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「強迫性障害の10歳娘」を描く漫画制作秘話、母娘の思いをコマにこめて

今回は漫画編集を担当して印象に残っている作品についてお伝えしたいと思います。その作品は『10歳の娘がハムスターのお母さんになった話』です。

『10歳の娘がハムスターのお母さんになった話』はここから読めます

このお話は、とある女の子の実話。

ストーリーをnoteに投稿していたちょちょ@不登校の娘と母の記録さんのコラムを目にして感動した私が、直接ご連絡上で許諾をいただき、インスタグラムで人気の育児漫画家・わさびさんとともに描きおろし制作しました。

主人公は、強迫性障害と診断された女の子


ストーリーは、小3の終わりに娘・みおちゃんが「汚れへの恐怖」を訴えるシーンから始まります。のちに、みおちゃんは強迫性障害と診断を受け、不登校に。

わが子の突然の変化に、お母さんはどれほど不安だっただろうと、初見のママによるコラムでも、編集しているときも、胸が痛んだシーン。

最初は「死ぬわけないでしょ?」と笑顔で語りかけられても「私の『大丈夫』は届かない」と悟った最後のコマで立ち尽くすママ。わさびさんの描写で、ママの感情がだんだん深刻になっていくのが伝わる見どころです。

実際、登場人物の表情やト書きのニュアンスは、みおちゃんのママとラフ段階で相談しながら制作を進めました。当事者にしかわからない、思いのニュアンスを大切に制作しています。

1匹のハムスターが、娘を変えていく

不登校になってからしばらくたち、みおちゃんは「ハムスターを飼いたい」と言うようになります。

ストーリーでも描かれますが、ママは「汚れが怖い娘が、糞尿の世話ができるのか」「短い命のハムスターを飼わせることは娘のためになるのか」と思い悩みます。

実際、私だったらどうするだろう。今小3の娘がいる私としては、なかなか自分の中で答えが出せないシーンでした。

結果、ママはみおちゃんにハムスターを与え、みおちゃんは汚い糞尿も含むお世話ができるように。

まさに、ハムスターのお母さんになったわけです。

このコマはわさびさんのハムスターの描写がとてもかわいく「みおちゃんの目にもこんな風にキラキラ映ったんだろうな」と思わせてくれる推しコマです。

今回の漫画制作に関しては「みおちゃんが大好きだったハムちゃんをかわいく描いてくれる方!」と考え、わさびさんに依頼した私。大成功でした!

死を受け入れる力も育っていた

ハムスターの命は短く、みおちゃんのハムスターも2年ほどで亡くなってしまいます。小さなハムスターの死は、みおちゃんの心をえぐるものだったに違いないはず。それでも、みおちゃんは感謝の言葉をかけられるまでに成長していたといいます。

小さな命の終わりを、一生懸命受け入れようとするみおちゃんの心情が、この3コマから伝わってきます。

親子で「最後は感謝の言葉で送り出す」と決めていたという、原案者・みおちゃんのママ。母娘にとってハムスターを飼う経験が、とても大きな意味を持っていたのだろうと想像します。

母と娘それぞれの変化に注目できる作品


漫画編集としてこの作品に携わって、この作品の推しポイントとして挙げたいのは、母娘それぞれの変化が見られるところです。

娘・みおちゃんは、汚れへの恐怖や不登校で自信をなくしかけたところから、ハムスターのお母さんとして自己成長するまで。

ママは、みおちゃんの強迫性障害に驚き、不登校解消への焦りを覚えていたところから、わが子の立ち上がる力を信じようと思えるまで。

どちらかが一方的に作用して変化したのではなく、お互いが自分と向き合い、相手を受け入れた結果なんだろうと思うストーリーです。

子育てでちょっとつまずいたとき、この漫画を思い出して「わが子を信じてみよう」と思わせてもらっています。

原案者であるちょちょ@不登校の娘と母の記録さんも感想をお寄せくださっています。

今後も大好きな担当作品について、ちょこちょこ紹介できればと思います😊

『10歳の娘がハムスターのお母さんになった話』はここから読めます


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