37才になったし、魔女でも目指すか。
「ママはおおきくなったらなにになりたいの?」
37才の誕生日、子供達がスポンジをデコレーションして作ったケーキを食べていると、年少クラスに進級した娘が、あどけなく問いかけてくる。
私はいつも、この問いに戸惑い、ごまかすようにおどけて、「魔女になる」と答える。
大きな窯をぐらぐらと煮立たせて、いっひっひ!と言っているあれだ。
あるいは黒猫を箒に乗せて雨の中ニシンパイを届けるあの子かもしれない。
もうそんな瑞々しい時期は過ぎてしまい、「大きくなったら」の結果の方にいるわけだけれど、40代への入り口を目の当たりにして、立ち尽くすことがある。
本当に、私はこのままでいいのだろうか?
現在、中小企業の営業事務としてパートタイムで勤務している。何度か転職・転居を繰り返し、現在の職場は人間関係が落ち着いていて、収入的にも安定しているのでおおむね満足。
でも、このまま定年まで働くのか疑問ではある。
家族は、夫と小学2年生の娘、年少の娘の4人暮らし。
夫は家事も育児も私より上手にやる人で、時に気持ちが落ち込んでいると「私がいなくてもこの家は大丈夫。消えたい。」と思うほど。
娘たちはすこぶる健康で、学校や園での面談に行っても相談することが無いくらい、頑張っている。
夫も私も飛行機の距離に実家があり、年に1回会えるかどうかの家族と会うのを楽しみにしている。みんな、暖かで優しい人たちで、全然、不満がない。
恵まれている。
本当に、恵まれていて、こういうことを他人に相談すると「マウントか?世の中にはたくさんの恵まれない人がいるというのにけしからん!」と石を投げつけられそうだと思っている。
この焦りは一体何なんだろう。
どうしたら自分は満たされるんだろう。どういうことをしていきたいんだろう。何が好きで、何をするのが楽しくて、何ができるんだろう。
自分の評価と、自分が他人からされるであろう評価と、やりたいかもしれないことや現実や義務感でやっていることなんかで肥大化した自分の考えがとてつもなく、重い。
今動かないと何かマズイ気がする。
でも、何からやればいいのかわからない。
そんな時、
思春期ならぬ思秋期に入ったかもしれないと諸先輩方に言われた。
思春期のころの自分のことを思い出す。
体や状況の変化、人間関係の変化、自分がいつまでも子供でいてはいけないのだと思ってしまう事、いろんなことが受け止めきれなくて、特定の大人に反発してみたり、大人ぶってみたりしたこと。大人なんて信用できないと思ったこと。最終的に、あまり他人に相談しない人間になってきた。
そして、自分の声も結構無視するようになったなと、今ふと気づいた。
自分が何かやりたい!と思っても、「そんなの無理」と言われたり、自分で否定してしまったり、そこまでの道筋の立て方がわからなかったり。
どうやら思春期の頃の心の動揺は、ホルモンバランスの崩れも影響しているようで(すごく眠くなったり、成長のためにエネルギーを使うからいつもお腹がすいてイライラしていたり)、もし子供達がその時期に突入したら、とにかく栄養を込めた食事と、いい感じの寝具とパーソナルスペースを提供することに終始しよう、と誓った。
思秋期という表現はとてつもなく自分にフィットし、減りゆく筋肉、女性ホルモン、体力。増えていく皮下脂肪、毛穴の開きやたるみ、人間関係も意識しないとどんどん閉じていく。元気な時間帯もどんどん減る。マイナスばかり数えていても仕方ないのだけれど、これが現実。ではどうチェンジしていくか?というのを、このnoteでは表現して、自分で自分を実験体にしていきたいと考えています。
冒頭では、冗談で子供に「大きくなったら、魔女になる」と答えたけれど、意外といい表現なのかもしれないなんて思った。
大鍋をかき混ぜて笑う魔女。なんとも楽しげである。
もしくはオズの魔法使いに出てくる緑色の魔女なのか、いい魔女なのか、いろんな魔女がいる。
私は私なりの、魔女を目指そう。
それがどんな魔女なのかは、これから考えていこう。
そして、元気な魔法老婆になった暁には、かわいい魔法少女が「弟子にしてください」と言ってきたり、元気な少年が「この魔女め!」と剣を突き刺してきたりするのを待とうと思う。
ひとまず、今年のハロウィーンはかぼちゃでおやつをつくったり、魔女のコスプレを楽しむことに決まった。
2024.10.1