ボンバーお父さん計画
今回の日刊かきあつめテーマは「#自己紹介をゲームで語る」だ。
突然なのだけど、小さい頃テレビゲームをよくやっていた人たちに聞いてみたいことがある。
親とテレビゲームはするものだろうか?
小学生の時、友達の家に遊びに行ったら、その友達と母親が一緒にニンテンドー64をプレイしていたことがあって、驚きつつも少し羨ましく思ったことがある。
ちなみに、我が家は基本的にない。でも少しだけ一緒にプレイした記憶がある。
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たしか小学生高学年の頃だった。単身赴任していた父がマイホームを買ったということで、数年ぶりに一緒に住むことになった。
父が単身赴任をしていた頃は、会う度に一日中遊んでもらっていたが、一緒に住むとなると毎回そうはいかない。それどころか、新しく家を買ったばかりの父は休日も忙しそうにしている。一緒に遊ぶ機会は減っていった。
どうすれば忙しい父と一緒に遊べるか。せっかく一緒に暮らすようになったのだから、一緒に遊びたい。だけど、素直に遊んで欲しいと言えない性格なので、何か良い方法ないかと考えるようになっていた。
そして考え出した方法が「プレステを一緒にやる」だった。
しかし一つ大きな問題があった。父はゲームをやらない人だった。自分で買ってきた「ザ・囲碁」もすぐに飽きてしまうゲーム苦手人間なのだ。
その父と楽しめるゲームは何かを探るため、作戦に出た。「リビングでゲーム作戦」である。
普段は自分の部屋で遊んでいるプレステをリビングに持って行き、父の目の前でプレイする。そして父が興味を持ったゲームを一緒にやる、というシンプルな作戦である。
様々なゲームを父の目の前でプレイする中、父が興味を持ったゲームが「ボンバーマン」だった。
「時間が経ったら爆発するボムで敵プレイヤーを倒す」という、簡単ながら多少の操作性と戦略性を求められるこのゲームが、父の勝負心に火を灯したのだろう。(爆弾だけに)
それからしばらく、時間がある休日は一緒に「ボンバーマン」で遊んだ。
結局は父の時間が取れなくなったか、僕が別のゲームにハマったかで数回だけ対戦して終わった。
それでも嬉しかったことを覚えている。父の新しい一面、知らなかった顔を見れたからだろう。一緒にゲームをすることで心が通じた気がした。
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そんなことを、僕はある映画を観た時に思い出した。
『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』である。
突然仕事を辞めた父の本音を知るため、『ファイナルファンタジーXIV』というオンラインゲームの世界に誘いだし、正体を隠して父とコミュニケーションを取ることで理解しようとする息子の話だ。
ゲームを進めるにつれて息子は、父が仕事を辞めた理由を知る以上に大切な、父に関しての記憶を思い出していく。原作は累計アクセス1000万アクセスを超えた大人気ブログの実話が元でドラマ化もされた。
この映画を見た時、昔にプレイしたファイナルファンタジーよりも、ボンバーマンのことを思い出した。
親子だからこそ言葉にできないことは沢山あって、言葉にする代わりにゲームを一緒にプレイするのも良い。そしてその思い出は、大人になってからも大切な記憶として残る。
あの「リビングでゲーム作戦」は僕にとっての「光のお父さん計画」だったのだ。いや「ボンバーお父さん計画」とでも言っておこうか。
その後、父は色々とボンバーするのだが、自己紹介から逸れてしまうのでまたの機会に。
編集:らいむ
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