2歳男児 お友達に体当りしてしまう/Neo発達外来 #003
発達専門の小児科医ママ友ドクター®にしむらゆみがこれまで担当してきたオンライン子育て相談の内容を匿名化し、ママたちに話しかけるような形で解決策や成功エピソードを紹介していきます。
Q.体当たりすることを愛情表現だと捉えている子に、どう教えたら良いでしょうか?
A. このお子さんはこれまでもご家族に対してもドーンと体当たりをしていたそうです。その際、ご家族も(体がよろけて危ないのもあり)ギュッと抱きしめ返してきたそうです。すると、その経験から「体当たりすることは愛情表現」だと学習してしまい、保育園のお友達にも体当たりをしたのだと考えられます。
傍から見ていたら暴力的に見えるこの行動。うまく教えてあげないと、今後もたくさん出てくると思います。こういったこと(誤学習)は、実はどのお子さんにおいても起こりえます。
親からすると「なんでそんなことするのかしら?」「なんでこんなに乱暴なのかしら?」と問題行動、困ったな…と感じてしまいます。しかし多くの場合、子どもに悪気はありません。
悪気のない(と思われる)困った行動に対しては、
・話せる子なら、子ども本人から話をよく聞くこと(責め口調にならないように…)
・行動が起きた状況を第三者に確認、あるいは観察してみること
が、大切です。
すぐに注意するのではなく、子どもの話を聞き、あるいは周囲にいた大人から状況を確認し、または良〜く子どもの行動を観察すること。
すると、「これを誤解しているな」とか「なるほと、加減が分からないだけなんだな」といった原因が見えてきます。
園に通っているため、なかなかその場面(ドーンとしてしまう場面)に立ち会えない場合は、何よりまず家族にドーンとしてくるときに、ギュッと抱きしめ返さず代替案(正しい愛情表現。たとえば手をつなぐ…とか。好きだよ、と口に出すなど。)を、否定的にならないように教えていくことが不可欠です。お家で教えると園でもすぐ出来たりします!
なお、こういう冷静な分析を意識しなかった場合、例えば今回のお子さんのエピソードのようにお友達に一方的にぶつかったシーンを見たとき、大人はどういう行動にでるでしょう?
「なんでぶつかったの?!ダメでしょう!」と強い口調で注意をしてしまう、と思います。すると、どうなるでしょう。
お子さんにとっての体当たりは愛情表現や感謝の気持ち、あるいは照れ隠しという意図だったのに、一方的に大人に怒られると自分の気持ちを否定されたような気持ちになります。話がうまく出来ないお子さんならなおのこと。きっと注意してきたママや先生に対して「どうしてわかってくれないの?!」と激しく怒ってしまいます。その怒ってる姿を見てママもますます怒ってしまうと、悪循環になってしまいますよね。
もちろん本当に危険な行為は、その場でしっかりと“注意する”必要がありますが、
「なんでそんなことするの!?怒怒ヽ(`Д´)ノ」ではなく、
「どうしてぶつかっちゃったのかな?」という視点を常に持って、冷静に本人の話をしっかり聞いたり、状況観察を充分にして、第三者の目で観察して介入していきましょう。
注意するときは淡々と冷静にを心がけて。感情を込めてしまうと、「叱る」ではなく「怒る」という、子供の成長のためには逆効果の注意方法になります。
そして、注意と同時に、やってほしいこと=代替案を提示してください。
「そっか、一緒に遊びたかったのね。でもぶつかるのは良くないよ、転ぶからね。トントンと肩をたたいて「遊ぼう」と声かけてみようか」
このとき、つい日本の習慣もあり、謝らせることを子供に強要してしまいますが、状況の理解ができないうちにゴメンネを教え込むと、のちのちうまく行かないことも。
お子さんの発達段階や言語力に応じて声がけは微調整していきます…んん、難しいですね(☉。☉)個別対応が必要とはそう言うことなんですね!
続く…
ママ友ドクター®にしむらゆみ
小児科専門医・子どものこころ専門医
子育てと療育の専門家
乳幼児メディアアドバイザー
KidsDevelopReach代表
子ども発達相談アカデミーVARY主宰
子ども発達相談アカデミーVARY(西村佑美事務局公式LINE)
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