「写真取らせてください!」って写ルンですを取り出したら、「待って!」って止められてしまい、(そりゃそうだよね…調子に乗りすぎた…)って思ったら、「一緒に写ろう」っ言ってくれて、スタッフにお願いしてツーショット写真を撮ってくれたんだよ。
本当に、本当に嬉しくて、お礼言って控室出て、トイレの個室に入ってわんわん泣いたよ。
今でも一つひとつを覚えていて、脳裏に焼き付くってこういうことを言うんだろうと思う。有名人がファンに対して、ということだけでなく、大人が子供に対して誠実に向き合うことが如何に大切か、ということがよくわかる出来事。私の子供時代の最良の思い出。