秋の夜長に!駄作映画3作品を一気見する!

秋の夜は長いから、普段は見ない映画を見たい


ということで今回は、普段なら絶対に見ない「史上最低の名駄作映画」3作品を一晩で続けて見られるか?に挑戦した。

▼今回観る映画・デビルマン・死霊の盆踊り・テラフォーマーズ


以下多少のネタバレを含みながら、「駄作ポイント」と「見た感想」を述べる。

1作品目:デビルマン

あらすじ・作品紹介:同じ高校に通う2人の親友、不動明と飛鳥了。ある日、了の父・飛鳥教授が南極地底湖のボーリング中に“デーモン”を呼び覚してしまう。それは他の種族の体を乗っ取り進化し続ける邪悪な魂を持つ知的生命体。次々と人間を乗っ取り始めたデーモンたち。やがて明の体にもデーモンが侵食する。しかし、明の素直な心は負けず、デーモンの姿に変身し驚異的な戦闘力を有しながらも、人間の心を持ったデビルマンとなったのだった。彼は愛する美樹と人類を守るため、デビルマンとしてデーモンと戦うことを決意するのだったが…。(TSUTAYAより)

まずは駄作映画界の金字塔「デビルマン」から。様々な友人や映画レビューサイトで最も名前が上がった本作品。制作費10億円をつぎ込みVFXをふんだんに用いて製作されたが、公開当初から暗雲が立ち込めていたことで有名だ。駄作映画を見たい、となったら避けては通れない作品である。

【駄作ポイント】描写意味不明、台詞棒読み、演技下手の三拍子

見はじめて最初に驚愕したのは描写の「粗末さ」だ。主人公の明が不良に絡まれてボロボロにされてすぐに「俺は強くなりたい」と言いながら血まみれでウエイトトレーニングをしたり、中学生の回想シーンでは周りはみんな中学生なのに、明と了は高校生の背丈のまま登場していたり、全体的に描写がお粗末すぎる。

そして出てくる人物がほぼ全員棒読みの台詞をやり取りするし、演技は演技してる感が出すぎており、見ているこっちが恥ずかしくなってくるほど。

【見た感想】戦争が起こる理由と駄作が生まれる理由は同じかもしれない

最初は笑いながら画面にツッコミを入れていたが、延々と続く「悪魔の三拍子」に疲れてしまい、だんだんと真顔で画面を見るようになっていた。

時計を見ると開始してまだ30分しか経っていない。この映画は2時間の超大作である。あと90分もあるのか…と早くも心が折れそうになる。

そして映画の終盤、「デーモン特別法」によって人間同士が殺し合い、国同士が戦争に向かって行くにつれて一つの考えにたどり着く。

「戦争と駄作が生まれる理由は同じかもしれない」

デーモン特別法とは「デーモンに疑わしき人物は即拘束、抵抗する場合はその場で射殺」という恐ろしい法律だ。全員が疑心暗鬼になり、誰もが自分の意見を言えなくなり、マジョリティの意見に先導され、人が殺されてしまう。

早い段階で誰かが「止めましょう」と言っていれば、戦争にまで発展することはなかったはずだ。そして同じように駄作も制作段階で「こんなの間違ってる!止めましょう!」という人がいればこんなことにはならなかったのではないだろうか。

デーモン(駄作)に対しても、素直な心で負けず、人間の心を持ったデビルマン(駄作免疫有)として2作目を観ることにする。

2作品目:死霊の盆踊り

あらすじ・作品紹介:エド・ウッドが脚本を手掛けたくだらなさ全開のホラーコメディ。ホラー小説家・ボブは婚約者のシャーリーと共に、小説のアイデアを求めて雨の墓地に向かうが、交通事故に遭ってしまう。そんな彼らの前に暗黒の女王が現れ、死者たちが執と踊り始める。(TSUTAYAより)

デビルマンを邦画駄作の雄とするならば、死霊の盆踊りは洋画駄作の雄と言っていいだろう。デビルマンとは異なり、こちらは初めからB級映画として売り出されているため、ある程度腹を括って見た。

【駄作ポイント】全て。

もう開始5分から意味がわからない。暗黒の王と女王と呼ばれる2人が次々と金髪の美女を呼び出し、踊らせる。なぜか金髪美女は全員上半身裸だ。

その踊りが延々と続く。一人の金髪美女につき持ち時間が15分程与えられており、王と女王を満足させようと手と胸を揺らしながら、踊りとは到底呼べない動きを繰り返している。その間ボブとシャーリーは墓に手を括り付けられ、無理やり謎の宴を見せられ続けている。

【見た感想】お母さんお父さん、本当にごめん。

人間の寿命は有限である。限りある命、限りある時間を何に使うかは当然その人の自由である。しかしお母さんお父さんは、息子に有意義な時間を過ごして欲しいと思っているに違いない。

本当にごめん。僕は命を無駄にした。今タイムマシンがあるなら、この映画を見ようとした自分を殴りに行くよ。全力で止める。

二作目で時間は深夜3時を過ぎている。まどろみながら、自分は今何を見ているかわからない。もっと有意義な時間の使い方はあったはずなのに、と後悔の念が押し寄せる。

名駄作を2作品立て続けに見たせいで「映画のツボ」が相当浅くなった僕に3作品目で奇跡が起こる。

3作品目:テラフォーマーズ

あらすじ・作品紹介:貴家悠の人気コミックを伊藤英明、武井咲、山下智久ら豪華キャストで実写映画化。火星を地球化するべく、コケと“ある生物”を送り込んだ人類。500年後、計画の仕上げのため、15人の隊員が火星に送り込まれるが……。監督は三池崇史。

テラフォーマーズは原作のファンなので、実写映画と聞いた時は大いに心配をしたが、案の定その心配が的中し、漫画原作実写化失敗映画界ではトップ3にランクインする名駄作である。

【駄作ポイント】原作の伏線回だけを映画にしてしまった。

原作を知っている人からすれば、「バグズ2号」の第一部だけでは面白くないことは重々承知だ。なぜなら、これと言った見せ場もなく超進化したゴキブリに蹂躙されて、それぞれの思いを次世代(第二部)に引き継ぐための伏線回だからである。

当然その回だけを映画にされても、面白くはならない。起承転結の「起」だけが90分映画になっているため、「テラフォーマーズはここからが面白いのに!」となる。

原作を知らない人からすると、それぞれ人物背景がわからない上に、ゴキブリが超進化しているという情報を与えずに火星に放り込むストーリー展開が謎でしかない。

漫画であれば説明されている設定がほぼカットされている。まさに漫画原作実写化失敗の良い例と言ってよい。

【見た感想】面白かった。

散々酷評したが、見終わった直後の感想は「あれ、これ面白い…!」である。

「ストーリーがきちんとある」
「台詞をきちんと喋る」
「役者がきちんと演技している」

デビルマン、死霊の盆踊りで感覚が麻痺している状態になってから見ると、この3点を抑えているだけで感動するくらいに面白かった。1作品目にテラフォーマーズを見ていたらきっと違う感想を持ったと思うが。

今回、名駄作3作品を一気に見て学びになったことはこちら。

・戦争と駄作が生まれる理由は同じ。誰かが止めない限り生まれる。・時間は有限。親に胸を張って言える生き方をしよう。・駄作を見続けると感覚が麻痺し、駄作映画も面白く感じる。

ちなみに今回は、映画レビューサイトや映画好きの友人からの情報を元に、VOD(ビデオ・オン・デマンド)で視聴する事ができる3作品をチョイスした。

その他にも候補として「北京原人」や「北斗の拳」「DORAGONBALL エボリューション」などが挙がったが、これらはVODで視聴することができなかった。VOD各社は、ぜひ名駄作の配信に力を入れて欲しい。

秋の夜は長い。ぜひこれらを参考に「名駄作」たちを鑑賞してみてはいかがだろうか。


編集:円(えん)(https://note.mu/en_ichikawa)


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